いま日本人に必要な精神:「敵に塩」より、ずる賢さと覚悟

 

きょう1月11日は「塩の日」。
人間が生きていくために、塩はなくてはならない超大事なもの。
昔は塩は貴重品だったから、ラテン語の「sal(塩)」はサラリーやサラダの語源になったのだ。

【塩の日】サラリー、サラダ、サルサの語源は「塩」だった件

戦国時代の1569年、武田信玄が支配する甲斐(山梨県)で塩がなくなってしまい、信玄は大ピンチにおちいった。
するとそれを聞いた上杉謙信が越後の塩を送って、敵の信玄を助けたという。
好敵手である信玄とは戦いで決着をつけたかったのだ。
そんなイイ話があったのが1569年の1月11日だったから、いまの日本でこの日はソルトデーになっている。

 

日本は路上にゴミが落ちてないし、とてもキレイな国だと外国人の間で評判だ。
精神的にもクリーンで、2018年のサッカーロシアワールド杯ではグループリーグ(32か国)で日本のファウル数が一番少なかった。
英メディア『BBC』の報道によると、日本はこれまでW杯で戦った19試合でレッドカードが一枚もないという記録を持っている。
卑怯な行為を嫌い名誉を重んじて、正々堂々と真っすぐに勝負を挑む。
「敵に塩を送る」の精神をまだ日本人は失っていない。
なおポーランド戦はしらない。
でも、いつまでもそれでいいのだろうか?

 

日本はロシアW杯でアジアの国では唯一となるベスト16に進出するも、ベルギーに負けて散った。
翌年2019年のアジアカップの決勝戦では、カタールに負けて2位で終わる。
その試合を見ていたブラジル人のサッカー記者は、日本にはこれがなかったと指摘した。

Sportivaの記事(2019/2/10)

アジア杯の日本に足りないと感じたもの…”マリーシア(狡猾さ)”の欠如

海外の専門家の目から見ても、戦術や技術などではカタールよりも日本代表が上回っていた。にもかかわらず、負けてしまった原因はメンタルにある。
キレイさではなくて勝利を第一目標にするのなら、あえてファウルを行う「汚いプレー」も必要だ。
Jリーグ発足当時から日本サッカーを見てきたこのブラジル人記者は、「いまだに感じるのが、ジーコが何年も前に指摘した”マリーシア(狡猾さ)”の欠如だ」と書く。
Jリーグでプレーをした経験のあるビスマルク氏もこの一戦を見て同じ感想を持つ。
試合を支配していたけど負けた日本は、カタールに比べて「何が何でも勝つという気持ちとマリーシア」が欠けていたという。

 

ただマリーシアは正々堂々の反対で、相手を怒らせるし観客のヒンシュクも買う。
その名手であるブラジルのネイマール選手は、相手と触れるとすぐ大げさに倒れたりピッチ上を転げ回る。
ロシアワールド杯でもその「倒れ芸」が世界中のメディアにぶっ叩かれた。

世界最高レベルのテクニックを持つネイマール選手のすごいところは、自分がサッカーをする目的をハッキリさせていて、そのために批判される勇気や覚悟を持っていることだ。

「サッカーダイジェスト」の記事(2018年07月03日)

僕を弱らせようという試みだろうね。だからそういう批判を気にするつもりはないよ。だからメディアの前で話したくなかったんだ。プレーはし続けなければいけないし、チームメイト、チームを助けなければならない。その為だけに僕はここにいる。勝つためにここに来ている

 

チームに勝利をもたらすためには審判や相手をだますズルさも必要で、試合でそれをするには、批判に負けない強い精神力が不可欠になる。
ファウルをしないことが目的ならいまのままでいい。
でも日本代表が試合に勝つことを第一目標にするなら、「敵に塩を送る」の逆で「ムカつくほど汚いプレー」もするべき。
スポーツ選手や外国人を相手にする日本人にはマリーシアの精神と、それで批判される覚悟が必要だとよく思う。

カンボジアでは日本企業が公正でクリーンな方法をとっているから、中国や韓国の企業に受注で負けてしまうという話を聞いた。
現地の人の感覚だと、中韓企業のやり方はフェアではないけど正解だ。
くわしいことはこの記事を。

日本人と中国人&韓国人の違い②ワイロは速達料金のようなもの?

 

 

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1 個のコメント

  • サッカー国際大会の試合と、海外での商売と、国内での商売と、国内社会での日本人の「生き方」とでは、それぞれ全く話が違いますからね。その塩梅が難しい。
    これから世界の一角で人生を送るであろう日本の若い人たちには、その辺も踏まえて、賢く上手に悔いなく甲斐ある生き方を貫いて行ってほしいところです。そのように努力すればきっと満足感も得られますよ。
    かと言って、まあ、あまり深刻に考えるのも逆効果でしょう。たまには休息も必要。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。