“過去”から抜けられない韓国、まだ日本に反省と友好を求める

期間限定ではなくて、戦後最悪と呼ばれるいまの日韓関係。
そんな気まずい雰囲気が固定したままここ数年が過ぎ、韓国では日本企業の資産が現金化される可能性、デッドラインがどんどん高まっている。

「この悪化原因は韓国側による合意破りや国際法違反にある」という日本の主張をあちらは認めず、日本の納得する解決策を提示しようとしない。
にらみ合ったまま時間だけが過ぎていき、日本企業の財産が不当に奪われる事態になったら、日本政府も「きわめて遺憾」で済ますことはできず、当然報復するしかない。
韓国としては、これだけは何とかして避けたいところ。

関係改善を求める気持ちは日本も韓国も同じだけど、過去の歴史問題についてはお互い、「一致できないことでは完全一致」という状態で話し合っても平行線を確認するだけ。

少しでもそんな不幸な状況から抜け出すために、日本・韓国の理想的な交流が行われたといわれる「朝鮮通信使」を持ち出すのは自然な発想だ。
韓国の全国紙・中央日報で、元朝日新聞の記者がこれに注目してコラムを書いた。（2021.10.10）

朝鮮通信使の善隣外交学び、韓日交流の糸口開かねば

豊臣秀吉が朝鮮出兵（韓国では朝鮮侵略）を行ったことで、日本と朝鮮の関係は断絶するも、次の家康の時代になってから幕府が朝鮮に国交再開を要請し、朝鮮通信使が日本へ派遣されるようになった。
これを指して、「関係が険悪な時期があればまた関係を回復しようとする時期もある」とコラムの筆者は指摘する。

＊朝鮮通信使とは室町時代から江戸時代にかけて、朝鮮政府が日本へ派遣した外交使節団のこと。
一般的には江戸時代に新しい将軍が誕生すると、そのお祝いをするためにやってきた朝鮮の使節団を指す。
ただ江戸幕府は使節団を貢ぎ物を届ける事実上の朝貢使節として扱っていたから、日朝の友好的な交流は行われていても、朝鮮との認識の差はすでにあったのだ。
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朝鮮通信使

氷の下にも水は流れるように、政治的には最悪でも若者の文化交流は熱くて、Ｋ－ＰＯＰや韓国ドラマ、韓国料理などから韓国に興味を持つ日本の若者が多いそうで、筆者はこんな希望を書く。

「２０年後のいまの中高生が社会の中心で活躍する世代になれば韓日関係も自然に良くならないか」

朝鮮通信使の記録には、「日本の料理は非常に簡素だ。食べ終わったら取り分けて食べるため残すことがない」とある。
日韓交流イベントに参加した日本の学生が食文化の違いについて、「日本は食べ物を残さないことがマナーだが、韓国では残さなければ『足りない』という意味と考えるため残すのがマナー」と書いたのを見て、時間を超えて互いに似たような感想を持っているのが「うれしかった」という。

だがしかし、ほのぼの話はここまでだ。
韓国の兪弘濬（ユ・ホンジュン）教授の言葉を取り上げたことで、すべてが台無しになる。

兪教授によると、朝鮮通信使の「通信使」という名前は「信頼が通じる」という意味だという。「過去の過ちに対する日本の率直な認定と朝鮮人捕虜の送還後に成立した善隣外交だった」とする。

この数百年前の話を「いま学ぶべき」という筆者は、「現代の朝鮮通信使のような若い世代がますます増えることに希望をかけたい。」と書いて気持ちよさそうにコラムを終える。

韓国には、過去の歴史に対する日本の真の反省や謝罪を交流の条件にする考え方があって、それが原因で最悪の関係になったというのに、いまでもそれを求めているらしい。
通信使を派遣していた朝鮮政府は、日本と話し合って合意したことをひっくり返したり、蒸し返したりしなかったはずだ。
お互い最低限のルールを守っていたから、「信頼が通じる」という状態が生まれて交流がうまくいったのに、このヒトはそれを無視して、「過去の過ちに対する日本の率直な認定」をサラリと要求する。

もっとも本人はそう書きたくなかったかもしれない。
韓国メディアのほうからそう書くよう要請があったかもしれないが、どっちにしても、いまの日本人ならこんな「善隣外交」なら拒否する。

正義連のような反日的な政治活動を行う団体が、日本の首相に謝罪を求めることは昔からやっているし、これならまだいい。

中央日報の記事（2021.10.06）

正議連「岸田首相、慰安婦犯罪を認めて謝罪せよ」

でも純粋な文化交流に歴史問題を持ち込んで、「過去の過ち」への率直な認定なんて要求してはいけない。
そもそも韓国政府はすでに、歴史問題についての「最終的な解決」を日本に約束したのだから。
日本の政治家ではなくて、直接関係ない中高生に「過去の認定」を求めたら日本の大人は必ず激怒する。
韓国は日本に反省と謝罪を求めるか、それとも友好かのどちらかを選ぶ必要がある。
政治問題の解決と文化交流の両立はムリ。
両者は最低限わけて、切り離して考えないといけない。
戦後最悪の関係になって「韓日交流の糸口開かねば」というのに、韓国はその両方を求める自殺行為をする。
“過去”を何度も蒸し返して善隣外交や友好関係を希望しても、日本がその期待に応えることはない。