いま日本人はあの戦争をどう考える？韓国とアジアの視点も

日本人は７６年前のあの戦争をいまどう考えているのか？
この手のものは毎年８月に多いんだが、まだ９月のはじめなんでギリセーフとして、早速いまの日本人の認識をみていこう。

２０２０年に共同通信がおこなった世論調査「太平洋戦争終戦７５周年郵便アンケート調査」の結果を、韓国の全国紙・中央日報が（不満そうに）伝えている。（2020.08.04）

日本人１０人中８人「戦争被害国に謝罪した」…　５８％「首相の靖国神社参拝に賛成」

このアンケート調査の結果に簡単に紹介すると、まず日中戦争と太平洋戦争についてはこんな感じだ。

侵略戦争（４６％）、分からない（３２％）、自衛のための戦争（１３％）
アジアの解放戦争（３％）

侵略国への謝罪については、
＊「侵略国」はきっと韓国メディアの表現。

十分（３１％）、ある程度（５３％）、十分にしなかった（１４％）

計８４％の日本人が謝罪したと考えていることに、おそらく韓国ではこの反対なので、韓国メディアとしては納得いかないようす。

日本の首相が「加害と反省に言及して謝罪の言葉も述べるべき」は３８％、「言及するべきだが謝罪は必要ない」は４４％とこれは分かれた。
ただ上の結果と合わせて、「もう謝罪は不要」と考える日本人のほうがやや多い。

国民一人ひとりが過去の戦争に対して反省と謝罪の考えを持つべきか？
必要（５０％）、必要ない（４６％）

首相が靖国神社へ参拝することについては、「参拝しなければならない」（５８％）が「参拝してはならない」（３７％）を大きく引き離した。
これも韓国的には不本意だったようで、この結果を見出しにもってくる。

記事を読んでイマイチ腑に落ちなかったのは、この調査が「日中戦争と太平洋戦争に対して」と２つの戦争をひっくるめて質問したこと。
たしかに両者には連続性と同時性はある。
が、1937年から中国で、1941年から太平洋戦争で始まった戦争をひとつにした理由についての説明はない。
これがちょっと気になった。

さてその一年後、ことし２０２１年の日本人の認識がこれだ。

中央日報日本語版の記事（2021.08.02）

日本人の４９％、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」

日本世論調査会が行った平和に関する世論調査で、

「終戦記念日の追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はない」が４９％
「加害と反省に言及すべき」は４７％

と真っ二つに割れた。
ただ若い世代の人ほど「必要ない」が多かったとある。

つまりいま日本人の半分が、首相はもう過去の戦争に対して反省のことばを述べる必要はないと考えている。
その現状について記事は最後にこんな分析を載せた。

今回の調査結果は日本社会に戦争経験世代が減る代わりに日本の加害行為に関する近隣諸国の見方を理解できない人たちが多くなった状況を示すとものと沖縄タイムズは分析した。

ではここで、アジアの声に耳を傾けてみよう。

毎日新聞の記事（2019年8月7日）

マハティール首相、日韓関係は「日本はすでに謝罪」「地域全体の経済発展を」

２年前に来日したマハティール首相が毎日新聞とのインタビューで、韓国を意識してこう強調した。

マレーシアにとっても重要な貿易相手国である日韓両国が対立を深める現状について、「我々は過去は過去として捉えるべきだ。日本はすでに謝罪している。1度で十分だ」と指摘した

そして日本政府には「地域全体の経済発展に焦点を絞るべきだ」と注文する。
実際、タイ人やインドネシア人、ミャンマー人などにきいても、日本に求めているのは謝罪ではなく経済協力だ。
いま多くの日本人が「もう謝罪は不要」と考えていて、「過去は過去として捉えるべき」とする東南アジアの人たちの思いと共通している。
ただ日本で３％だった「アジアの解放戦争」については、東南アジアではほぼ皆無とみていい。
実際、現在ではなく、過去の日本に対しては恨んでいる人はいるし、それなりのヒドイことを日本はした。

日本人は過去の戦争について忘れてはいけないし、「なんで戦争を始めたのか？」「どうして３００万人もの日本人が死なないといけなかったのか？」など反省すべきところはするとして、同時に、いつまでも７０年以上前のことにとらわれてはいけない。
アジアの人たちと未来をみて共存共栄・経済発展を目指すべきだ。