太平洋戦争のときに日本軍が使っていた戦闘機や爆撃機には、マンガ『魁!!男塾』やプロレスラーの元ネタになったような機体がいくつもある。
烈風・強風・雷電・紫電・震電・月光・極光・天山などだ。
ちなみに、旧日本軍を代表する戦闘機『零戦』(零式艦上戦闘機)は「皇紀」に由来する。
この機体が採用されたのは西暦1940(昭和15)年で、それを皇紀にすると2600年だったため、下二桁の「00」をとって「零(ゼロ・レイ)戦」と呼ばれるようになった。
皇紀は神武天皇の即位した年を起源とする日本の暦で、2021年は皇紀2681年になる。
さて、ここで取り上げたいのは、戦時中は戦闘機、現在では発毛剤として有名な「紫電(改)」だ。
※戦闘機・紫電の改良型が紫電改になった。
1960年に発売された発毛剤「シデン」も、1983年に名称が「紫電改」へ変わった。
競争の激しい育毛業界で高い支持を誇るこの発毛剤は、大日本帝国海軍の主力戦闘機『紫電改』にちなんで命名された。
戦時中、紫電改の性能はとても高く、米軍にとっては悩みのタネだった。
戦争が終わった後、1951年に来日した米空軍の中佐はこう話している。
「ライトフィールドで紫電改に乗って、米空軍の戦闘機と空戦演習をやってみた。どの米戦闘機も紫電改に勝てなかった。ともかくこの飛行機は、戦場ではうるさい存在であった」
紫電改は伝説的な戦闘機だから、『紫電改のマキ』『ドリフターズ』『ブレイブウィッチーズ』『鋼鉄のレヴァイアサン』『荒野のコトブキ飛行隊』といったアニメに出てくる。
ナルトのカカシが使った技にもこの名前があったし、これからもさまざまなところで『紫電(紫電改)』の名は使われるだろう。

紫電

米スミソニアン博物館に展示されている紫電改
「太平洋で使われた万能戦闘機のひとつである」と紹介されているという。
戦中は戦闘機、戦後は発毛剤として有名な『紫電』。
この言葉の元ネタは何なのか?
何となく中国語っぽいと感じる人がいたら、その漢字センスにはとても素晴らしい。
中国メディアの『百家号』の記事によると、紫電は『三国志』に出てくるこの中国人が持っていた剣のひとつだ。

上の人物は呉の皇帝・孫権だ。
日本での知名度や人気は蜀の劉備や魏の曹操に比べれば劣るかもしれないが、日本でも有名な中国人だ。
孫権は「白虹」「紫電」「辟邪」「流星」「青冥」「百里」の六振りの宝刀を持っていたという。
(全部かっこよくて、アニメの武器や必殺技の名前で使えそうだ。)
戦闘機の紫電はこれに由来すると中国メディアは解説する。
サーチナの記事(2021-02-02)
孫権は(紫電で)机を斬りつけて大国・魏に勝利するとの決意を示したことから、当時の日本は「紫電」と命名することでこの戦闘機に希望を託したのだろうと分析した。
旧日本軍の戦闘機「紫電」に見る「ネーミングセンス」と「学習能力の高さ」=中国
日本海軍の精鋭が集まる『剣部隊』に紫電が配備されたことからも、これは絶妙なネーミングだった中国メディアはいう。
ということで、発毛剤の紫電改の由来をたどると三国志に行きつくのだ。
日本の戦闘機開発は第一次世界大戦のあと、欧米の戦闘機の模倣から始まった。
そして、試行錯誤の末にオリジナルを超える『ゼロ戦』を開発し、さらに紫電(紫電改)などいろいろなタイプの優秀な戦闘機をつくり出した。
中国メディアの記事は、この日本人の学習能力の高さに中国も学ぶべきで、同時に警戒すべきだと伝えている。
さてこの記事に日本のネットの反応は?
・褒められちった
・ボキはゼロ戦のプラモより、まるまる太っ雷電 が好きだった‼
・日本人の古代中国好きは異常
・なのに車の名前は横文字ばかり。カムリとかキザシとかオロチとかアスカとかかっこいいのに少数派。
・万里とか紫禁城とかの方がかっけーじゃん
日本人の古代中国好きが『異常』な理由のひとつは、その時代に使われていたことばがキャッチーで、現在でも応用可能だからだろう。
三国志にでてくる馬の名前もカッコイイ。
曹操は『爪黄飛電』や、影さえ残さぬ猛スピードで走るといわれる名馬『絶影』に乗っていた。
「人中の呂布、馬中の赤兎」と称えられた関羽の名馬・赤兎馬は、いまでは日本酒の名前になっている。
張飛の愛馬『鳥雲踏雪』、張遼の『黒捷』は中二病心をくすぐられる。
日本人は古代中国の歴史や文化に敬意を持っていた。
「紫電」や「赤兎馬」など、日本に昔の中国語に由来するモノがあるのは、そんな気持ちがあったからだろう。
おまけ
中国メディアの記事の中で、中国人がこんなコメントをしていた。
・刀も戦闘機も、稲光の如く瞬間的に敵を一撃するもの。
・稲光は中国語で闪电、紫电は稲光を意味する。
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コメント
コメント一覧 (3件)
> 孫権は(紫電で)机を斬りつけて大国・魏に勝利するとの決意を示した
ああ、あの赤壁の戦いが勃発する前の時点で、孫権が「呉は蜀と同盟を結成して魏に立ち向かう、この決心に変わりはない!」と宣言して、部下たちの面前で机を切りつけたエピソードですね。あの剣が「紫電」であったとは、知りませんでした。
確かに、他の五つの宝剣の名前も、いかにも宝剣にふさわしそうな、神通力でも発揮しそうな名称ですね。
疾風も五式戦もアメリカの良質な燃料で飛ばすとF6Fやムスタングをも上回る場合があたっと評されているので結局は工業力の差。
わたしも「そういえば」という認識で、剣の名称までは知りませんでした。
このへんはさすが中国人の視点ですね。