【嫌韓が広がる原因】韓国も認める、日本人の謝罪疲労感

 

日本と韓国の関係は悪化坂を転がり続けて、いまでは「戦後最悪」というところまで落ちてきた。
そんなことは日韓メディアの報道で、耳にタコが2、3匹できるぐらい聞いていたから、よく知っていたのだが、最近そんな冷たい空気を肌で感じた。

きょねん日本に来た韓国人から、コンビニのサービスでは日本のほうが上、でも公共交通機関の利便性では韓国のほうが上だと思った、という話を聞いたから、彼の感想をもとに記事を書いてSNS上のグループに紹介した。

韓国人がソウルで満足/不満なところ。日本で感じた不便

韓国に批判的な人の集まるグループに「韓国人が日本で感じた不満」なんてものを放り投げたら、侮辱的・差別的なコメントが殺到することは目に見えていたからそこはスルー。
海外旅行が好きだったり、外国に興味のある人が参加するグループに投稿したところ、「不満を言うなら日本に来るな」、「イヤなら帰ったら?」というアンチ・コメントが複数きていてびっくり。
もちろん、「それぞれ違いや長所短所がありますね~」といった当たり障りのない書き込みが多かったものの、韓国への敵意や憎悪を感じるコメントもあって「こんな投稿がここでもダメか?」とおどろいた次第。

これまでの経験上、一般的な海外好きグループでなら、韓国アンチの書き込みはとても少なかった。
もしそういう人がいても、「『来るな』、『帰れ』という言い方は良くない」とたしなめる人が出てきて、バランスを取ろうとする動きが働いたはずなのに今回それがない。
この無反応には、いまの日本人が韓国に向ける冷たい視線を感じざるを得ない。
これは個人的で小さなことだけど、いままで「嫌韓」をこんなふうに感じたことはなかった。

 

「韓国キライ」の日本人が増えた理由は明白で明確だ。
2年前に日韓のメディアが行った世論調査によると、「韓国を信頼できない」と答えた日本人は過去最高となる74%もいた。
慰安婦・元徴用工問題での韓国側の“合意違反”がその原因だ。

読売新聞の社説「対韓感情の悪化 「歴史蒸し返し」への苛立ちだ」にはこう書いてある。(2019/06/12)

「歴史問題などの対立のために、日本国民が韓国に向ける視線は、かつてなく厳しくなっている。文在寅政権は重く受け止めねばならない。」

「国家間の約束を守らず、国際常識に反する行動をとる国が、信頼を落とすのはやむを得まい。」

「韓国は執拗に歴史問題を蒸し返し、日本を非難し続ける。国民の苛立ちは鬱積している。今回の結果はその表れではないか。」

慰安婦問題での日本のさらなる謝罪について、日本の「必要はない」が80%に対して、韓国では「必要がある」が87%と正反対の認識。
元徴用工問題で韓国側が国際法に違反したという日本政府の主張についても、日本の約8割が「納得できる」、韓国では約8割が「納得できない」とこれも真逆の結果だ。

 

韓国政府が過去を蒸し返し、反省や謝罪を要求することで、日本人がイラ立って対韓感情は悪化した。「嫌韓」を増やしてしまった。

そんな見方は韓国にもあって、つい先日、韓国文政権の反日姿勢をメディアがこう批判する。

中央日報日本語版のコラム(2021.03.17)

日本国内に謝罪疲労症と和解に対するあきらめによって嫌韓と反韓が広がっているという現実を見なかった。日本国内の親韓派が無力化した現実にも目を閉じた。

国家生存を脅かす3つの幻想=韓国

 

日本国民が韓国に向ける視線は厳しくなっている。文在寅政権は重く受け止めねばならない。
2年前、読売新聞はそう言ったのに、韓国政府はこう考えていたらしい。

日本が加害者だが、自己反省も不足しているから最後まで強く出て勝負をつけようとする。「負けるはずがない」から妥協する理由もないという勢いだ。

 

国際法違反の状態を是正してほしいという日本の要求を、文政権はずっと無視してきた。
「最後まで強く出て」、「妥協する理由もない」という見方はこの態度を裏付ける。
ただその結果として、韓国に対する日本の「信頼が底まで落ち、信頼を取り戻す術もない」と自己批判はしている。

「日本が加害者だが、自己反省も不足している」という一方的な認識は政府だけじゃなくて、韓国社会に広くあるだろう。
9割もの人が慰安婦問題で、日本の謝罪が「必要」と答えたのだから。

 

結局、「日本=加害者、韓国=被害者」という設定を変えない限り、韓国による「歴史蒸し返し」とそれへの日本人のイラ立ちも止まりそうにない。

韓国好きが集まるSNS上のグループを見ても、「このまえキンパを作って職場に持って行きました。職場にも韓流ブームを広げたい!」、「韓国料理にハマり、韓国語を勉強し始めました。新大久保は天国です。」というメッセージと「いいね」ばかりで、加害者や被害者なんてどこにもいない。
間違った発想から始めれば、「戦後最悪」という誤った結果になるのは必然。

台湾が嫌いな「嫌台・反台」なんてことばは見た記憶がない。
日本統治という共通の歴史をもつ台湾と比較すれば、「嫌韓」を発生させているのは韓国自身なのは明らかだ。
過去の歴史問題については1965年と2015年の2度、韓国政府が「最終的な解決」を確認したはずなのに、「日本が加害者で自己反省も不足している」といまでも言い出すのだから、日本人のあいだに謝罪疲労感、嫌韓、反韓が広がるのは当たり前。
それが広く浸透しているように思う。

 

このまえ韓国人の読者さんからこんなコメントをもらった。

「こんなことを言わなければならないのが恥ずかしいけど文さんの言うことには全く真実が込められていません。
日本人が韓国人を全部文さんのような性格の人だとみなすのが怖いです。」

文大統領の対日姿勢を批判する韓国人がいるのは事実。
「韓国社会=反日一色」ではないので、このへんのバランスはしっかりとらないと、良い意味での親日的な韓国人を敵に回すと、それは日本にとってのマイナスにしかならない。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

住宅地にお墓!韓国人が日本で驚いた、陰陽・死生観の違い

日本中国韓国の食文化:正月料理「雑煮・餃子」の同じと違い

悪人に慈悲:日本人と中国人&韓国人のやさしさ・価値観の違い

日本人・中国人・韓国人の外見/日中韓の歴史・文化的な違い

今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?

韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?

 

4 件のコメント

  • > 「韓国社会=反日一色」ではないので、
    それはそうでしょうが、反日一色+α(誤差範囲)程度じゃないですか? 全体的には、まだまだバランスなんか取れていない、むしろ韓国側からの日本に対する口撃・攻撃が日に日に強まっていると思いますがね。

    そう言えば他のサイト(https://sincereleeblog.com/2021/03/22/hajimarinisuginai/)で見たのですが、
    > 日本強制徴用被害者と遺族など85人が、日本企業17社を相手に2015年に提起した損害賠償訴訟の裁判が、5月に再開される。(中略)これは始まりに過ぎません。どんどん増えるでしょう。強制徴用被害者は700~800万人だった、という設定になっていますから。基本的に、同じ判決になるでしょう。最高裁判所の判例がありますから。
    だそうですよ。このような韓国側の動きは、日本側が「良い意味での親日的な韓国人を敵に回す」かどうかに関わらず進んでいくと私も思います。この流れを逆転させるには、韓国人自身が考え方を変えて、自分たちの認識が誤っていることに気づくより他に方法はありませんよ。約束を破って、また喧嘩を売ってきているのは韓国側なのですから。
    たとえば今回の記事にしても、もうね、2国間の関係をプロの政治家・学者やメディア関係者が「勝ち負け」でしか評価できないような考え方では、まともな国際関係を築くことはできないでしょうね。今後の状況がどうあっても、日本にとってマイナスにしかなりません。でもね、無理にプラスにする必要ありますか?
    先の見通しは暗いですね、残念ながら。

  • 文が立て続けにやってくれたおかげ。どれだけ寛容な人でもさすがにそうなるでしょよ。

  • 日本好きの韓国人は味方にしたほうが日本のメリットになります。
    まわりにそういう韓国人がいるので、心情的にはそう思いますね。

  • 日韓関係を改善する必要はない。
    親日的な台湾との交流を深めるほうが精神衛生上遙かに良い。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。