10年ぐらい前に知人が韓国旅行でこんな経験をした。
空港からソウル市内へ向かうミニバンの中で、現地の日本語ガイドが韓国の文化や歴史などについてひと通り話をしてから、「では韓国について何か質問はありますか?何でもいいですよ」と言う。
それならばと、ある日本人旅行者が「韓国では犬を食べることがあると聞きました。わたしは食に偏見をもっていません。日本ではできない体験をしたいので、ソウルでおススメの店はありますか?」とたずねた。
するとこれがトリガーとなって、女性ガイドの笑顔が一瞬で消え失せる。
「それは昔の話です!いまの韓国で犬肉食なんてありません。そういう質問は失礼です!」と怒り出す韓国人女性と、予想外の事態に戸惑う日本人旅行者がそこにはいた。
気持ちよく晴れていた空から、突然どしゃ降りが降ってきような感じで「韓国の人たちって感情の起伏が激しいんだな~」というのが知人の韓国第一印象。(それは正解)
でも結論から言うと、このガイドの話は間違い。
2021年のいまでも韓国の情報サイト「コネスト」で、犬肉のスープ(ポンシタン)について日本人向けにこんな紹介をしているのだから。
食用の赤犬の肉を裂き、長ネギ、セリ、エゴマの葉などと唐辛子ベースのスープで煮こんだスープ。意外にクセなく食べられる味です
価格は7,000~9,000ウォンということだから1000円あれば十分。がこの感覚の違いは1000円じゃ埋められない。
食は人生の大きな楽しみのひとつだけど、食文化の違いはときに差別感情や蔑視をうみ出す。
そしてそれを感じ取った相手は激怒する。
*先ほどの日本人は「何でもいいですよ」というガイドのことばを聞いたからで、きっと悪意はないはず。
個人的にはネットで日本人を「クジラを食う野蛮人」と書き込む外国人を見たことがあるし、「イルカを食べるのは、人を食べることと変わらない」という人種差別的なコメントをもらったこともある。
外国人(特に欧米人)の食に関する差別的表現についていえば、日本人にはクジラやイルカで、韓国人に対してはやっぱりコレだ。
朝鮮日報の記事(2021/04/12)
サッカー:「犬でも食え」 孫興民のSNSに人種差別の悪質コメント洗礼
イギリスのプレミアリーグで活躍している孫興民(ソン・フンミン)選手が試合中、相手選手の右手が顔に当たってその場に倒れ込む。
それを見た審判は相手選手の反則行為と判断し、このときの敵チームのゴールが取り消された。
これに怒った人たち(ほぼイギリス人だろう)が試合後、孫選手のインスタグラムにこんなコメントを書き込んで人種差別騒動に発展。
「サッカー選手じゃなくて韓国ドラマの俳優だ」
「ダイビングをやめて(韓国に)帰って猫やコウモリ、犬でも食え」
「コメを食べる詐欺師」
「汚い詐欺師」
「演技力すごい」
「穴みたいに小さい目」
これに孫選手が所属するチーム・トッテナムは公式ツイッターで「我々の選手の一人が忌まわしい人種差別に遭った」と非難声明を発表する。
「俳優」や「演技」はまぁいいとして、「コメを食べる詐欺師」は何のことかよくわからんとして、「猫やコウモリ、犬でも食え」や「穴みたいに小さい目」は人種差別発言だ。
これは完全にアウトなやつで、外国人もこれを言うと韓国人が怒ることを知っている。
ネットで韓国人と欧米人がやり合っていると、「黙れ、このドッグイーターめ!」ということばにエキサイトした韓国人が、同じような人種差別発言で言い返したのを見たことがある。
韓国の人たちは国際社会での自国の評価をすごく気にしていて、国家のブランドやイメージを大事にしている。
だから政府・メディア・国民は、これに大きな影響を与える韓流文化を海外に大々的に紹介するし、国際的なイベントを韓国で開こうとする。
しかしこれは諸刃の剣。
世界の注目が韓国に集まると、必ずといっていいほど、犬肉食という“ダークサイド”に光が当てられるから、欧米の冷たい視線に韓国政府はいつも苦慮する。
1988年のソウルオリンピック開催に際して、欧米諸国の批判をかわす為、犬食に対する取締りが行われた
2002年にサッカーワールドカップが開かれたときには、国際サッカー連盟(FIFA)から「犬肉を追放してほしい」と韓国政府に要請があった。
でもこれは韓国の食文化として社会に定着していたし、犬肉に関わる仕事で生活している人もたくさんいる。
この“追放”は現実的には無理だから、このときの韓国側の答えはNO。
犬肉については、韓国国内でも特に若い人たちが「残酷」「国の恥」と反対していて、だんだんと社会から消えつつある。
ボクは食べようとは思わんが、もしその気持ちがあるなら、早めに韓国へ行ったほうがいい。
でも、ガイドにおススメの店をきいてはいけない。
こちらの記事もいかがですか?
韓国人が犬を食べる食文化が私も嫌いです。 人間の最も古い友人である犬を食べ物として考えること自体を理解したくありません。しかし最近では変化が多く、犬を食べる韓国人の数もとても早く減っています。
私は先生の文を読みながらとても共感していますが、韓国と韓国人を非難する方向で一貫するのは少し心配ですね。今はお互いの関係が最悪だけど、いつまでも対立してはいられません。
韓日間の友好関係のために発展的な文も書いてください。
> 「ダイビングをやめて(韓国に)帰って猫やコウモリ、犬でも食え」
> 「コメを食べる詐欺師」
あはははー、「猫やコウモリ(を食え)」は中国人、「コメを食べる詐欺師」は日本人(を始めとする寿司を食べる民族)とごっちゃにしてるのしょうね。ブログ主さんが前に言われたとおり、東アジアの3国に対する英国一般人の認識なんて、そんなものですよ。
>韓国と韓国人を非難する
わたしには韓国人の友人もいますし、韓国や韓国人を非難するつもりはありません。
良好な日韓関係を築くためには反日がジャマですから、これを批判しています。
日韓関係の理想は日本と台湾の関係です。
文章の理解については人それぞれで、「韓国に配慮しすぎる。甘い」という批判をもらうこともあります。
政治と個人の関係は別で、政治はどうあれ民間では仲良くすべきでしょう。