【サクラ大戦】桜の起源をめぐる日中韓の争い、真実はどこ?

 

チューリップはオランダの花。
そう一般的に思われているが、実はチューリップはトルコのあたりで生まれ、ヨーロッパへ伝えられた花なのだ。
でも知人のトルコ人は、オランダで栽培が盛んになって世界的に有名になったということで、「チューリップはオランダの花」と外国人が思っていても特に気にしないという。
日本の周辺国も「あれはウチが起源だ!」とアピールしないで、こういうサバサバした態度をみならってほしいところだ。

「チューリップはオランダの花」をトルコ人はどう思う?

 

トルコでチューリップは春の花ということだから、日本人にとっての桜と似ている。
いまでは「sakura」として、世界的に有名な桜の多くはソメイヨシノだ。
そのソメイヨシノについて、「その起源は我が国の済州(チェジュ)にあり」と韓国が長いあいだ主張していて、日韓でバチバチと対立してきた。
でもゲノム分析を通じて、その説が間違いであることが確認された。
それで、「110年間続いてきた論争はやや呆気なく終止符を打つことになった」と韓国メディアの中央日報が残念そうに書く。(2018.09.13)

済州か日本か…ソメイヨシノ起源めぐる110年論争に終止符

こんな論争が110年間もあったことに、一体どれだけの日本人が気づいていたのか。
そもそも韓国で桜を見る「花見」の風習をもたらしたのは統治時代の日本だ。
でも、ゲノム分析によって、この桜の起源論争もやっとこれで終了したと思ったら、カタチを変えてまた始まった。
今度は2021年に大手韓国メディアが、「全米さくら祭り」で超有名なワシントンの桜の「済州島起源説」を唱える。
この桜については100年ほど前に日本が国の威信をかけて、大量の桜をワシントンに運んだという確かな記録が残っているけど、韓国側にはそれがない。
すべてが憶測だった。

FNNプライムオンライン(2021年3月31日)

何の根拠も無く、単なる思い込みで「短期間で大量生産など出来るはずが無い。こっそり済州島から持ち込んだに違いない」と主張するこの記事は、美しい桜をアメリカの人にも楽しんでもらおうと奮闘した、当時の日本人を侮辱している。

【解説】ワシントンDCの桜は韓国産?杜撰な取材で拡散する嘘

日本の関係者に連絡して、「ワシントンの桜は済州島産だ」と主張する韓国人がいるという。

 

日本人が「こっそり」と桜を取りに行くという発想は間違いなく韓国起源だ。
ソメイヨシノが終わったら、まさか今度は「ワシントンDCの桜は韓国起源」説がでてくるとは。

このサクラ論争に中国がからんできて、「サクラ三国志」みたいになったこともある。

産経新聞(2015/4/16)

「桜の起源」論に中国も参戦 「中国発祥で広まったのは日本。韓国は何の関係もない…」

記事によると、中国桜花産業協会の会長が記者会見で「桜の真の発祥地は中国だ。日本の権威ある桜の専門書も、それを証明している」とし、桜の起源については日本も韓国もそれを言う資格はないと主張する。
その具体的な内容がコレ。

「桜の原産地は中国で、日本の桜は中国のヒマラヤ山脈から伝来した。その時期は唐の時代だった」

どうだろう?
反論できるだろうか。

ではネタバレといこう。
まず、この”日本の権威ある桜の専門書”というのは、1975年に日本で発行された『櫻大鑑』のこと。
中国で「サクラの起源説」が出てくるときは、これが根拠になっていることが多い。でも、これを根拠にして主張する中国人さんはこの本をまともに読んでない。
この会長は『櫻大鑑』には桜の原産地は中国で、日本の桜は唐の時代に中国から伝来したと書いてある言うが、実際にはそんな記述はない。
『櫻大鑑』にはこんなことが書かれている。

・サクラの野生種の起源がヒマラヤである可能性がある。
・中国大陸と日本列島が地続きだった時代に、野生種のサクラが東へ進んで日本に到達し、盛んに分化・独自化した可能性がある。

中国大陸と日本列島が地続きだったころというのは何百万、何十万年も前のことで、まだ中国人も日本人もいなかった。
『櫻大鑑』には唐から日本へ桜が伝わったと書いてないのに、会長はサラリとそんな虚偽を言う。
そもそもヒマラヤ山脈起源が、なんでいつの間にか「中国発祥」にすり替わったのか。
日韓には桜の起源について語る資格はない!日本の権威ある桜の専門書がそれを証明している、と主張する会長は資料を読んでなかったというオチ。
(そういやネットを見ると「日本の桜はヒマラヤが起源」とよく断定してるけど、あの根拠は何だろう?)
まず、「桜の起源は中国にあり」という結論をきめてから、それに合うような材料を集めて、都合よく解釈して主張を構成するからこんなことになる。
最初に結果が決まっている「ゲイボルグの槍」じゃないんだから。

ただ、これが中国人の総意というワケではない。
野生のサクラは、人類が生まれる前から中国大陸や日本列島にあったから、いまさら「起源はどの国か?」を議論することは無意味だと、まっとうな主張をする中国の専門家もいる。

 

サクラが日本の花として、世界的に有名になったからといって、こういう「後出しじゃんけん」をしてはいけない。
チューリップはトルコで生まれ、トルコからヨーロッパへ伝わって、いまでは世界中で「オランダの花」として有名でも、知人のトルコ人はその起源を強調することはない。
中国も韓国も日本を無視して、独自の文化を世界にアピールすればいいのだ。
でも中韓が起源を主張すると、一周まわって「桜は日本の花」ということがより確信的になるから、その意味では感謝。
でももうお腹いっぱいだから、これ以上はイラナイ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。