ウワサに聞いてたこのお菓子をスーパーで見つけたから、買って食ったらうまかった。
別のスーパーではなぜか惣菜コーナーにこのデザートが鎮座していた。
イタリアの伝統的なお菓子マトリ…と言ってしまいそうになるけど、これはマリトッツォという。
このドルチェ(お菓子)の起源は古代ローマにあるというから弥生時代レベルか。
これはイタリア語で「夫」を意味する「マリート(marito)」に由来する。
男性が婚約者の女性にこのお菓子をプレゼントし、もらった女性はその男性を「夫(マリート)」と呼んだことにちなんで「マリトッツォ」になったという。
言ってみれば「勝負菓子」だから、この中に指輪や宝石を入れた男性もいたらしい。
日本でのブームについてイタリア在住の日本人の反応を見ると、「なんちゃってマリオッツォ」「もどき」 と冷ややかな人がいれば、日本のネットで有名になって初めてマリトッツォを知ったという人もいた。
ではイタリア人はどう思うのか?
そんなことに興味をもって探したら、『女子SPA!』の記事を発見。(2021/09/03)
日本のマリトッツォブームに、イタリア人も驚き「幸せな気持ちになる」
イタリアの大手新聞(La Repubbulica)がこのブームに注目して、「マリトッツォが日本と韓国でスターになった」と報じた。
ただマリトッツォはローマを代表する伝統菓子で、イタリア人なら誰でも知ってるような全国区のものではないらしい。
だから『女子SPA!』の記事を書いた現地在住の日本人がイタリア人にきいても、見たことないという人が多くて「マリトッツォの味を知っている人にはなかなか出会えません」と困るほど。
ローマ出身の人ですら、「よく見かけるけど、私は食べたことない」という状態だ。
イタリアではあまり有名ではないから、「日本でスターになった」と現地メディアが驚いたのだろう。
「信玄餅」がイタリアで大ブームになるようなものか。
それでもマリトッツォを知ってるイタリア人にとっては、「何より彼らの度肝を抜いたのが、日本での華麗なアレンジっぷり」とのこと。
イタリアにあるマリトッツォは基本ホイップクリームをはさんだシンプルなお菓子で、夏にはジェラートをはさむものもあるぐらい。
クリームしか見たことないイタリア人からすると、日本の魔改造には舌を巻く。
一方で日本のパティスリーに並ぶのは、抹茶やイチゴのクリーム、フルーツなどが入った色とりどりのアレンジ版マリトッツォ。詰め物のクリームは、“日本人らしく”スパッとまっすぐ整えられていたり、均等にカットされた具材が几帳面に整列していたりと、自国のマリトッツォとはだいぶ様子が違います。
イタリア人的には日持ちのしないマリトッツォが、日本では大量生産されてスーパーやコンビニで売られているのも「かなり不思議な現象」のようらしい。
海外から伝わったモノを自分の好みや価値観に合わせて、日本人が好き勝手に変えて別ものにすることはよくある。
キットカットはその代表例だ。
抹茶やあんこのマリトッツォはもはやフツーだから、こんなものまで登場した。
おいしそ~!
マリトッツォ旋風ついに和食にも シャリ+ネギトロ=「すしトッツォ」爆誕のきっかけを聞いた https://t.co/W44YS41910 @itm_nlab pic.twitter.com/1WDs8CiemW
— ねとらぼ (@itm_nlab) September 8, 2021
さて下の人物は戦前の日本を代表する東洋史学者で、「京大の学宝」と呼ばれた内藤湖南(慶応2年 – 昭和9年)さん。
内藤湖南は西洋人と、日本人をはじめとする東洋人の文化に対する態度を比較する。
西洋人は自分たちの文化に自負や自尊心を持っている一方、東洋人には謙遜の態度があり、他の文化を熱心に吸收しようとすると指摘した。
如何なる高尚な文化でも、どこまでも進んでそれを吸收して、さうして自分の文化と之を 一緒にしてやつて行かうといふといふ大きな希望と決心とを有つて居るやうであります。
「 日本文化とは何ぞや(其二) 内藤 湖南」
こういう態度があれば「東西文化融合」も可能になるという。
イタリアの伝統菓子を知るとすぐに、現地の人の想像を越えるような和風マリトッツォをいくつも作り出したところに日本人の文化吸収力が見てとれる。
「すしトッツォ」は別として、抹茶やあんこを加えたマリトッツォも東西文化融合のひとつだ。
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