きのう9月24日は「畳の日」だった。
この日は「清掃の日」ということから、(それに便乗して)畳の素晴らしさや優れた点をアピールするために「全国畳産業振興会」がこの記念日を制定したとか。
畳は日本人にとって空気のようにあって当たり前の、生活に必要不可欠なモノで、世界にとっては日本文化を象徴するアイコン。
「世界平和のために愛を音楽で統治することがミッション」というボストンで結成されたTATAMIという バンドがあるけど、それはいいとして、畳の日ときいたらそれをテーマにひとつ記事を書くしかない。
仏教やお寺は中国のものが伝わったけど畳はちがう。
畳という言葉は動詞の「たたむ」が名詞になってできたといわれる。
また、おもに関西と関東で畳の大きさが違うのは、豊臣秀吉がおこなった「太閤検地」では「1間=6尺3寸(1910mm)」のさおを使っていたのを、江戸時代になると徳川家康が多くの年貢米を取り立てるために、1間を6尺(1820mm)にしたことが原因という。
小さい面積から同じ収穫量を取るからこれは増税。
そういう豆知識もいいけど、日本人として知ってもらいたいのが、これが日本固有の文化ということだ。
着物、鯉のぼり、ひな祭りなどは中国から伝わったあと、日本でアレンジされて別ものになった文化だけど、畳は中国由来ではなく日本で生まれたオリジナルの文化。
畳が現在の日本家屋のように部屋一面に敷き詰められるようになったのは室町時代に入って、書院造が登場してからで、茶道が全国に浸透すると同時に畳敷きの部屋も広がっていった。
だから畳・茶道・正座はセットでおぼえていい。
10年ぐらいまえ中国旅行をしたとき、上海の日本語ガイドから、近ごろ上海の金持ちのあいだで畳がすごく人気があるという話を聞いた。
日本から輸入する畳はかなり高いから庶民には高嶺の花だけど、金持ち中国人にとってはそこらに咲いてる花と同じで、畳敷きの部屋をつくる人もいる。
日本に旅行したときそんな部屋に泊まって畳の居心地のよさが気に入り、それを中国の自宅で再現したいと思った人もいるし、まったく違う理由の人もいる。
先ほどのガイドがあるとき、リッチな中国人に招かれて家(マンションかも)に行ったら、「西洋風の部屋と日本風の部屋があるけど、あなたはどっちに入りたい?」と得意そうに聞かれた。
そのガイドは上級国民の上から目線のもの言いには慣れていたから、怒りはしなかったけど、やっぱりいい気はしない。
でもそれ以上に、「自分もがんばって金持ちになってやる!」とファイトを燃やしたらしい。
日本や畳が好きだからというより、金持ちとしてのステータスを示すため、メンツを保つために部屋を畳敷きにする中国人がそのときの上海では多かったという。
中国メディアの「人民網」にこんな記事があるから、いまでも和室や畳は人気があるのだろう。(2016年03月16日)
中国人は日常生活で椅子を使うが、3年ほど前に和室が流行し始めた。アニメや日本観光を通して日本文化に興味を持つ人が増えたことも「和室ブーム」を後押しした。
畳のある和室が中国で人気 日本観光ブームが後押し
最近では洋風の家や部屋を選ぶ日本人が多くて、畳職人が苦しい状況になっているという話を聞いたから、中国人がこうやって日本固有の文化を支えてくれるのはいいことだ。
*日本の繁華街を再現した広東省の「南海一番街」がさいきん中国人に人気だから、興味があったらググってくれたまえ。
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>日本や畳が好きだからというより、金持ちとしてのステータスを示すため、メンツを保つために部屋を畳敷きにする中国人がそのときの上海では多かったという。
中国人だろうが米国人だろうが、畳が好きなら好きで存分に使えばいいと思います。
だけど少し気になる点が。畳の部屋は、下足のままで入って、椅子・テーブルを使うのですかね?そんなことしたら畳はすぐに傷んでしまうと思うが。
ま、お好きなように。
続報として追加情報を。
そう言えば、山崎豊子原作のNHKドラマ「大地の子」で、中国東北部の家ではオンドル(薪や石炭を焚いて煙を床下に通す暖房システム)の床に上がるときに靴を脱いでいたような気がしたのですが。記憶違いか?
それから、さっき米国の刑事ドラマ「CSI」をDVDで見ていたら、ラスベガスのタイ仏教寺院では「靴を脱いで室内に入る(敷物に上がる?)のが礼儀だ」というセリフがありました。タイの仏教寺院はそうなんですかね?
イスラム教の祈祷でも、小型の絨毯を地面に敷いて、その上でお祈りする際には靴を脱いでいたような気が・・・。どうだったかな?
それに比べて、欧米人、なかでも英国人は絶対に人前で靴を脱ぎません。他人の目に足の裏をさらすことは、何やら「ハダカを他人に見られているような感じ」がするのだそうですよ。彼らが1日のうちで靴を脱ぐのは、ベッドの上で寝る時間だけです。
個人的な経験ですが、タイでは靴を脱ぐ寺と脱がない寺があって、脱がないところが多かったです。