むかしの日本人はとても迷信深かった。
それが原因で差別などの社会問題も起きたことから、大正時代には、教科書にそのことを書いて、迷信を信じないよう国民を教育しなくてはいけなかったほど。
世には種々の迷信あり。幽霊ありといい、天狗ありといい、狐狸の人をたぶらかし、または人につくことありしというがごとき、いずれも信ずるに足らず。
21世紀になっても迷信から抜け出せない日本人がいるらしい。
最近では新型コロナのワクチンを接種すると、
磁石が体にくっつくようになる。
ワクチンに入っているマイクロチップで政府に監視される。
不妊や自閉症につながる。
といったデマをSNSで流す無責任な人間がいれば、これをガチで信じちゃう人もいる。
もちろんワクチンデマは海外でも問題になっていて、これは日本だけの残念現象ではない。
迷信が理由かしらんけど、アメリカではワクチンを否定する人が馬や牛向けの薬抗寄生虫薬「イベルメクチン」を使うケースが増加していて、FDA(アメリカ食品医薬品局)が「君たちは馬ではない」と呼びかけるよくわからん事態も生まれた。
さて写真についての日本の迷信といえば、「写真を撮られると魂が抜かれる」というものがあった。
【日本の迷信】写真を撮ると“魂が抜け出る(早死にする)”理由
ちなみにこの話をフィリピン人にすると、「むかしフィリピンにも同じ迷信があった」とのこと。
まったく新しい技術と接すると、恐怖が生まれるのは世界的によくあることだ。
そして令和のいまでも、コレを信じるか気にする人がいる。
西洋で生まれた写真は幕末に日本へ伝わった。
1848年には島津斉彬が銀板写真機材を入手し、市来四郎らに研究を命じているが、銀板写真は薬剤の調製が難しく、市来および、薩摩藩士宇宿彦植右衛門が写真撮影に成功したのは1857年9月17日と言われている。
写真撮影が始まったころの日本では、「3人ならんで写真を撮ると、真ん中の人が魂を奪われる(早死にする)」という有名な迷信があった。(現在進行形?)
それで客が3人の場合、人形を持たせて「4人」にして撮影したという話もある。
昭和の時代にワイが中学生だったころ、3人か5人の先生で記念撮影をするとき、一番年上の人に敬意をはらって真ん中にしようとしたら、「まだ長生きしたい」と断られたという話を担任から聞いた。
だからいまでも、コレを気にする人がいてもそうおかしくないかも。
ただこれは根も葉もないウワサではなくて、元ネタとなる理由はあったのだ。
なんせ100年以上前のカメラは性能が低かったから、3人ならんだ人間を撮るときは、真ん中の人にしかピントを合わせることができなかった。
ピントが合う分しっかり写るから、それだけの魂も取られると昔の日本人は考えたという。
だからこのベースになっているのは「写真を撮ると魂が抜け出る」という考え方で、迷信から別の迷信が生まれたという珍しい事例。
ワクチンを打つと磁石が体にくっつくという話を、現代でも信じる人がいるのだから、迷信がつくられる根本的な原因は未知なるモノへの不安や恐怖だろう。
アイドルグループや一般人の集合写真でも、「センター」は名誉あるポジションとされている。
でもこんな話を知っちゃうと、これからは写真撮影のとき真ん中には立ちたくなくなるかも。
どれだけ科学が進んでも、ヒトの心理には迷信の入り込むすき間がある。
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