【入国子】漢字を忘れた韓国で起きた、恥ずかしすぎるミス

 

むかし家庭教師をしていたころ、マンガばっか読んでる中学生に「カンゼンチョウアク」と言ったところ、その中学生の時間が止まってしまった。
「勧善懲悪というのは、善行をすすめ悪をこらしめるってことだ」と説明すると、「な~んだ、こっちのことかと思った!」と本人は笑いながら「完全超悪」と書く。
なんというマンガ脳…。

耳で聞いた言葉をカン違いする現象は、日常生活から実質的に漢字を捨てて、ハングル文字だけを使うようになった韓国ではよくある。
このことはある日漢字が消滅して、平仮名だけになった日本を想像したら分かりやすい。
「ハシ」と見ただけでは橋・箸・端のどれか分からないし、耳で聞いてもアクセントだけでは五戒、いや誤解が生まれやすい。実際、日本語勉強中の外国人はよく間違える。
それにひょっとしたら、梁・觜・筴・嘴のことかもしれない(すべてハシ)。
でも文字で意味を表す漢字なら、「橋の端」でも「箸の端」でも一瞬で氷解。

 

 

むかしは日本人以上に漢字を使っていた韓国では、朴正煕大統領が「もう漢字やめまーす」と漢字廃止宣言を出して、1970年代には普通教育での漢字教育が無くなった。
*これには反対論も根強く、漢字教育が復活する動きもあった。でも、全体的には韓国社会から漢字は消えていく。くわしいことは「朝鮮日報における漢字」をクリック。

そんなことで、いまではテレビ局の記者が「武運を祈る」を「無運を祈る」とカン違いするようなことが起きてしまう。
韓国語では武運も無運も「ブウン」と読むし、ハングル文字だと同じ表記になるからこうしたミスが生まれる。
にしても選挙で「無運を祈る」って、それじゃ呪いだ。
漢字を見ても読めない韓国人が多いから、人の死を知らせる「訃告」(ふこく)を「訃古」と間違って書いてあったのに、誰も気付かなかったという話もある。

漢字を捨てた韓国語:外国人には朗報も、国内では困った問題が

 

そんな韓国で最近、”国の顔”と言える首都圏の国際空港で、全国紙の朝鮮日報が「これは恥ずかしい!」と赤面してしまうミスが発覚した。(2023/01/04)

中国からの「入国子」? 仁川空港の中国語案内板に恥ずかしすぎる漢字ミス

中国から来た人に対する案内で、「入国者」と書くべきところに「入国子」と書かれていたのだ。
韓国語では「者」と「子」の発音が同じで、この漢字のミスにしばらく誰も気がつかなかった。
国際空港に勤務する人には高い教育を受けた人が多いと思うのだけど、「入国者」という漢字を読める人はいなかったらしく、そのまま放置されていた。
中国人が韓国に到着して、初めて目に見る案内表示板にミスがあったという事態に、漢文教育課の名誉教授さんは、

「他の場所ならともかく、公共機関の案内に誤った漢字が書かれていたとは、中国人にどんなに笑われただろうか」

とご立腹だ。
まあ「入国死」よりはいいけど。
ちなみに「入国子」を中国人に見てもらったら、「ナニコレ意味が分からない!」とのこと。だから反応は嘲笑よりも、困惑だったと思われ。
誤記のある表示板を堂々と設置したことや、外部の指摘があるまでそれに気づかなったことについて、職員の責任を問う声が上がると、仁川空港の関係者は「空港が案内板を作ったのではなく、空港の検疫所が自主的に作った」と責任をヨソへ丸投げする。

でも、漢字ミスのあった元の案内をみると「中國發 入國子」と書いてある。
「國」や「發」は台湾や香港で使われている繁体字で、いまの中国で使われている簡体字だと「国」や「発」になるから、これが中国人を対象にしたものなら二重のミスをしたことになる。
まあ「子」には「先生」といった意味があって、孔子、孟子、荀子、老子みたいに聖人に付けることがあるのだけど、「入国子」は絶対これじゃない。
日本にも、「カンゼンチョウアク」を「完全超悪」と誤解する中学生は他にもいそうな気がする。
でも国際空港で、「入国子」の間違いにしばらく誰も気づかなかったというのは、漢字を捨て去った韓国らしいミスだ。

 

 

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。