【日本の迷信】写真を撮ると“魂が抜け出る(早死にする)”理由

 

ほんじつ6月1日は「写真の日」。
日本で初めて写真が撮られたのは江戸時代の1841年6月1日だったことから、この日が「写真の日」となった。
だがしかし、あとからもっと古い写真撮影の記録が出てきたから、これは日本最古ではなかったことが判明。
でも、6月1日が写真の日として定着していたようでそのまま残された。

写真を意味する英語の「photograph(フォトグラフ)」は、photo(光の)とgraph(書く、描く)の合成語で、「光によって描かれたもの」といった意味になり、日本語では「光画」と訳されることもアリ。
「写真」とは「真を写したもの」という中国語で、日本人がそのまま採用していまでは完っ璧な日本語になっている。

 

写真について日本では、「写真を撮られると魂が抜かれる」という迷信があった。
まだ写真撮影の技術が発展していなかった幕末・明治のころは、写真を撮るのに2分ほどかかったから、被写体はその間、同じ姿勢を保たないといけなかった。
つまり、「OKです!」と言われるまで動くの禁止状態。まばたきするのもダメ。
幕末の人物の写真が無表情や仏頂面なのは、同じ表情を続けないといけなかったかららしい。
それで撮られる人が疲れて、「魂を抜かれる」という話が広まったという。

幕末の写真家・下岡 蓮杖(しもおか れんじょう)もそれに悩まされた。

当初は日本人は写真を撮影すると寿命が縮まると称してこれを嫌い、客はいずれも外国人であった。(中略)文久年間には根強かった迷信も次第に無くなり、日本人客も来るようになり店は繁盛した。

下岡蓮杖 

 

たしか歴史小説で、写真撮影をするときに魂を抜かれないように息を止めていて、それで倒れそうになったという話を読んだことがある。
それがホントかどうか知らんけど、撮られることに恐怖を感じた日本人はいただろう。

ほかにも写真は真(まこと)を写すものだから、自分の魂が吸い取られることで”真の姿”が写し出されると考えたという説もある。

 

幕末の上野彦馬が30秒ほどで撮影できる技術を開発し、この有名な坂本龍馬の写真が撮られた。

 

医学が未発達で、衛生環境も劣悪だった昔の日本では早死にする人が多くいた。
3歳・5歳・7歳まで生きていられたのはラッキーなことだから、それを神に感謝する「七五三」の風習も、いまではその目的がかなり薄れている。(もちろんこれはいいこと)
また、「ハックション!」とくしゃみをすると、魂が抜け出てしまう(=早死にする)と古代の日本人は信じていたから、すぐに「くさめ(嚔)」という呪文を唱えて魂が抜け出ないようにした。
この呪文がいつの時代か、「くしゃみ」ということばになる。
歌舞伎や狂言ではいまでも「くっさめ」ということばを使っている。

「くしゃみ」の語源は、死を防ぐための呪文だった。

現代の日本人だって、見たことのない異様な機械から発せられる光を全身に当てられたら、「体に悪影響がないか?」と不安になってもおかしくない。
昔の日本人にとっての写真撮影も同じで、未知への不安から迷信がうまれて、恐怖心を持った人たちの共感をよんだのだろう。

 

 

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。