日本の大学に留学していて、いまは母国のブレーメンに住んでいるドイツ人とこのまえ話をしたから、今回は、そのとき話題になったドイツ鉄道について紹介しよう。
ちなみに、日本の鉄道は1872年に初めて開通して(東京の新橋駅~横浜駅)、ドイツでは1835年に開通したから、歴史でいえば40年ほど向こうのほうが早い。(ドイツの鉄道史)
そんなドイツ先輩の現状はどうなのか?
ネットを徘徊していたら、「世界よ、これがドイツの電車だ」と伝える動画を発見する。
ただ、「Deutsche Bahn(ドイツ鉄道)」は暑い・遅れる・汚いと訴えるこの動画は、「最大積載量つめるだけ」を実現したバングラデシュの列車の画像もあるし、どこまで真実を表しているのか分からない。
日本も JRに変わる前の国鉄の時代には、「酷鉄」と揶揄されるほどひどかったが、あれは満員電車が理由だった気がする。
さっそく知人にこの動画を見てもらって感想を聞いてみた。
ーーこの動画の内容は本当だと思う?
(苦笑いしながら)だいたい合ってる。
誇張している部分はあっても、それは事実をベースにしているから、この動画の80%ぐらいは賛成だ。
ボクの経験でも10分以内の遅れはよくあるし、最大で3時間も遅れて予定がふっとんだこともある。
ーーそれは地震や大雪、暴風雨とかで?
そんなわけないだろ。
天災も気象現象も関係なくて、これがドイツ鉄道の実力だよ。
ーー動画には、床に食べ物や飲み物がぶちまけられた光景があって、ちょっとショックを受けました。
あれはどう?
ボクも見たことがあるから事実だけど、あれは最悪レベルでめったにないよ。
車両には小さなゴミ箱があるのに、そこに捨てないでそこらにポイっとする人がいるから、ペットボトルや食べ物の包装とかのゴミならよく落ちている。
自分のゴミは自分で持って行く、なんて責任感をドイツ人に期待してはいけない。
ボクは電車よりも、トラムでよく床にゴミが落ちているのを見かけるね。
ーーな、なるほど。
例外的だけど、あの映像はリアルにあるんですね。
それと車内がサウナ状態になって、ハンカチで額の汗を拭いていた人がいたんですが、あれは何ですか?
ああ、あれね。
電車の中がすごく暑いんだよ。
ーーそうだったんですか!
って、それぐらい見たらわかるわ。
それは、冷房が壊れるってことですか?
そうそう。
気温がすごく高くなると、ドイツの電車のエアコンは動かなくなるから、夏の車内はすごく暑いんだ。
ーー大量のアクセスが集中して、サーバーがダウンするみたいな感じですね。
いちばん必要な時に使えなくなるって、いちばんダメなやつじゃないですか。
何なんですかそれは?
日本人に理解できないのも無理ないけど、ドイツの電車のエアコンは、外気の暑さに耐えられなくなってよく壊れるんだよ。
そうなると車内にはファンもないから、動画みたいにサウナ状態みたいになってくる。
ヒーターは丈夫だから冬はいいだけどね。
ボクが日本の電車にどれだけ感動したか、わかってくれるかい?
ーーそうですね。
1分でも遅れたら、謝罪アナウンスが流れるぐらいだから、定刻に遅れる、床にはゴミが落ちている、そして8月に冷房が効かなくなったら、日本国民は JRを許さないでしょうね。
ドイツ国民の忍耐強さがわかりました。
こんな話を聞くと、ドイツ鉄道のむごさが際立つのだけど、動画をふくめて今回の話は負の部分を凝縮したものだから、これが平常運転ってわけではない。
確率でいえば、きっと鉄道の旅を楽しめる。
でもトリップアドバイザーの「Deutsche Bahn」を見ると、「とても良い(17票)」に対して「とても悪い」が 267票と圧倒的で、総合評価でも「1.5点(5点満点)」と著しく低い。
最悪の「1」をつけた人はこう怒る。
「85% of the trains are either delayed or cancelled. Deutsche Bahn is completely incompetent to operate the railway system. One cannot rely on Deutsche Bahn.」
(85%の列車は遅延か、運休している。ドイツ鉄道は、鉄道システムを運用する上で完全に無能である。ドイツ鉄道を信頼することは不可能だ。)
またはこんな人も。
「確かにチケットは安かったのですが、電車は汚いし、スタッフにプロ意識はなく、乗客を家畜のように扱う。本当にひどい経験で二度と利用しません。」
でも、これでは一方的だから、貴重な 17票(とても良い)の中の1つを紹介しよう。
「ICE(ドイツ版新幹線)は広々していて清潔で、そして快適でした。予約した席はすぐに見つかり、スムーズな旅を楽しむことができました。」
結論をいうと、JRは世界の非常識(スペシャル)と思うべき。
ICEは日本の新幹線よりも上! という人もいる。
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