東京に住んでいた韓国人と話をしていたとき、「日本語って悪口が少ないですね!」とおどろいていた。
韓国語にはバカとかアホとかそんな「おかわいいレベル」を超えた、本当にヒドイ言葉がいっぱいあるらしい。
東ヨーロッパからジョージア人も同じ思いのようで、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア臨時代理大使が最近したこんなツイートがちょっとした話題になった。
「日本語には、他の国の言葉のように侮蔑的な用語がないことを知ると、ジョージア人はみんな驚きます。」
それでも日本語の悪口を知りたい人がいると、代理大使はこんな言葉を紹介する。
ジョージア人に日本語で悪い言葉を教ろとたまに言われますがそのときは「おたんこなす」と教えます。
私も良く意味が変わらないのですが。— ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア臨時代理大使 (@TeimurazLezhava) December 18, 2020
インド原産のこの野菜はビルマ(いまのミャンマー)から5世紀ごろに中国へ伝わり、日本には7~8世紀にやってきたという。
奈良時代にはナス(茄子)を食べていたようで、東大寺正倉院にある文書には「天平勝宝二年(750年)茄子進上」という記述がある。ナスの記録としてはこれが日本最古。
庶民がナスを食べるようになったのは江戸時代からで、初物で人気だったのは魚ならカツオで、野菜ならなんといってもナスだった。
めでたいものを並べてつくった「1富士 2鷹 3茄子」という言葉はいまでも使われるから、新年にこれを聞く機会もあると思う。
これ以上の情報はここで確認してくれ。
江戸時代の『農業全書』に「紫、白、青の三色あり、又丸きあり長きあり」の記述があり、この時代から多くの品種が栽培されていたことがうかがえる。
人気者でめでたい野菜のはずなのに、外国人からみると日本語には悪口が少ないらしいのだけど、この野菜を使った悪口には「ボケナス」とジョージア大使おススメの「おたんこなす」がある。
土手カボチャ、大根役者、もやしっ子、イモ野郎…などなど、日本語には野菜を使った悪口はあるものの2種類の悪口があるのも珍しい。
「ボケなす」の由来はこの記事で書いたので、今回はジョージア大使お気に入りの方を紹介しよう。
のろまな人やぼ~っと間の抜けた人をののしるときに使うのが「おたんこなす」。
ゲームの「ぷよぷよシリーズ」では、ナスグレイブがプレイヤーにこの悪口をぶつける。
この語源は「おたんちん」といわれる。
日本人ならこの響きでうすうす気づくと思うが、これはもともと「おち〇ちん」のことで、江戸の新吉原にいた遊女が嫌な客を「おたんちん」と呼んでいた。
「おたん(御短)+ちん=おたんちん」の方程式が分かれば、それがそのまま「こなす(小ナス)」 にスライドする背景も見えてくるだろう。
金払いが悪いとかいろんな原因から、江戸時代の遊女がムカつく客を「あの小〇ん野郎」とののしる様子は目に浮かぶ。
男性にとっては自信やプライドを粉砕する悪魔のひとこと。
でも丁寧語の「お」を付けたところに、わずかながら品性を感じることができる。
ただこれは「おたんこなす」の語源としてよく言われる話で、ほかにも説はあるし正確な語源は誰も知らない。
でもこれは、男が女に言っても返り討ちにされそうな悪口だ。
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>でもこれは、男が女に言っても返り討ちにされそうな悪口だ。
そうですね。自分がガン治療で入院していた頃、厳しい看護婦さんに「この、おたんこナース!」・・・と言わなくてよかった。
それはマズいです。