【日本人の善意】「ハイチに千羽鶴」は自己満か有効支援か

 

でははじめにクイズをしよう。
この国はいったいどこ?

面積:27,750平方キロメートル(北海道の約1/3程度の面積)
人口:1,126.3万人(2019年)
首都:ポルトープランス
民族:アフリカ系(95%)、その他(5%)
言語:フランス語、ハイチ・クレオール語(共に公用語)
宗教:キリスト教(カトリック、プロテスタント等)、ブードゥー教等

 

答えはアメリカの南に浮ぶ島国、ドミニカ共和国の隣国ハイチ。

上の数字は外務省ホームページ ハイチ共和国(Republic of Haiti)基礎データ から。

 

 

1844年の2月27日にドミニカがハイチから独立したことで、きょうはドミニカ共和国の独立記念日らしい。
でも、ここでの話は「された」側のハイチ。
2010年1月12日に31万人以上の死者という、空前絶後の大地震が起きたハイチだ。

建物の耐震性や社会基盤を抜きにして、単純に犠牲者数だけを比べると、東日本大震災(約1万6千人)のおよそ20倍の規模という、想像できないような被害をハイチはうけた。

すると世界はすぐに動き出す。
日本は7500万ドルの支援金を送り、3000万円分のテントなど緊急物資、国際緊急援助隊医療チームを派遣。
アメリカは1億ドルと、病院船を含む艦艇10隻以上、さらに陸海軍約15000人を派遣。
1844年に決別したドミニカはがれき除去用機材と薬を提供した。

このとき日本では「政府とは別で、民間でもできる支援がある!」ということで、こんな運動を始めた若者が現れた。

産経新聞の記事

ハイチの地震被害者たちに心を込めて千羽鶴を折った。羽の部分には、復興と回復への思いを込め、ローマ字で自分たちの名前を書いた。

ハイチ大地震の被災者に千羽鶴を ミクシィで広がる支援の輪

 

この善意のかたまりのような人は、テレビで食料を求める現地の人や嘆き悲しむ人の様子を見て、「日本にいて、何も助けられない自分がもどかしかった」という思いから、鶴を折ってハイチに送ろうというキャンペーンを知り、「これなら日本にいる自分にもできる!」と早速、千羽鶴活動に参加したらしい。

家族を失って悲しんでいるハイチの人たちに、鶴を贈ることで「1人じゃないよ」という気持ちを伝えたかったとこの運動を始めた人は言う。

なるほどなるほど。
だが待ってほしい。
当時、現地はこんな状況だったのだが。

ポルトープランスでは略奪行為が発生しており、ハイチ政府は1月17日に1月末まで非常事態宣言を発し、午後6時以降の夜間外出禁止令を出していた。

ハイチ地震 (2010年)

 

窃盗の疑いで男性が警官に射殺されるなど、ハイチではカオス状態が続いていた。
大災害が発生したときに、列を作って物資を受け取る礼儀正しい国なんて世界の例外なのだ。

こんな緊急事態に「折って応援」なんて運動をしたら、国内から「気持ちだけでいい」「送るならカネで」「千羽鶴ってけっこうかさばる」といった批判の声が上がるのは誰でもわかるだろう。
この批判の前か後か忘れたが、この運動をスタートした人は事態が落ち着いたらハイチに届けたいと話していた。でも、誰がどうやって空輸するのかは不明。
無事に送り届けたとして、千羽鶴の意味を現地の人説明し、理解してもらうのはかなりの手間だろう。

 

「被災地に千羽鶴」は日本国内でも賛否が分かれるのに、まさかそれをハイチにする人がいるとは思わなかった。
さらにこの運動に賛同した日本人が多かったことで、地震とは別の衝撃をうけたのを覚えている。
ここまでキレイでピュアな善意は本当に日本人的で、海外ではなかなかないと思う。
気持ちを提供する側はいいけど、それを託されて実現する側は大変だ。

 

 

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1 個のコメント

  • > 自己満か有効支援か → 「自己満足」ですよね、「自己中」とは違いますから。(あるいはそのつもり?)

    > 「被災地に千羽鶴」は日本国内でも賛否が分かれるのに、まさかそれをハイチにする人がいるとは思わなかった。
    > さらにこの運動に賛同した日本人が多かったことで、地震とは別の衝撃をうけたのを覚えている。
    > ここまでキレイでピュアな善意は本当に日本人的で、海外ではなかなかないと思う。

    単なる常識に欠けた無知な者が、他国へ迷惑かけているだけのように私には思えます。
    しかも周囲の人間を巻き込んで・・・。
    当人たちは善意のつもりかもしれないけれど。遠慮しないで、間違いをハッキリ指摘してやる方が彼らのため。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。