インパール作戦大失敗→インドで民衆蜂起→イギリスから独立へ

 

夏がく~れば思い出す~、というのがインパール作戦。
太平洋戦争中の1944年、日本軍がイギリス軍の戦力を過小評価し、食べ物調達の目途もないまま大量の日本兵をビルマ(いまのミャンマー)のジャングルに送り出したことで、ほとんどの兵士が死亡して現在では「史上最悪の作戦」なんて言われるあの愚行だ。

*下の河北新報によると、約9万人の日本兵うち約3万人が戦死、約4万2000人が戦病死したとされる。

大惨敗した日本軍が生み出したのは大量の死体だけで、この作戦は日本史の汚点でしかない。

インパール作戦に参加し、仲間の白骨が並ぶジャングルで2度自決しようとするも、何とか日本に戻って来られた元日本兵の菅原さん(97)は「運が良かっただけだ」と河北新報の記事で語っている。(2021.8.15)

現地では先に投入された多くの兵士が遺体となり、白骨化していた。妻子の写真を枕元に置いたまま息絶えた姿もあった。
食料もなく、飢えとマラリアで仲間が次々と命を落とした。菅原さんは「みんな家族を案じて死んでいった」と話す。

インパール作戦 死線さまよい自決も覚悟 飢えや高熱、救われた命

 

もう少しで自分も白骨になるところを仲間に助けられて日本へ生還して、もうすぐ100歳になる菅原さんはいまこの悲劇を伝える語り部となっている。

でこの記事にネットの声は?

・今年も牟田口さんを糾弾する日がやってきたな
大本営発表
中抜き
搾取
権力者の責任逃れ
戦時中と一緒
・もう民族病なんだよこれ
・まんま日本の悪しき組織だな。会社もそんなんばっかりだわ。
・ひたすら日本が馬鹿だったんだよ
それだけ

「牟田口」とはこの無謀な作戦を強行した責任者で、いまもこれからも日本中でボロカス叩かれる運命の人。

ジンギスカン作戦で飢餓地獄。牟田口廉也とインパール作戦。

インパール作戦について詳しいことをこの記事をどうぞ。

「無理・不可能」の代名詞、インパール作戦とかいう絶望

 

ただインパール作戦がまったく無駄だったかというと、間接的にはインド独立の「最後の一押し」になったというポジティブな面もあるようだ。

 

 

上の人物はインドの国際都市・コルカタの空港で見た、国民的英雄のチャンドラ・ボースさん。
非暴力主義のガンディーと違って、彼は武力でインドをイギリスから解放しようと考えて「インド独立義勇軍(INA)」を組織して、日本軍とタッグを組んでインパール作戦に参加。

この軍隊こそが、インド独立を勝ち取った功労者であるという見方がインドにはある。
インパールで負けてイギリス軍に捕まったインド独立義勇軍の軍人はデリーに送られて裁判にかけられ、3人の将兵が1945年11月に「イギリス国王に対する反逆罪」で死刑がきまった。
するとそれまでイギリスの情報隠しによって、インド独立のために戦った軍隊やチャンドラ・ボースという人物を知らなかったインド人がその事実を知るようになる。

INAはイギリスと戦ったインド唯一の軍隊で、その人間が処刑される!
そのことが民衆に知れ渡ると各地で大暴動が発生し、それがインド独立運動の本格化につながった。
そして、もうインド支配はムリ!と悟ったイギリスはこの地から出て行ったという。

インドメディア「TRUNICLE」の記事(August 9, 2020)

It was quite evident that power was wrestled from the British Government, as it is clear from Clement Attlee’s statement. And it was the efforts of Netaji Bose and INA along with millions of Indians that forced Britain to accord independence to India.

INA….”The Forgotten Army” which actually won the Independence for India

 

「Attlee」とはインド独立を承認したアトリー英首相のこと。
インド国民の反英運動によって、英政府は権力を奪われたとアトリーは語った。
イギリスに独立を認めさせたのは、チャンドラ・ボースとINA、そして何百万人ものインド人の努力であったという。

 

ということで、ボース率いるインド独立義勇軍がインパール作戦に参加して日本軍と一緒に敗北するも、イギリス軍と戦った事実がインド人の心を動かして独立につながったのだ。
結果論なんだが、間接的にインド独立に寄与したという点でインパール作戦は「史上最悪の作戦」ではあったものの、成果ゼロということではなかった。
しかし牟田口、おまえにコレを語る資格はない。

 

 

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1 個のコメント

  • 展望社の『実戦インパール作戦・笹原連隊の死闘』『同・作間連隊の死闘』がお勧め。
    アレについては架空戦記でも同じ立場で嫌われているので。某板だとやたらに噛みついてくるのもいますが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。