地震の揺れよりも、日本人の“冷静”に衝撃を受ける外国人

 

日本に住むと決めた以上、地震と友だちになれないとしても、少なくとも慣れないといけない。
知人のアメリカ人が横浜に住んでいたときのこと。
深夜、アパートの部屋で寝ていると強い揺れを感じたから、すぐに起きて「命を守る行動」としてとりあえず裸足のまま外へ飛び出した。
でも、まわりを見渡すと路上にいるのは自分だけ。
そのころには揺れもおさまっていて、住宅街は平常運転、いつもどおりの静けさの中にあった。
彼はよく分からないまま、裸足でアパートの階段を上って部屋に戻ってまた寝た。

翌朝、「あれはひょっとしたら夢?」と思ったけど、ニュースを見るとたしかに昨日の夜、横浜で地震は起きていた。
勤務先の英会話スクール(か学校)へ行って、同僚の日本人に話を聞くと、「あれは小物。揺れが小さくて気づかなかった」という人や、「あれで目を覚まされた。腹立つ!」という人がいても、彼のように恐怖を感じた人は皆無。

そんな日本人の平常心に驚いたのはもう10年以上前のことで、彼もいまではすっかり地震に慣れて、「いまのは震度2,いや3かな?」と日本人と変わらない感覚や耐久性を身につけている。
ただ、日本には地震が多いけど、日本人には自信がないという思いはいまも変わらない。

 

きょう5月26日は、“日本最古”の地震が起きた日だ。
日本初の女性天皇である推古天皇がいた599年のこの日、大きな地震(マグニチュード7とも)が発生したことが『日本書紀』に記されている。
「地動。舎屋悉破」とあるから、この地動(地震)によって建物が悉(ことごと)く倒壊したということだろう。
もちろん日本ではこの前にも地震が起きているはずだけど、記録に残る地震としてはこの「推古地震」が日本最古。
このあと地震の神である「なゐの神」を祀ったとあるから、これが飛鳥時代の地震対策だったらしい。
*「なゐ(ない)」とは地震のこと。

そういえばきょう5月26日は、1983年に日本海中部地震が発生した日だから、秋田県では「県民防災の日」になっている。
日本はホント地震多すぎ。
さて、きょねん関東でこんな地震が起きたのだが、もうすっかり忘れていた日本人は多いと思われ。

 

 

このとき東京のコンビニで働いていた外国人が、SNSにこんなメッセージを投稿する。

I was working in a コンビニ and there was 2 customer who was staying cool and reading magazine even though their phone was ringing an “Earthquake alert”. I was shouting like hell “Earthquake” “Earthquake” but they were like it’s nothing. 😅 For me, that was a shocking part 😂

携帯で緊急地震速報が鳴っているのに、2人のお客さんが涼しい顔で雑誌を読んでいました。
私は「地震だ!」「地震だ!」大声で叫んでいたのに、2人は「何でもない」という感じです。
私にとっては衝撃的な出来事でした。

 

この人も知人のアメリカ人のように、地震よりも日本人の冷静さにショックを受けたようだ。
1400年以上前に伝説ではなくて、『日本書紀』に“公式記録”のある国で生まれ育った人間と、外からやってきた人間との違いだ。

 

 

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1 個のコメント

  • 一つ前の記事で書いてあったように、日本人の自分としては、地震なんかよりも、米国での銃乱射事件に巻き込まれる恐れの方がよほどコワイのですがね。
    欧米人がこのように地震に強い恐怖を覚えるのには、我々日本人があまり気づかない理由もあります。それは、地震を単なる「自然災害」とみなす我々日本人と違って、彼らは「絶対支配神の怒り」と感じているフシがどうもある。もしそうだとしたら、そりゃ恐ろしいでしょうね。
    これに対して、銃器犯罪はどれほどひどい事件であってもあくまで人間がやったこと、だから本質的な恐怖をもたらすことではないと、そう感じているみたいです。あくまで推定にすぎませんが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。