【キャベツと稲妻】シュークリームとエクレアの仏語の意味

 

小腹が減ったー、何か甘いものが食べたいなー。
そう思ってコンビニに行くと、もれなくハマるトラップがシュークリームかエクレアかの決断。(個人差あり)
サクサクのシュー皮に甘いクリームが入っている構想は同じで、味や食感もよく似ている。
形と上のチョコが決定的な違いで、「中のクリームがはみ出て困る度」ならシュークリームのほうがやや上といったところか。
フランス由来のこのお菓子、どっちか迷ったときは名前で決めるというのはどうだろう。
つまり、キャベツか稲妻かの二択だ。

 

まずはシュークリームの意味から見てみよう。

英語圏の人の中にはこの言葉を聞くと、「靴(シュー)のクリーム?」とカン違いすることもあるという。
実際、そう誤解したアメリカ人もいた。
これはフランス語の「シュ(chou)」と英語の「クリーム(cream)」をつなげてつくった日本語(和製外来語)で、フランス語なら「シュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)」、英語なら「クリーム・パフ(cream puff)」になる。

クリームはいいとして問題は「シュー」。
アメリカ人が誤解した原因となったこの言葉は何を意味するか?
ムッシューのシューと思っている人もいるかもしれないが実はそうではなくて、これは「キャベツ」を意味する。
いいですか?もう一度言いますよ。
シュークリームのシューとは野菜のキャベツのことなのだ。
焼き上がったシュー生地の形がキャベツのように見えることから、シュークリーム(クリームの入ったキャベツ)と命名されたという。

ちなみに一口サイズのプチシュークリームはフランス語では「プロフィトロール」と言い、贈り物や心づけといった意味がある。
シューには白菜やカリフラワーなどの意味もあるから、くわしいことは「シュー」を見てくれ。

シュー生地は16世紀、イタリアの名門メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスが仏国王アンリ2世と結婚したときに、彼女と一緒に渡仏した料理人のポペリーニが考案したといわれる。

日本には幕末にやって来て、明治時代に凮月堂(ふうげつどう)がシュークリームの製造・販売を始めた。
風月堂は日本で最も早い時期に、店の商品としてチョコレートを販売したことでも知られる。

 

 

シュークリームが細長くなって、上にチョコがかかっているとそれはもはやエクレア。
このお菓子の起源はハッキリ分からないものの、19世紀に「シェフの帝王」とまで称されたフランスの有名パティシエ、アントナン・カレームが生み出したという説が有力だ。

世界史に興味のある人はカレームとウィーン会議をセットでおぼえておこうず。
フランス革命とそれに続くナポレオン戦争で大混乱となったヨーロッパを再建するため、1814年にオーストリアの外相メッテルニヒが中心となってウィーンで国際会議が開催された。
このときカレームが作った料理が、「なにこれ!うますぎですっ」と参加したヨーロッパの要人から絶賛され、彼の名前は世界史レベルになる。

カレームがエクレアの原型となるお菓子を作ったとき、まだそれはエクレアとは呼ばれていなかった。
彼の死後、1850年ごろ日本でいうエクレアが登場し、フランス語で「稲妻」を表す「エクレール」という名前が付けられた。

では新妻でもなく良妻でもなくて、なぜ稲妻なのか?
これには現在、次の説が考えられている。

・エクレアを食べるとき、クリームが飛び出さないように一口で食べる必要があったから、一瞬のような素早さを「稲妻」と表現した。
・表面の割れ目が稲妻に似ているから。
・エクレアを焼くときの音が落雷の音に似ているから。

この中でも一番上の説が有力のようだ。

 

画像はLuftpirat

 

ということでコンビニに行って、スイーツトラップに引っかかったら、キャベツのような穏やかな気分ならシュークリーム、なんか激しい気分だったらエクレアを選ぶというのはどうだろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。