米と海苔が出会っておにぎり爆誕。でも外国人からは“不要論”

 

本日2月6日の「海苔の日」。
つーことで、前回につづいて今回も海苔について。
701年の大宝律令に日本最古の海苔の記述があること、いまの日本人が手軽に食べられるのはイギリス人女性のおかげであることはこの記事を。

【海苔の日】日本最古の記録・恩人のイギリス人女性

オイシイ食べ物を作るには、素材が本来もってる良さを引き出す方法があるし、他の素材と組み合わせるやり方もあり。
大航海時代にアメリカ大陸から、当時のヨーロッパ人には未知なる食べ物だった「tomato」がやってきて、イタリアでパスタとの幸せな出会いを果たす。
両者の抜群の相性のよさから、パスタは大人気となる。

日本の食文化ではそんなオイシイ組み合わせに、お米と梅のコラボの「日の丸弁当」や「梅おにぎり」がある。
梅は保存がきくし殺菌の効果もあるから、鎌倉幕府が兵士の軍食にしたことがきっかけで、梅おにぎりが日本全国に広まったという。

日本、世界で人気の“梅干しおにぎり”。はじまりは承久の乱!

 

米と海苔が出会ったことで、日本の食文化はトンデモナク豊かになった。

 

 

食べ物の歴史にはときどき、その前後で一変するような革命的変化が起こる。
例えば、もともと液体だったチョコレートは19世紀にイギリス人が固体にしたことで、初めて飲み物から食べ物になって、いまではそれが世界中のスーパーやコンビニで売られている。
常識がひっくり返った現代では、本来のホット・チョコレート(チョコレート・ドリンク)の方が逆に新鮮かも。

上の包装紙に書いてあるように、海苔が「パリパリ」の紙状になったのは江戸時代のときだ。
江戸湾(東京湾)で採れた海苔と、当時の浅草で発達していた和紙(浅草紙)を作る技術が出会い、板海苔が登場して全国に普及していく。
いまではコレが常識というか、海苔の定番になっている。

【浅草紙】お尻を紙でふく文化はいつ日本人に定着したか?

 

まえに知人のポーランド人が首都ワルシャワで、「こんなお店を発見しますた!」と送ってくれたのが下の写真。

 

 

このおにぎりの販売所「ニイガタ」では、梅干し、鮭、焼き芋、ツナ、納豆のおにぎりを売っていたという。
「焼き芋おにぎり」は案外ヨーロッパ人に受けるかも。

そんな話を聞いて、「そういや日本のコンビニやスーパーで、納豆おにぎりを見た記憶がないな~」と思って調べてみたら、納豆菌はまわりのごはんも発酵させてしまうから、おにぎりの長期保存に適していないらしい。
殺菌効果のあるお酢を混ぜた酢飯の「納豆巻き」なら、その問題がクリアされるからOKだと。

 

ただ、世界で海苔を食べる文化のある国は激レアで、日本に来て初めて食べたという外国人も多い。
ちなみにごま油で味付けをした韓国海苔は、統治時代に日本の味付け海苔が朝鮮半島へ伝わって、現地好みにアレンジされたものだといわれる。
とにかく外国人にはなじみがないから、あの「パリパリ」の食感がキライな人もけっこうたくさんいるのだ。

それでまえに衝撃的な光景を見た。
バングラデシュ人がコンビニでおにぎりを買ったあと、外に出て包装紙をはがすと、海苔と一緒にゴミ箱に捨ててしまった。10回ぐらい高速でまばたきしたわ。
いやいやオマエ、何してくてんの?
これは日本人としてスルーすることはできんと思い、説教する前にとりあえずワケを聞いたら、

「海苔は紙を食べているみたいでキライなんです。バングラデシュ人もお米が好きでよく食べますが、海苔と一緒に食べることはありません。というか海苔がありません。日本のお米はとっても美味しいのに、海苔と一緒に食べるとその味が台なしになってしまいます」

と言う。
海苔という邪魔者を排除して、日本米と具を楽しみたかったらしい。
それを聞いて「あ、それわかるわ~」と同意したトルコ人と2人まとめて、入国管理局に通報してやろうかと。
でもまあ、日本のお米を美味しく食べたいということなら仕方ないか。
天ぷら屋で「わたしいまダイエット中なんで」と衣をはがして、中のエビだけを食べる日本人よりはずっとマシ。

タイ人やアメリカ人からも「パリパリした海苔は紙も同然。美味しいとは思わない」という感想を聞いたし、東ヨーロッパのリトアニア人からは「おにぎりで海苔を捨てることはないけど、でもあれは本当に必要なのか?」と聞かれて返事に困った。
日本人にってお米と海苔の組み合わせは、古くはツバサとミサキ、最近ではエレンとミカサと同レベルだと力説しても、「おにぎりに海苔はイラナイ。あれをなくして、その分安くしてほしい」と海苔不要論を主張する外国人が何人もいた。

海外では米を外側に、海苔を内側にするカリフォルニア巻きのような巻き寿司が多い。その理由には、海苔を嫌う人がたくさんいるからということがある。
海苔という食べ物は特殊過ぎて、特に食感が口に合わない外国人さんは多いらしい。
「ニイガタ」のおにぎりも、もしかしたら「海苔なし」だったかもしれない。

 

 

日中のトイレの違い「日本人の良さを中国人も見習うべきです」

新幹線の始まり「あじあ号」、明治(満州鉄道)から平成(JR)へ

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【トイレと日本人】100年前のチベット人には理解不能な行動

 

4 件のコメント

  • > 「ニイガタ」のおにぎりも、もしかしたら「海苔なし」だったかもしれない。

    海苔は、あり・なし両方が用意されているみたいですよ。具によるのかな? あるいは客の指定によるのかも?
    日本で修行したポーランド人が始めたテイクアウト専門店で、今ではデリバリーも始めたらしいです。
    https://diamond.jp/articles/-/262640?page=3

  • けっこう有名人ですね!
    ポーランドにある小さな街のおにぎり屋、みたいに思っていましたが。
    ポーランド風にアレンジされたおむすびを食べてみたい。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。