知人のドイツ人は以前日本に住んでいたことがあって、ことし旅行で日本へ来る予定。
話を聞くと、彼は友人に渡すお土産について悩んでいた。
「ならソーセージでいいじゃん」とアドバイスをしたのだけど、海外から日本へ肉製品を持ち込むことは基本的に禁止されているから、この案はボツになる。
前回、彼が日本へ来た時は、ドイツで有名なハリボーのグミを友人に渡した。が、たまたま入った日本のスーパーで同じ物を見つけて、「意味ないじゃん!」とショックを受けたらしい。
でも、ハリボーは例外で、ドイツの商品は日本にはあまり出回っていないから、評判のお菓子を持っていけばいいと彼にアドバイスをしておく。
最近、SNSで同じような立場の韓国人を見かけた。
日本と韓国は地理的にはとっても近いものの、政治的な対立がよく発生するから、「近くて遠い国」と呼ばれることが多い。
でも、その韓国人とユーザーとのやり取りを見ていると、日独に比べて、反日&嫌韓の逆風があったとしても、日本と韓国の距離はやっぱり近いということがよく分かった。
今回は親日的な韓国人の悩みから見えてきた、「近くて近い日韓」について書いていこう。
ハリボーのグミ
「グミ」はドイツ語だ。
日韓が好きな日本人と韓国人が集まるSNSグループで、ある韓国人メンバーが「여러분들께 여쭙습니다」(みなさんにお聞きします)と投稿した。
この人はもうすぐ日本へ行く予定で、訪れる場所や泊まるホテルなどはすべて決まっているのだけれど、最後まで決められないものがあると言う。
それは知人に渡すお土産。
この人としては日本人の知人の喜ぶ顔が見たいから、お金に関係なく、ステキな物を贈りたいと考えている。結果、自分でハードルを上げてしまい、越えることができなくなった。
さらにこんな事情もあるらしい。
「예전에는 김 선물 많이 했는데 요즘은 슈퍼에 가면 다 팔아서리…」
(昔はのりのお土産が多かったのですが、最近は日本のスーパーで全部売っているので….)
たしかに最近の日本では、韓国のりなら近所のコンビニで売っていることもあって、目新しさはゼロだ。
コストコに行けばいろんな味や種類の韓国のりがあるし、韓国商品を取り扱うを「韓ビニ」でも手に入る。
日本人が好きそうな韓国のりがあったら、すぐに業者が仕入れるから、これで今の日本人を喜ばせることはかなり難易度が高い。
おそらくこの韓国人は今まであまり深く考えず、韓国からのりを買っていたけれど、最近の日本の状況を知って、その発想が古いと気づいたと思われる。
この人の希望としては、事前に欲しいものを聞いてそれを知人に渡すのはつまらないから、サプライズ要素を取り入れたい。
まさに「自縄自縛(じじょうじばく)で、自分で自分を追い込んでしまったから、グループメンバーの知恵を借りたいと言う。
そんな投稿に対して、以下のようなコメントが寄せられた。
「化粧品はやめたほうがいいですね。韓国の化粧品なんて日本にいくらでもあるし、肌との相性もありますから。ごま油はどうでしょう?」
「韓国の市場にあるドライフルーツが良いと思います。私の知人の日本人は干し柿が好きで、市場で買ったローカルな感じも良いと言いますよ。」
「KANU(カヌー:韓国のコーヒーブランド)のスティックは?」
「それは新大久保に行けば手に入ります。」
「ドラマの影響でキムブガク(のりで作った韓国の揚げ菓子)が人気と聞きました」
「それも、もう新大久保にあります」
投稿主「ああ、私はどうしたらいいか分かりません」
「日本人はスプーンをあまり使わないので、高級で韓国的なスプーンはどうですか?」
「お酒が好きなら、マッコリ(韓国の伝統酒)の器のセットも良いと思います。」
「お年寄りなら高麗人参ですね。」
「自宅でマッコリを作れる製造キットはどうでしょう?」
投稿主「それは良い情報です。」
「しかし、注意してください。日本人は高価なプレゼントをもらうと、心理的な負担を感じてしまいます。」
投稿主「たしかにそうですね。私は疲れてきました…」
この韓国人は、たくさんの人のコメントしてくれたことに感謝していたが、情報量が多すぎて処理が追いつかず、かえって困惑している様子。
日本にとってドイツとの距離は遠く、ドイツ製品だけを扱う「独ビニ」なんて無い(少なくとも聞いたことがない)。だから、ドイツのものはまだ珍しく、お土産の範囲は広い。
それに対して、韓国人が日本人に、特に韓国に興味がある日本人にとって新鮮で、さらに喜んでもらえるものを選ぶのはかなりのハードモード。
これは「近くて近い国」ならではの悩みだ。
15年ほど前、ソウルのディスカウントショップにあった「お土産ゾーン」
きっと今なら、ここにあるものはすべて日本で手に入る。
グミってドイツ語「Gummi」に由来するんですね。知りませんでした!
しかもその単語が「ゴム」の意味とは・・・。なんだか口に入れる気がしなくなってしまった。
> 韓国人が日本人に、特に韓国に興味がある日本人にとって新鮮で、さらに喜んでもらえるものを選ぶのはかなりのハードモード。
> これは「近くて近い国」ならではの悩みだ。
まあでも、考えようによっちゃ、隣国なので手に入りやすいにも関わらず日本であまり拡がってないってことは、「日本人の好みに合わないから」と考えられないこともないです。
あまり考え過ぎなくてもいいんじゃないですかね? 大事なのはソーセージ、ではなくてその人の気持ちの問題ですよ。
プレゼントをしたいと思う気持ちだけで十分、という抽象的なアドバイスはかえって困るらしいです。
考えすぎだと思うのですけどね。