10月19日は、住宅や住人の健康について考える「住育の日」ということなんで、今回はヨーロッパ人から見た日本住宅の特徴を書いていこう。
このまえ10月の中ごろ、スカイプをつないで知人のドイツ人と話をしたとき、日本にいるボクはTシャツ姿だったのに、ブレーメンにいる彼はセーターを着ていたから、「こんにちは!」より先に「アレ?」という違和感をまず感じた。
こちらでは紅葉が始まりかけていたとき、あちらではもう秋を通り越して冬の気配が近づいているという。
冬の長いドイツで生まれ育った彼には、寒さへの高い防御力(耐性)はあった。
だから逆に、日本で生活していたときは夏の暑さ&長さに完全にやられて、8月は毎日ヒットポイントがレッド・ゾーンという状態。
一緒に京都旅行へ行ったときは運悪く、観測史上レベルの暑さが直撃し、彼は汗だくだくになって二年坂をのぼるのを拒否して清水寺観光をあきらめた。
*あとでこれを強烈に後悔する。
でもお寺などの典型的な日本住宅にいると、それほど暑さを感じない。
そんな話を泊まっていた旅館のスタッフにすると、日本の家屋は冬ではなくて、夏の蒸し暑さを軽減することを重視して建てられていると聞いた。
畳や障子、木の柱は夏の湿気を吸収してくれるし、窓が大きくて開放感のある室内は風通しがすごくよくて、風鈴の音も冷涼感を感じさせる。
そんな話を聞いた彼は、風土に合わせた日本人の建物づくりの知恵を知って、風鈴以外のことでは感心したという。
風鈴の音を聞くと涼しさを感じるという感覚は、ヨーロッパ人的には理解できなかったらしい。
歴代の天皇が日常生活を過ごしていた京都御所の建物が「清涼殿」と名づけられたのも、夏の暑さを考えてのことだったはず。
石川へ行った知人のイギリス人は、「間垣」がとても印象的だったという。
11月〜1月に日本海から強烈な寒さと強さの風が吹いてくるから、5mほどの高さで竹を隙間なく並べて「間垣」を作る地方が石川県にある。
日本各地でこういう工夫はあるけれど、伝統的住居なら木造・畳・障子の3要素はだいたい全国で共通している。
画像は輪島市教育委員会HP「大沢・上大沢の間垣集落景観」のキャプチャー
ヨーロッパの昔の建築物は一般的に、石やレンガを積み上げてつくられているから耐久性が強いのだ。
でも地震の多い日本にこれは向いてないし、室内は湿気でカビが生えまくりで、大変なことになる予感しかない。
写真はブレーメンの街並み。
「音楽隊」で日本でも有名だ。
ドイツやヨーロッパの北部(たぶんアルプスから北)では、夏は短いし暑さも大したことないという。
日本に比べればヨーロッパは乾燥しているから、地獄のような蒸し暑さはないし、夏でも冷房を必要としないことが多かった。
最近は地球温暖化のせいで、冷房をよく使うようになったらしい。
だからヨーロッパの住宅は夏の暑さより、冬の寒さ対策をメインに考えてつくられていて、家じゅうどこでも暖かいセントラルヒーティングは基本。
別の機会に彼と話をしていたとき「シャワー室にも暖房があるの?」と聞いたら、「当たり前じゃないか!」と呆れられた。
お風呂場にも暖房があるというのは、静岡育ちのボクには電気代の無駄とか贅沢のように感じてしまうが、ヨーロッパでは「それなしだったら、シャワーを浴びれない!」という必要最低限のレベルらしい。
こうみると住居は、自然や風土が人はにそうつくらせたと言える。
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