「日本は、いい場所だね。」
そんな広告が読売新聞に掲載されたのは、先月11月17日のこと。
広告主は全国で冷凍餃子の無人販売をおこなう「雪松」で、そこがどんな店舗なのかはこの動画を見ればわかるはず。
中に店員はいないし、レジもない。
冷凍庫から餃子のパックを取って料金箱にお金を入れて出て行くという、客の誠意にかけた冒険的な無人の餃子販売所だ。
この戦略が当たって、いまでは全国に約280店舗あるという。
料金箱のお金がなくなった餃子の数と合わないこともあるだろうけど、このやり方でも利益が出るのは、ここが正直者の住む国だから。
海外だったら社内で企画を出した時点で、「おまえ気が狂ったのか?」と却下される国がほとんどのはず。
読売新聞に広告を出したのは、店舗でちょっとした“事件”があったからだという。
餃子と引き替えに、客がお金を料金箱に入れていくことが繰り返された結果、箱のキャパを超えてしまい、後から来た客のお金がどんどん積みあがってしまった。
にもかかわらず、「ヒャッハー!」となって強奪する人はなし。
監視カメラでそれに気づいた「雪松」の社員(か関係者)があわてて回収に行った。
「こんな商売ができるのは日本ぐらいだ!」という感動を全国にシェアしたという気持ちから、「日本は、いい場所だね。」という新聞広告を出すことを決めたという。
この話にネットでは、「イイハナシダ~」と思う人ばかりでもなかった。
・監視カメラあるんだろ
当たり前じゃん
・焼き餃子好きは良い奴なんだ
・こんな国に生まれ育って誇らしい
・いい話のようだけど人件費を節約したいだけでしょ
・あれ良心ある人が多くないと成立しないだろ…
・むしろ多く投入されていることもあるらしいよ
「雪松」は日本の中で、特に民度の高いエリアに出店しているわけでもないし、畑の野菜や果物が盗まれるとかいう話をよく聞くようになったけど、こういう無人店が増えているのなら「日本は、いい場所だね。」はきっと正しい。
外国人からすると、「盗めるのに盗まない」という日本人の正直さは昔から驚異的に見えることがある。
明治時代に東京大学の教授になったり、大森貝塚を発掘したことで有名なアメリカ人のモースという学者は、日本人が正直であることを示す最もいい例としてこう書く。
三千万人の国民の住家に錠も鍵も閂も戸鈕も――いや、錠をかける可き戸すらも無いことである。昼間は辷る衝立が彼等の持つ唯一のドアであるが、而もその構造たるや十歳の子供もこれを引き下し、あるいはそれに穴を明け得る程弱いのである。
「日本その日その日 モース エドワード・シルヴェスター」
モースと申す。(1838年 – 1925年)
日本はいい場所だけど、さすがにカギをかけないの危険すぎる。
でも、モースが称賛した日本人の精神はいまもある。
現代でも外国人がこんな無人販売所を見つけると、国や宗教に関係なく、いろんな人が高い確率で「マジかよ!」とおどろく。
個人的にそんな反応を何度も見て、「ここまで完成された民度は世界で日本だけ?」という疑問が浮かんだので、ネットで外国人に海外のようすを聞いてみた。
その返事を原文も載せたので、英語を学びながら見ていきましょー。
*これはあくまでも個人の主観です。
・フランス人:Love this concept, goes to show why I really like Japanese ppl and culture, it’s just so thoughtful.
Have also come across this in France, Italy and Spain in the more rural areas. Brilliant!
私が日本の人々や文化を大好きな理由はまさにこういう考え方。
とても思いやりがある。
フランス、イタリア、スペインでも、地方ならこんな光景を見たことがある。素晴らしい!
・ベルギー人:If you try this in Belgium ,they will steal everything and destroy everything.
ベルギーでこんなことをしたら、すべて盗まれて破壊される。
・イギリス人:We have some phone box libraries in the UK, using old telephone boxes.
イギリスには、古い電話ボックスを利用したライブラリー(無料の本の交換所)があります。
アメリカ人:Im sure the goods will be lost and the money too . Just kidding. It depends which place you put that.
商品はもちろん、お金もなくなってしまうだろうね。というのは冗談。それは置く場所による。
・ドイツ人:There’s a few around my neighbourhood. People with gardens set out fruit, vegetables and sometimes young plants for other growers. There’s a box for money. It seems to work reasonably well here but I’ve lived in places where I wouldn’t want to risk it.
私の近所にもいくつかあります。
庭を持っている人は果物や野菜、時には他の生産者のために苗(苗木)を置いています。
お金を入れる箱があって、ここではそれなりにうまくいっているようです。
ですが私は以前、そんな危険はできないような場所に住んでいたことがあります。
・オーストラリア人:In Australia in the rural areas you used to see it alot. Now adays not so much….due to theiving passers by.
オーストラリアの田舎では昔はよく見かけた。
でも、最近はあまり見かけなくなった….。通りすがりの人が盗みを働くようになったから。
・インド人:If installed in India, u’ll find the stand missing. Incredible indya!
インドで設置したら、販売所がなくなっていることに気づくでしょう。
インクレディブル・インディア!
・(上のインド人の返事で)アメリカ人:same with in the US. No moneys, no foods left. Even, i don’t think the boxes will survive. Sad but true
アメリカも同じ。
お金も食べ物も残ってない。箱があるとも思えない。悲しいけど真実だ。
・フィリピン人:We have here in Philippines. The “Honesty Store”
フィリピンにもあるんですよ。「オネスティー・ストア」と言います。
・マレーシア人:People will rush it and take it all. And not forget to vandalize it.
人々はそこに殺到し、すべてを奪うでしょう。そして、破壊することも忘れない。
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