【自業自得】日本の処理水放出、恐怖をあおった韓国に打撃

 

福島原発から出た放射性物質を含む汚染水を、国際基準を満たした安全な処理水に変えて海に放出する。
ことしの春ごろ日本政府がそう発表すると、文政権下の韓国は大騒ぎになった。
ネットメディアではなくて、韓国の全国紙がこんなオソロシイ記事を連発するのだから、国民が受けた不安や衝撃の大きさも相当のモノだったはず。

中央日報(2021.04.10)

日本、結局は海に汚染水放流へ…恐怖広がる韓国

ハンギョレ新聞(2021-04-13)

「日本の福島原発放射能汚染水放流は“核テロ”…撤回せよ」

いま大統領選挙に立候補している与党の李在明(イ・ジェミョン)氏はこう言った。
ハンギョレ新聞(2021-04-26)

京畿道知事「日本の汚染水、命がけの闘いが始まる」…輸入水産物の放射能検査拡大

なるほどなるほど。
だが待ってほしい。
韓国国民の健康被害をホンキで考えるのなら、福島原発の処理水を「核テロ」と非難するよりも先に、いま韓国の月城原発が海に流している処理水を止めるべきでは?
月城原発から出る放射性物質・トリチウムの量は、福島原発よりも大きいという指摘もがあるのだから。

 

でもそれ以前に、まずは事実を知って正しく恐れるべきなのだ。
日本の処理水排出については、国民や環境への影響は特にないと韓国政府が確認している。

聯合ニュースの記事(2021.04.15)

汚染水の海洋放出 「科学的に問題ない」=韓国政府報告書

科学より反日が先走っている。
そんな社会の風潮をみて、韓国原子力学会が「ほとんどの韓国メディアが放射能の恐怖をあおる報道をしている」と苦言を呈し、韓国政府には「政治的で感情的な対応を自制し、科学的な事実を土台として問題を解決する」よう注文をつけた。

自国で最も科学を知る人たちがこう言ったにもかかわらず、韓国社会は変わらない。

中央日報(12/23)

韓国釜山機張郡、福島原発汚染水海洋放出に対して「殺人行為直ちに中断を」

釜山北東部にある人口約16万人の機張郡は、

「日本政府が自国の利益のために機張郡民と国民の命を担保に福島原発汚染水放流決定を実行に移そうとしている」
「海洋環境を破壊して機張郡民の食と安全、生命、生計を脅かす殺人行為を直ちに中断しなければならない」

と主張し、日本の海洋放流については「即刻的で厳重な対応を我が政府にもう一度強く要求する」と強調した。
すぐ近くで月城原発が同じことをしているのに、機張郡民の食と安全、生命、生計が脅かされたのか?

 

こんなふうに全国メディアが大げさな報道を繰り返せば、社会に放射能の恐怖が広がるのは当たり前。
するとその被害は韓国の水産物業者が受けることになる。
賛成はできないが、こうしたくなる気持ちは分からなくもない。

読売新聞(2021/12/26)

【独自】韓国で「日本産」を隠す産地偽装が増加…水産物の「風評」拡大が背景か

読売新聞は文政権下の韓国で「日本産水産物に対する風評被害が広がっている」と指摘した上で、「日本産と表示しなかったり国内産と偽ったりする販売業者の産地偽装が社会問題となってきた」という。

でも日本の処理水放出の安全性については、国際原子力機関(IAEA)や米の専門家も妥当と評価している。
韓国原子力学会も、

「韓国政府やマスコミに科学的事実に基づく正しい政策や報道を求め、国民にも「情報洪水の中で正否を判断できる成熟した市民意識」の必要性を訴えた」

とある。
そして環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を目指す韓国政府には、「国内で科学的評価に基づく情報を発信するなど、風評被害への対応も迫られそうだ。」という。

「恐怖広がる韓国」「“核テロ”…撤回せよ」「命がけの闘いが始まる」とメディアや政治家が根拠のない不安をあおった結果、自国の水産物業者がダメージを受けて、今度は韓国政府が風評被害への対応をしないといけなくなった。
いつもながら、なんと大きな反日という名のブーメラン。
「政治的で感情的な対応を自制し、科学的な事実を土台として問題を解決する」と求める専門家の声に耳を傾けていれば、こんなことはならなかったはず。

 

 

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。