「その日、人類は思い出した。ヤツらに支配されていた恐怖を。鳥籠の中に囚われていた屈辱を」
自分たちは巨大な城壁に囲まれた中にいて、平和な生活にすっかり慣れてしまったから、外には人を喰らうヤツら(巨人)がウヨウヨいるという恐怖を忘れていた…。
アニメ『進撃の巨人』では第一話にそんなセリフが出てきて、ヤツらとの壮絶な戦いが始まる。
さて、きょうはクリスマスイブだ。
仏教徒には1ミリも関係ないとしても、日本国民としてはフライドチキンやケーキを食べたりする年に一度のお楽しみデー。
だもんで当然、きのうは12月23日だ。
この日はクリスマス・イブの前日ということで、「クリスマス・イブイブ」なんて言われることがあるのだけど、イブとは「evening(夜)」を略した表現だから、イブイブは純粋な日本語とみていい。
平成の時代、クリスマス・イブイブの12月23日は天皇誕生日の祝日で、お楽しみムードが3日間続いていたのがもはやなつかしい。
日本人は戦前からクリスマスを祝って(楽しんで)いて、戦後にまたそれが復活したから、イブイブと天皇誕生日の祝日が重なる23日は正月も近いし、国内はウキウキわくわくの幸せモードに包まれていたと思われる。
あの戦争の責任者として、東京裁判で死刑判決を受けた東條英機ら7人の「A級戦犯」が処刑されたのは、終戦から3年後の1948年12月23日だった。
当時の日本は、実質的にはマッカーサーをトップとする「GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)」の統治下にあって、アメリカが日本政府を通して占領政策を行なっていたような状態。
天皇誕生日(当時は皇太子)の日に、7人が処刑されたのは偶然なのか?
これについては、父親の昭和天皇の誕生日である4月29日(1946年)にA級戦犯が起訴されたこともあって、アメリカはあえて12月23日に行ったと指摘する人もいる。
『報道ステーション』(2019年4月29日)の中で、皇室との関係が深かったチェロ講師の寺田義彦さんが、この日に7人の絞首刑が執行されたことについて、いまの上皇さまと上皇后さまの間でこんなやり取りがあったと話す。
当時、皇太子だった陛下の15歳の誕生日だった。「皇后さまが『陛下のお誕生日に処刑されましたね』と陛下におっしゃったら、お二人がお互いが顔を見合って、うなずかれていた」と寺田さんは語る。
ほかにも終戦後、「A級戦犯」に対して裁判長が「Death by Hanging(絞首刑)」と言った声がラジオから流れてきたのを、皇后さまは「今でも覚えています』と話されたとか。
昭和天皇の誕生日にA級戦犯が起訴され、上皇さまの誕生日に処刑されたのは偶然か?
それについてマッカーサーや関係者は何も言わずに亡くなったから、もう真実はダレにも分からない。
個人的には「たまたま」ではなく、平和な時代になって戦争の記憶が薄れつつある国民に「敗戦国」や「戦争責任」、「侵略戦争」といったものを想起させるねらいがあったのだと思う。
そんなGHQのメッセージを受け取って「その日、日本人は思い出した…」となったのでは?
それが“恐怖”や“屈辱”だったかは知らないが。
昭和~平成~令和と時代が進んだいま、これはもう歴史の話でしかない。
SNSを見れば、アメリカ人とクリスマスパーティーを楽しむ日本人は山盛りいるし、日米はとても良い友人になった。
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