食、酒、戦、商売、神:日本・中国・台湾の「ムカデの文化」

 

これが朗報か悲報かの判断はまかせるとして、とにかく、水と陸の両方で暮らせる大型の新種のムカデが沖縄で見つかった。

NHKニュース(2021年4月20日)

沖縄 水中でも暮らせる大型の新種の「ムカデ」発見 国内で初

オオムカデ属の新種が見つかったのは143年ぶりで、体長20センチほどのこのムカデには「リュウジンオオムカデ」の名が付けられたとか。
漢字で書くと「琉神大百足」で何かとんでもないご利益がありそう。
このムカデで「水陸両用」の理由は陸上にいる天敵を避けて、水中でも暮らせるように適応した可能性が指摘されている。

この新発見にはネットも戦々恐々。

・見てもだいじょぶ?
・たかが虫だろと思ったけど1秒で消した
・見慣れたら格好いい気もする
・ムカデとオオゲジだけはホント慣れない
・> 水陸両用ムカデ
かっけぇ・・
・なんでこんな形に生まれちまったんだよ
・ぎゃあああああああああああああああ!

 

むかしむかし、沖縄の海には海を荒れさせる困った龍神がいた。
あるときムカデがその耳に入って、龍神を苦しめて追い払う。
それ以来、龍神はムカデを恐れるようになった。
リュウジンオオムカデ(琉神大百足)はそんな伝承に由来するという。

この話から琉球王朝では暴風雨を避け(その元凶となる龍神を怖がらせて)、安全に航海ができるように、ムカデをデザインした旗を掲げるようになったという。
この文化は中国の船でもあったようだ。

琉球王府の船の旗で、ムカデが描かれたものについて知りたい。

ということでオオムカデの新発見を記念して、これから日本・中国・台湾のムカデに関する文化を紹介しよう。

 

むかし北京の屋台街をブラブラしていたとき、変わった串焼きを見つけたから、何かと思って近づいたらムカデだったでござる。
あとから中国人の日本語ガイドにきいたら、「それはもったいない!あれはおいしいし健康にも良いです。日本じゃ食べられないのに」ということなんだが、あれは無理だわ。

 

 

中国、ラオス、タイ、カンボジアではオオムカデを酒に漬けて「ムカデ酒」をつくることがある。
これは伝統的な中国医学の考え方に基づくもので、薬効が期待できるらしい。

Also in China, as well as in Laos, Thailand, and Cambodia, large centipedes are kept in liquor for a period of time. This custom is allegedly part of the traditional Chinese medicine.

Centipede 

 

日本でも、かなりの例外だろうけど、ムカデ酒をつくって飲む人がいる。
*直接知らないけど、ネットでそういう人を見た。

食文化以外では、戦国武将の武田信玄が伝令部隊の武士に、ムカデの描かれた旗を掲げさせたことが有名だ。
彼らは「百足衆(むかでしゅう)」という。
ムカデには「絶対に後ろに下がらない(後退しない)」というサウザーのような見方があって、戦国時代には縁起のいい虫とされていた。
それで甲冑(かっちゅう)や刀などにムカデのデザインを取り入れた武士がいたし、戦いの神『毘沙門天』の使いとして神格化されたこともある。

奈良の千手院ではムカデを毘沙門天の使いと考えているから、ムカデが出ると良いことの象徴として殺さないで逃がしている。
またムカデの見た目から「客足が多い」と連想して、この虫を商売繁盛のシンボルにする店もある。

だから日本の伝統では、ムカデにはけっこう良いイメージが持たれていたのだ。
でもいまでは普通は、おぞましい害虫で駆除の対象でしかない。

 

おまけに書くと台湾でもムカデにかかわる文化がある。
台南では全長200mの巨大なムカデの山車(だし)で、無病息災を願って街を練り歩くイベントが行われる。
「以毒攻毒」(毒をもって毒を攻める)という中国の考え方から、毒のあるムカデを疫病退治のご神体にしているらしい。

もひとつおまけを書くと、日本で最大級のミミズをシーボルトミミズという。
幕末に来日したドイツの医師シーボルトが、母国に持ち帰ったことにちなんでこの名が付けられた。
毒はないが、時に40cmにも達するこの巨大ミミズはグロ注意だ。

 

 

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1 個のコメント

  • あのー、この記事では重要な情報が抜け落ちているのですが。
    ムカデは刺す(噛む)のですよ、しかも毒があって非常に痛いです。さすがに死ぬことは無いと思いますが。
    子供の頃、田舎の古い家(母の実家)で椅子に座って暗い天井をボーッと見ていたら、何かが顔に「ボットン」と落ちてきてそれが・・・。今でも思い出すと震えが止まりません。

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