人類の歴史に処刑はつきもの。
重罪人には命をもって罪を償(つぐな)わせることは世界中であったが、その方法は、地域や国の文化や価値観によっていろいろある。
昔の中国では皇帝を倒して国を滅ぼそうとする罪は最も重く、そういう罪人は最大の苦痛を味わいながら殺された。
中国人が想像力を駆使して考案したもっとも残酷な処刑が凌遅(りょうち)刑で、国家転覆罪レベルの罪人にこの罪を適用し、鋭い刃物を使って身体の肉を少しずつそぎ落としていく
肉が削られていって骨が見えても、死に至ることはないから、これだと痛みや恐怖を味わう時間を最大限にのばすことができる。
フランス人が発明したギロチンはこの反対で、一瞬で首を切断するから、罪人の感じる痛みは最小限におさえられる。
中国史における最悪・最痛の処刑法が凌遅刑ということは知ってたけど、それに近いレベルの残酷な処刑法の名前をこのまえ知った。
中国旅行の西安へ行った時、日本語ガイドにオススメのお寺がありますと言われ、連れて行かれた先には三次元で表したリアルな地獄があった。
火車とは文字どおり燃えている車で、これに罪人を乗せて地獄に運ぶ。
または、地獄で罪人を苦しませる刑具としても使われる。
炎や猛獣で罪人に苦痛をあたえるのは想像の範囲内にあった。
違和感を感じたのがこの責め苦だ。
大きなノコギリで人体を切断するのか…。
でも、こんな処刑法は日本にもあったし、ほかの国の人間も考えそうなコトだ。
でもおかしい。あの刑具には歯がついていないような?
そんな感想を話すと、「そうです。あれにはギザギザの歯はありません。あれは昔の中国にあった特別な処刑法なんです」とガイドが言う。
あの巨大な刃物の片方を固定し、処刑執行人がもう片方を持って「ウォおおりゃああ!!」と、全身に力を込めて下ろしていって罪人を腰から切断する。
「これは重罪人に行われました。昔の中国人はすごい残酷なことを考えついたなと、中国人の私でも震えますよ」というガイドの意見には同意以外の選択肢がない。
最近、ネットを見てたら、たまたまこの処刑法が出てきた。
これは「腰斬(ようざん)」、または「腰斬刑(ようざんけい)」という名称で、やり方としてはギロチンの腰バージョンといえる。
ただ、大きな刃物を腰に当てて「一気に」ではなく、ゆっくり身体にめり込ませていって、内臓を露出させながらゆっくり切断していくから、非道さと感じる痛みはダン違いだ。
仕組みとしては、裁断機で書類を真っ二つにするのと同じ。
これを執行されるのは重罪人だから、即死なんてラクなことは許さず、あえて苦痛を長引かせた末に絶命させる。
でも、刃物が下へ届く前に死ぬんだろうなと思ったら、中国のネット辞書『百度百科』の説明によるとそうじゃない。
人間にとって重要な臓器は腰のあたりには無いから、胴体が真っ二つに切断された後でも意識はあるから、劇痛を感じさせることができるという。
日本語のウィキベテアには、執行後10分から数十分後に出血多量やショック状態で死に至る、とある。(腰斬刑)
これは処刑人にとっても拷問で、こんな場面を何度も見たら、トラウマになって精神を病んでしまいそうだ。
というのはお花畑の発想だ。
実際には、もし死刑囚をもっと苦しめたいと思う人がいれば、処刑人に賄賂を渡せばその願いをかなえてくれた。
止血をするなどして、罪人を2~3時間生かすことができたというから、本当に最大級に残忍な方法だ(真是残忍至极)。
犯人的家属往往会打点一下刽子手,让他行刑时从上面一点的部位动刀,可以使犯人死快点;如果有人想要犯人多受点罪,就贿赂刽子手从下面一点的部位动刀,甚至将被腰斩之人上半截移到一块桐油板上,使血不得出,可使犯人多延续两三个时辰不死,真是残忍至极。
18世紀の清の時代、これで処刑された人間が自分の血を使って、地面に指で「惨」の字をいくつも書いた後、苦しみながら絶命した。
それを知った雍正帝は気分を悪くして、腰斬刑の廃止を命じる。
周王朝の時代から、2000年以上にわたって行われていた腰斬はこれが最後になった。
と思いきや1947年に、若き革命家だった劉胡蘭(りゅう こらん)という15歳の女の子が押し切り機で胴体を切断されて殺されている。
これが本当に最後の腰斬だ(と思われる)。
日本には一撃必殺の処刑人・山田浅ェ門佐切がいてよかった。
現代中国で英雄視される劉胡蘭
安心してください、処刑シーンはありませんよ。
マリーアントワネットの処刑とは別の悲劇:「ケーキを食べれば」なんて言ってない。
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