日本に住んでる外国人と話をしていると、彼らのほうが日本のことをよく知っていてたまにビビる。
たとえば小豆(あずき)の「大納言」の由来は、オーストラリア人から聞いて初めて知った。
きのう日中韓では、赤いあずきには神秘的な力があって、魔除けの効果があるという信仰(迷信)について書いているときにそのオージー人の話を思い出したんで、今回は大納言小豆の由来について書いていこうと思うのだよ。
日本の文化に興味のある外国人なら、この手の話はきっと気に入る。
江戸時代に描かれたあずきの絵
そのオーストラリア人は日本の歴史や文化(たとえば浮世絵)に興味があって、いつか日本に住んでみたいと思っていたらしい。
その念願はわりと簡単にかなって、静岡県の英会話スクールで英語を教えることとなる。
あるときレッスンの最中に、日本に来てから、和菓子のおいしさと美しさに開眼したという話をする。
あんこの上品な甘さは素晴らしいし、春夏秋冬の四季に合わせて、お菓子の見た目や器を工夫するといった細かい配慮はオーストラリア人にはない。
その数か月後、「あなたが日本の文化や和菓子を好きだと言ってたから」と、京都旅行に行った生徒がお土産で「大納言」を持ってきてくれた。だけでなく、その由来を話してくれた。
それがどんな物だったかわからんが、下の「きんつば」のような和菓子で大納言という物がある。
種類はいくつかあるから、大納言についてのくわしい情報はネットでゲットしてほしい。
画像:毒島みるく
あずきの中でもひときわ大きい品種を「大納言(大納言小豆)」といい、そのあずきで作ったお菓子を大納言と呼ぶことがある。
大納言とはむかしの日本で政治を行っていた上流貴族の官職で、いまでいうなら大臣クラスの要職だ。
でなんでこれがあずきの名前になったのか?
あずきの群れ
画像:草花写真館
この品種のあずきには、大きいだけでなく、煮たときに皮が破れにくいという特徴がある。
このことから、むかしの日本人は何を想像したか?
皮が破れることを「切腹」とイメージして、その習慣のない貴族「大納言」をこのあずきと結び付けた。
それで大きめのあずきを大納言と呼ぶようになった。
「皮が破れるとハラキリで、そうならないあずきだから貴族。こういう話は、わたしにはとてもおもしろい」とオーストラリア人が言うのを聞いて、ボクも初めて大納言の由来を知った。
このお菓子のことは前から知っていて、むかしの官職のことだろうとは思っていたけれど、これは想像できなかった。
ただこのオージーの話はよく言われる大納言の由来で、ほかにも豆の形が貴族の烏帽子(えぼし)に似ているから、という説もある。
江戸時代には大納言より小粒な「中納言」や「少納言」というあずきもあって、いまでも長野県や福島県の一部などで栽培されているらしい。
そんなことが日本豆類協会HPにある「大納言」に書いてある。
意味や響きからして和菓子の名称として「大納言」は最適解だから、そのまま使われたのだろう。
あんこが好きで日本文化に興味のある外国人なら、大納言と一緒にその由来を説明するときっとよろこんでくれる。
煮込んだ豆が破れるのを見て、武士のハラキリを連想するのは世界で日本人だけだから。
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