基本的に外国語は見てもサッパリなんだが、いままで行った海外旅行で最も大きな衝撃を受けたのがアラビア語。
まず、文章を右から左へ書くという発想がボクの理解を超えていた。
だもんでこんな文を見たときには、「なんで文末をキレイにそろえてんだろ?」とマジで疑問に思ってしまいました。
でも、立場が変われば見方も違ってくる。
最近、日本語を勉強しているエジプト人とネットで話をしたとき、彼女ははじめ日本語に文字が3種類あることを理解できなかったと言う。
それはいうまでもなく、ひらがな・カタカナ・漢字の3兄弟のこと。
しかもそれぞれ別々に文章を書くのではなく、この3つを同時に使い分けて1つの文章を作るという発想が分からなかったらしい。
外来語はカタカナ、助詞はひらがな、単語は漢字とそれぞれの文字の役割を覚えて正しく使うというのは、このエジプト人にとってはピラミッドを逆立ちでのぼるほどむずかしい。いやしらんけど。
しかも単語は、カタカナやひらがなで表記する場合もあるから余計ややこしい。
これを難なくこなしている日本人は、彼女から見たら「うらやましい…」のひと言しかない。
コンピュータでもそのへんの判断がむずかしくて、こんな誤変換がよくネットのネタになる。
「思い出深い →「重いデブかい」
「教授会に行ってきます」→「今日樹海に行ってきます」(早まるな!)
「イブは空いています」→「イブは相手います」
昨日も「親ガチャ」を変換したら「親が茶」になった…。
さて、こんなアラブ人(エジプト人)と同じことを、別のアラブ人(サウジアラビア人)からも聞いたことがある。
マレーシアを旅行中、北部にあるペナン島から首都クアラルンプールまでバスで移動しようと考えた。
でチケットを買って、バスが出発するまで待っていた旅行会社のオフィスがこの写真。
従業員は中国系マレーシア人だから、オフィスの中には漢字や中国風の像がある。
このころはインターネットもない時代で、ここでバスを待っていたときは壮絶にヒマだった。
それですべて漢字表記のカレンダーや新聞を見て、意味の分かる漢字を拾っていって内容を想像するゲームをしていた。
すると同じくバス待ちで、ヒマをもてあましていた女性から声をかけられる。
ボクを中国系マレーシア人と思った彼女はマレー語で話しかけてきて、「ナニモワカリマセン」という顔に気づくと、あなたは外国人かときいてくる。
「あなたは日本人なんですか!」と驚くこの人もマレーシア人ではなく、サウジアラビアから来た留学生でクアラルンプールの大学に通っているという。
「白い肌をしているし新聞を見ていたから、てっきり中国人と思ったけど、あなたは中国語がわかる日本人なんですね」と言うこのアラブ人の想像は大ハズレ。
中国語はわからないけど日本語も漢字を使うから、意味のわかる言葉を集めていくと何となく内容が想像できるんです、と伝える。
たとえば、日本統治時代の台湾について説明するこんな中国語の文章を見れば、何となく意味がわかるのでは?
同時加強衛生體制,改造下水道并進行捕鼠工作。改農曆為公曆,在街頭放置時鐘,培養臺灣人的守時觀念。
同時に(日本は)衛生体制を強化し、下水道を改修してネズミの捕獲なども行った。旧暦をグレゴリオ暦に変更し、街中に時計を設置して台湾人の時間を守る観念を培った。
文章の理解については個人差があるとしても、日本人なら、どうみてもコレよりはわかるはず。
でも、アラブ人にはこれが理解不能のようす。
まず彼女はサウジアラビア、エジプト、シリアなどのアラブ世界でアラビア文字を使っていることと重ねて、「日本語=中国語」と考えた。
そうではなくその2つはまったく別の言語で、何%か同じ漢字を共有しているだけ、日本語は他にもひらがなとカタカナという文字を使って文章を書いていると説明する。
日本人にとっては、
・わたしはぶろぐをかいています。
・ワタシハブログヲカイテイマス。
・私葉部路具尾書胃手胃魔素。
なんて文は分かりづらくて、3つを混ぜた「私はブログを書いています」が一番いいのは一目瞭然。
でもそれがこのアラブ人の想像を超えていたようで、「同じ文の中で同時に3つの文字を使うの? 日本人は天才ですか?」と驚がくする。
そして、
それぞれの文字にはどんな意味や目的があるのか?
なんで混在させるのか?
そもそもどうして文字が3つも生まれたのか?
と質問をたたみかけてくる。
すまないがその事情は複雑だから、英語では(日本語でも)説明できないと言うと、「そうか」とすぐに引き下がる。
でも日本語の仕組みを知ったこのアラブ人さんは、日本人がとても優秀で、日本がアジアの中でずば抜けた先進国になった理由がわかったと言う。
それはどうかと思うけど、本人が納得してればそれでいい。
そんなやり取りをしているとバスがやって来た。
冒頭のエジプト人の感想と合わせてみると、アラブ人にとって複数の文字を同時に使う言語というのは、かなり複雑でむずかしいものに見えるらしい。
同じ思いの外国人も多いはず。
でも国際的な英語テストを受けると、日本の結果はいつも下から数えたほうが早いから、これと言語の能力は特に関係ない。
こちらの記事もどうぞ。
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
コメントを残す