日本には「Berryz工房」というアイドルグループがあって、韓国には「真実攻防」という言葉がある。
2018年に日本海で「レーダー照射事件」が発生し、日韓が互いに正しさを主張し合っていた。
そのころ、中央日報は「韓国がレーダー放射したか、日本哨戒機が威嚇飛行したか…真実攻防」という記事を載せた。(2018.12.26)
これは真実を明らかにする動きというより、双方が「向こうがウソをついている」という印象を国民や国際社会に与える作業でもあるから、「真実工房」と表現しても間違いではない。
いまイスラエルとハマスの戦争で、真実攻防が活発に行われている。
きのうパレスチナ自治区のガザにあるの病院が爆撃を受け、少なくとも500人が死亡した。
パレスチナ側はすぐに「これは虐殺、ジェノサイドです」とイスラエル軍を批判し、「国際社会の皆さんは目を覚ましてください」と訴えた。
ガザ中心部にて教会が運営していたアル・アハリ・アラブ病院をイスラエル軍が爆撃し、医者、看護師、患者、避難民含め、少なくとも500人以上もの市民が一度に犠牲になりました。
国際社会の皆さんは目を覚ましてください。これは虐殺、ジェノサイドです。
pic.twitter.com/nKf9IIIKN9— 駐日パレスチナ常駐総代表部 (@PalestineEmb) October 17, 2023
イスラム武装組織「ハマス」の戦闘員が多くの民間人を殺害し、拉致したテロ事件に対して、イスラエルが自衛権を主張し、反撃することは多くの国が認めている。
でも、モノには限度がある。
その際の攻撃はテロと違い、国際法を守りながら行わないといけないのに、イスラエルはそれを超えるような激しい攻撃をするから、パレスチナ側にテロの数倍の犠牲者がでてしまう。
病院を攻撃することは明らかに国際法違反で、外道の行為だ。
イスラエルはこの蛮行に対する全責任を負わないといけない。
…と、この一ニュースを知った時は思ってしまったが、イスラエル側は自分たちは空爆していないと反論した。
パレスチナの武装組織がロケット弾を発射したところ、それが空中で爆発して落下し、病院に着弾したと。
その”証拠動画”を公開し、イスラエルを非難する前に、自分で爆発時の映像を確認するよう訴えた。
Check your own footage before you accuse Israel.
18:59 – A rocket aimed at Israel misfired and exploded.
18:59 – A hospital was hit in Gaza.You had one job. https://t.co/iCgYOkaE84 pic.twitter.com/Ag2mKCBb6M
— Israel Defense Forces (@IDF) October 18, 2023
結局、どちらがやったのかは分からない。
だから、これを「病院爆発」と書くメディアもある。
この表現だと、病院の内部で爆発事故が起きたような印象を受けるが、現時点ではこれが最も中立的で正確な表現だから仕方ない。
この「病院爆発」に対し、世界保健機関(WHO)は「前例がない」、国連のグテレス事務総長も「まったく容認できない」と強く非難し、バイデン米大統領は「激怒し深い悲しみに包まれている」と声明を発表した。
これは虐殺、ジェノサイドと言っていい。
この行為をした側は“世界の敵”となるから、病院の阿鼻叫喚をよそに、イスラエルとパレスチナ側は責任をめぐって、激しい非難合戦を繰り広げている。
このニュースに日本のネット民も意見が分かれた。
・ハマスのミサイルはポンコツで有名
これまでも何回も民間施設に墜落している
・イスラエル側が反論してて証拠まで出すと言ってるのに
待たずにそういう主張してる人らやべーな
・ミサイルの規模から考えてイスラエル確定みたいね
・これでも世界はイスラエル支持するんか
病院が爆発し、500人以上が亡くなった原因は、イスラエル軍の空爆か、それともガザ地区から発射されたロケット弾がガザ地区に落ちたせいのか、まだはっきりしていない。
この一件は、真実を証明できなくても、世界に「犯人」を印象づけることに成功した方が勝ち。
イスラエルとハマスとの戦争では、これからも「真実攻防(工房)」が起こるだろうから、第三者にとっては、ネットリテラシーを高める機会になる。
まずは、自分の直感や印象を疑った方がいい。
優秀な詐欺師は、それを自発的な反応と思わせ、相手を自分の望む方向へ誘導することがウマイから。
2000年前ぶりの帰還:ユダヤ人はイスラエル建国をどう思う?
いつも大量の犠牲者を出すのは「正義VS悪」ではなく「正義VS(価値観の異なる)正義」ですからね。
地獄への道程は善意で舗装されている、とは良く言ったもの。
特に国際情勢では日本の国際的立場を踏まえつつ、ムリスム緒国家との貿易関係も意識しながらなので政府難しい舵取りです。
政治的・経済(技術方面)的には西側(欧米)。しかし、日本が原油・天然ガス等のエネルギーを依存しているのは中東やインドネシア等のムリスム緒国家。
なので双方の犠牲者を哀悼しつつ、有力なムリスム国家を介して停戦を呼び掛ける現在の方針が無難でしょう。
ハマスはムリスム緒国家にアピールしているので、イスラム教的価値観に則っらないと止められません。
日本はG7メンバーで西側の国と価値観を共有していますが、アラブ諸国に石油を依存していて、明確にどっちの側にもつけません。
岸田首相が「全ての当事者に最大限の自制を求める」とアイマイな言い方をしたのも仕方ないですね。
ガソリンが200円になったら庶民は大変ですから。
むずかしいバランス外交をするしかないでしょう。