日本が戦争に負けたワケ:陸軍の暴走・海軍の怒り・統帥権

 

いま日本の空と海の守りびと、航空自衛隊と海上自衛隊のあいだでバトルがぼっ発しているようですよ。

これがその対決を知らせるポスター。

 

 

ツイートが消えることもあるから、ここで文章と画像を載せておこう。

【海自カレー VS 空自空上げ】

カレーは華麗な国民食。

「空自さん 負ける気がしない」(山村浩海将)
「もうカレーの時代は終わった 海自さん」(井筒俊司空将)

 

 

海自のカレーと空自の空上げ(唐揚げ)と、それぞれの隊を代表する料理でバトルをすることで、国民に海上・航空自衛隊に対してもっと関心や親近感を持ってほしいということらしい。

つまりは、空自の空上げを海自カレーにトッピングすれば天下無双。
でもまぁこういう平和な争いならいいんですよ。
日本は過去に陸と海がマジで対立して大変な目にあったから。

 

1937年(昭和12年)~1945年(昭和20年)まで続けられた日中戦争がはじまった大きな原因に「陸軍の暴走」がある。
関東軍(中国東北部にいた日本陸軍)と中国軍が衝突した盧溝橋事件は、偶発的なものだったから百歩譲って仕方ないとしても、そのあと陸軍が天皇・内閣・国民・海軍を無視して、独断で中国に攻め込んでいったのはマズかった。

この時代に生きて陸軍兵士をしていた評論家の山本七平氏によると、終わることのない陸軍の暴走には海軍が激怒していた。

その後も、海軍とは全く相談なく、ぐんぐん戦線をひろげている。そしてどうにもならなくなると、その尻拭いを海軍にもってきて、しかも対米開戦に躊躇する海軍は腰抜けだという

「日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条  (角川oneテーマ21) 山本 七平 」

 

海軍は怒り心頭だったから、陸軍が中国軍に苦しめられると「一般国民よりも冷たい目で眺めていた」という状態。

 

 

フィリピンで陸軍と一緒に行動していた軍属の小松真一氏は、日本がアメリカに負けた原因にこの不仲を指摘する。

後には陸軍にも海軍ができ(陸軍で軍艦、潜水艦まで作った)、海軍は騎兵までできるようになった。そして陸海の国内に於ける戦争資材の争奪戦は米国との戦いより激しかったという。これも敗戦の大きな原因だ。

「日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条  (角川oneテーマ21) 山本 七平 」

 

陸・海で話し合って作戦を進めるのがむずかしかったから、陸軍は内部に「ミニ海軍」を作って独断で軍事作戦を進行するという、めちゃくちゃな状態になっていた。
そりゃ負けるわ。

では、なんで政府もコントロールできなくなるほど軍部が、特に陸軍が暴走したのか?

それには、軍隊を指揮する最高の権限である「統帥権」(とうすいけん)が深く関係している。
「最高指揮権は内閣ではなく天皇にある!」という理由で陸軍は好き勝手して、日本を戦争に引きずり込んだ。

詳しいことはここをどうぞ。

軍部が政府決定や方針を無視して暴走を始め、非難に対しては“自分達に命令出来るのは陛下だけだ”とこの権利を行使したため、政府はそれを止める手段を失うことになる。

統帥権

 

「統帥権の独立」の反対にあるのが、政治家が軍隊を統制するという「文民統制(シビリアン・コントロール)」。

 

 

海自のカレーと空自の空上げがプライドをかけて戦う。
そんな時代がこれからも続きますように。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。