幕末の日本に来たドイツ人シュリーマンは、役人からワイロの受け取りを拒否されて、それは「彼らに対する最大の侮辱」だと気づいて感心した。
平成の日本に来た知り合いの中国人は「たった140万円で逮捕されるなんて、日本はワイロにすごく厳しいですね!」とおどろいた。
そのことはこの記事をどうぞ。
今も昔も日本人はワイロに対して厳しいかもしれない。
キレイなことはイイコトだ。
日本国内ではね。
ところ変われば常識も変わる。
日本社会のワイロ潔癖症を東南アジアに持ちこむと、ライバルに先を越されてしまうこともある。
カンボジアではそんな現実が起きていた。
中国人や韓国人と違って、日本人は決めるのが遅い!
失敗を恐れすぎている!
だから、中国や韓国の企業に仕事を奪われるんです。
と、カンボジアの日本語ガイドが嘆いていたことは前回書いた。
今回は、日本の企業が中国や韓国の企業に負けてしまう2つ目の理由を書いていこうと思う。
それは「日本人はキレイすぎる」から。
中国や韓国、他の国の会社は、力のある人にワイロをわたして仕事をもらっている。
でも、汚いことが嫌いな日本企業はそれをしない。
裏工作をまったくやらないわけではないけど、中国や韓国企業に比べたら天使のようにきれい。
日本語ガイドから聞いた話では、ワイロの感覚が日本とカンボジアでは違う。
「良いことではないけど必要な場合もある。そうではないと、仕事が進まないことがある」とガイドは話す。
カンボジアの役人は給料が少ないから、ワイロがないと生活が苦しいらしい。
知り合いの中国人も同じようなことを言っていた。
「要は程度の問題ですよ。感謝の気持ちをちょっとしたお金や物で表すぐらいなら、ワイロというほどじゃないです。人間の社会ですから、そのほうがうまく回ります」
これは中国で日本語ガイドから聞いたことだけど、ワイロは郵便の速達料金のようなものらしい。
それを払うとものごとが早く進む。
この中国人にはワイロに対して、罪の意識はなかったと思う。
ミャンマーの日本語ガイドは「役人にワイロを払わないと、日本語ガイドの免許更新ができないんです」と言っていた。
それでもとくに怒っている様子はなく、「仕方ないです」と完全にあきらめモード。
東南アジアではワイロをなくそうとするより、そういう社会とうまくつき合っていこうとする考え方のほうが般的のように思う。
ボクが話を聞いたのは数年前のことで、いまはわからないけど。
いまのカンボジア経済は上昇傾向にある。
人々の収入が増えて、生活がどんどん良くなっている。
そんなアゲアゲ経済の象徴が、2014年にオープンした「イオンモールプノンペン」だ。
これは成功していて、いまはイオンモール2号店を建設している。
でも、残念なお知らせがある。
カンボジアは親日的な国でイオンは日本企業なのに、1号店と2号店の受注に成功したのは韓国企業だ。
しかも2号店の受注では、日本企業は韓国ヒュンダイより安い金額を提示していたのだけど、なぜか韓国ヒュンダイに決まってしまった。
見えない力、何かの政治的要因が働いたらしい。
「カンボジアで日本企業は仕事がとれない!韓国や中国に奪われている!」という日本企業のツライ現状は、下のサンケイビズの記事(2017.11.13)を読めばわかる。
その大きな理由は、日本語ガイドが指摘していた”日本人のクリーンさ”にあった。
中国や韓国企業は賄賂や接待などを駆使して、手段を選ばず仕事を取りに来る。例えば、政府高官に高級車を贈る、海外に連れていって接待する、といった話は珍しくありません。彼らにとっては結果がすべてなんです。
このニュースにネットの反応は?
・戦後日本がアジアに金撒いて作り上げてきたコネが
ここ数年でオセロのように中韓にひっくり返されてるね
・もうホント冗談抜きで四季しか無い国になりつつある
・今はコンプライアンスに五月蠅いから型どおりで終ちゃってんだろうな
・復興初期の手間がかかるところは日本が金出して
中産層が育って市場が大きくなったら中韓が持って行った感じ
・政府まで癒着してるんだから誰も汚いだなんだ声を上げない
「ワイロはいけない!」というのは分かるけど、日本人のキレイな感覚をカンボジア社会に当てはめると、中国人や韓国人には勝てない現実もある。
日本の歴史でワイロといえば何と言っても、江戸時代に老中となって幕政の実権を握った田沼 意次(たぬま おきつぐ:1719~1788)が有名。
田沼意次
第積極的な経済政策を進めたが、賄賂政治が横行し、子の意知(おきとも)が城内で斬られてのち、勢力を失って失脚。
デジタル大辞泉の解説
このあとに寛政の改革をおこなった松平定信は田沼のやりかたを全否定する。
はっきり言って松平は田沼が嫌いだった。
松平定信は風紀を粛清して、ワイロを許さない世の中をつくろうとする。
でも庶民には、そんなキレイな社会は住みにくかったらしい。
”汚い”田沼時代をなつかしむこんな狂歌が人々の共感を集めた。
田や沼やよごれた御世を改めて 清くぞすめる白河の水
白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき
人間が生きるには、少し濁っているところの方がいいらしい。
この時代の日本人には、ワイロは速達料金のようなものだったかも。
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