「中立」って言葉について、デジタル大辞泉にはこんな説明がある。
1 対立するどちらの側にも味方しないこと。また、特定の思想や立場をとらず中間に立つこと。
2 戦争に参加しない国の国際法上の地位。交戦国双方に対して公平と無援助とを原則とする。
ロシアがウクライナに軍事侵攻してから、日本のネット界ではこのコトバがよく使われている。
たとえばこんなふうに。
・日本はロシア・ウクライナのどちら側にもつかず、中立の立場から即時停戦を呼びかけることが大事である。
・日本は中立の立場で両方の国の事を調べる必要があります。
調べれば調べるほどウクライナの恐ろしさが露呈されていく。
・戦争には両方の言い分があります。
正しくものを見て、軽率に群衆心理で行動しない事です。
こんな「どっちもどっち」の人たちのいう”中立”とは、別次元の中立の概念を訴えた人がいるので今回はその意見を紹介しようと思う。
まず現在もロシア軍による市民への攻撃は続いていて、民間人の死傷者は増える一方だ。
ここマリウポリの街は徹底的に破壊されて廃墟となり、ここだけでおよそ5000人が死亡したと言われている。
深刻化する人道危機に世界が動く。
国連総会では今月24日、ロシア軍に対して即時の完全無条件撤退を求める決議が採択された。
といっても、これでロシアが「さーせん。撤退しますね」となるわけはなく、具体的にどんな効果があるのかは未知数。
拒否権をもつ国連の常任理事国が戦争を起こすのだから、もう誰も止めようがない。
さてこの決議を詳しく見ていくと、193カ国のうち140カ国が賛成し、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリアの5カ国が反対で、中国、インド、ベトナムなど38カ国は棄権した。
この国連総会ではオーストリア大使が演説で、イケメンなことを言って世界の注目を集める。
EUのメンバーだけど、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国ではないオーストリアの大使はこんなことを言う。
「中立とは価値観の中立のことではない。また一方的で、正当化できない国際法違反に対し、なんの立場も取らないということでもない。被害者と侵略者をしっかりと区別する決議案を私たちは支持する。」
で、この発言に日本のネット民の感想は?
・これぞ真理だな
・敵や味方で色分けするのではなく
「自分の価値観」に従うのが中立だね
・コウモリは中立じゃない。
双方の敵。争いを拗らせて利を得ようとするから
・「テロリストにも彼らなりの正義がある」??
・ど正論
いま起きている現実とは、ウクライナの街が破壊されて多くの市民が命を落とし、何百万人もの人たちが住み慣れた場所を離れて難民になっているということ。
難民になれたらいいけど、彼らは人身売買の危険にさらされているという報道もある。鬼畜はどこにでもいる。
これはすべてウクライナで起きていることで、ロシアの都市の被害は一切ないし、民間人の死者も皆無だ。
ロシア軍の侵攻によって、比率100:0でウクライナが一方的にダメージを受けていることが分かる。
だからまずは、被害者と侵略者をしっかり区別する必要がある。
そういう中立の立場に立ってから「戦争には両方の言い分があります」、「日本は中立の立場で両方の国の事を調べる必要があります」と言うのならよし。
正当化できない国際法違反を前にして、「どっちもどっち」、「我々がとやかく言うことではない」、「ロシア・ウクライナのどちら側にもつかず」 とかいうアンフェアな立場に立ってはいけない。
ロシア軍の攻撃により、現在進行形で多くの市民が血や涙を流しているのに、これを”中立”と思っちゃってる人たちが、このところネットで目につくのですよ。
命の“選別”・トリアージとは?その歴史や日本での訴訟事例など
> 拒否権をもつ国連の常任理事会が戦争を起こすのだから、もう誰も止めようがない。
表現は正確にしましょう。常任理事会 → 常任理事国 ですよね。
> 正当化できない国際法違反を前にして、「どっちもどっち」、「我々がとやかく言うことではない」、「ロシ
ア・ウクライナのどちら側にもつかず」 とかいうアンフェアな立場に立ってはいけない。(改行)ロシア軍の攻撃により、現在進行形で多くの市民が血や涙を流しているのに、これを”中立”と思っちゃってる人たちが、このところネットで目につくのですよ。
おそらく、何らかロシアとの関係がある人のプロパガンダか、個人的な応援か、あるいは平和ボケした人たちでしょうね。
自国の平和は、他国から侵略を受けた時に、自国民が強い意志で守っていくより他に方法はありません。当然ながら、その意思には強い自制も必要であり、自国防衛を言い訳にして他国へ侵略する(←今回のロシアがまさにそう)なんてのはもっての外です。
ホント、日本は平和ですね。
>常任理事会 → 常任理事国
その通りです。
ご指摘ありがとうございます。
<<<「テロリストにも彼らなりの正義がある」
三浦 淳(新潟大学人文学部)
「二流知識人の特徴は、言葉と行動が一致していないことだ。
例えばサロン・コミュニストのように口では共産主義を讃美しながら決して共産主義国では暮らさず、自分の生活も改めようとはしない。」
反捕鯨の病理学 (第1回)