『攻殻機動隊』のマスコットキャラとして、ファンから愛されているロボットの「タチコマ」。
クモのように細い足が何本もあるけど見た目はキュートで、「タチコマちゃんと呼ぶべき」という指摘もある。
そんなタチコマの姿を見て、「あの足(手?)で背中をかいたら気持ちよさそうだ。よし、”孫の手”にしよう!」と思いついた人がいて商品化された。
6月下旬に発売予定で、お値段税込で2,860円だとか。
孫の手といえば最近こんなニュースがあった。
北海道放送のニュース(3/30)
“孫の手”で額を何度も殴るなどの暴行…逮捕の71歳、32歳年下の女性とは“友人関係”
登場人物は71歳のおじいさんと39歳の無職の女性で、”犯行道具”は孫の手。
もうどこから突っ込んでいいのか。
アメリカ人に英語で孫の手を何というのかきいたら、「backscratcher(バックスクラッチャー)」と言う。
背中をスクラッチする(引っかく)もの、というそのまんまのことばで面白みも何もない。
儒教の影響が強い韓国では、両親によく仕える子ども(孝子)から孫の手を「孝子の手」と言う。
こういう背中をかく棒は世界中にあって、手の形をしているのも世界的に共通しているらしい。
だがしかし、日本語の「まごの手」はもともとは「孫の手」ではなくて、その由来はまったく別のところにあった。
ネタバレするとこのマゴは、中国神話に出てくる「麻姑(まこ)」という仙女に由来する。
麻姑は若い女性の姿をしていて、鳥のように長い爪をしているのが特徴だ。
中国の言い伝えによると、2000年ほどまえの漢の時代、神仙(神様のような存在)の王遠が蔡経(さいけい)という人間の家に降臨した。
そのあと王遠が呼び寄せたのが麻姑。
美しい麻姑の長い爪を見た蔡経は、「あれで背中のかゆいところをかいたら、さぞ気持ち良いだろうなあ」と思ってしまう。(または声にして言った)
すると神仙の王遠にその心の声が聞こえて、「それでは料金は15分で3000円になります。いかがなさいましょうか?」と言いうはずがなく、「麻姑は神人だぞ。おまえはなぜ爪で背中をかいてほしいなどと思ったのか!」と怒り、蔡経の背中をムチで打ったという。
細かい違いはあるけど、だいたいこんな内容の話。
こんな故事から、物事が自分の思いどおりになることを「麻姑掻痒(まこそうよう)」と言うようになった。
かゆいところにも手が届く、細かいところもしっかりケアということで、こんな意味になったのだろう。
この「麻姑」がなまって孫の手となり、いまの日本ではタチコマの手(足?)になった。
思いどおりならないからといって、32歳も下の女性を殴っていい道具ではない。
おまけ
中国で仙人が住むと言われた黄山
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隔靴掻痒と対でクイズでは希に出題されるかな。ウルトラクイズでも出た事あるので。
そうですね。
これはクイズで出るレベルでしょうね。