明治時代、オーストリアの外交官・ヒューブナーが旅行で日本を訪れた。
彼は、日本の農民が風景を見て楽しむだけでなく、自分の家に樹や花を植え、芸術家の眼でそれを眺めていたことに注目した。
当時のヨーロッパの農民の関心事は作物の収穫で、彼らはそのことばかり話していて、自然の魅力については話題にもならなかったという。
ヒューブナーが気づいたのは、ヨーロッパでは、美的感覚は教育によって身につくものとされているが、日本人は生まれつき美的センスを持っているということ。
自然を愛する日本人の美意識が表れているものとして、盆栽がある。
そのルーツは奈良時代に唐から伝わった「盆景」にあり、その後、日本で独自の発展をとげて「盆栽」となり、江戸時代に発展した。
MBSテレビの情報番組『よんチャンTV』(2024年6月10日放送)によると、いま多くの外国人がこの日本の芸術に魅了され、世界的に盆栽の人気が高まっている。
世界的な『盆栽』ブーム到来!園主に外国人フォロワー10万人 スペインから弟子入りまで!「樹が何を求めているのかを理解しないといけないのが面白い」BONSAIの魅力
内容を要約すると、ざっとこんな感じだ。
盆栽の魅力は日本を超え、いまでは世界的な「BONSAIブーム」が起き、輸出額は5年で倍増して9億円以上になった。
兵庫県にある盆栽屋のオーナーは30年の経験を持ち、約12万人いるインスタグラムのフォロワーのほとんどは外国人だ。彼らの反応を通して、オーナーは日本に対する外国人のリスペクトを感じている。
盆栽の手入れについて話を聞くために、外国人が店を訪れることもある。
あるタイ人は母国で日本の樹を育てていて、オーナーの指導を受けて、余分な葉や枝の取り除き方を学んだ。彼にとって盆栽の魅力はそれに全集中し、それだけを考えるようになり、瞑想できることにある。
また、別のタイ人は盆栽をしていると、リラックスできるから気に入っている。
その盆栽店に弟子入したスペイン人は、樹と向き合って話をし、樹が求めていることを理解することが面白いと語った。
香川では大学生たちが「Bonsai☆GirlsProject」を立ち上げ、盆栽の良さを日々、SNSで発信している。
もともと盆栽が持っていた魅力に加え、日本のさまざまな人がネットで情報を世界に伝えていることで、この伝統文化に魅了される外国人が増えているという。
このニュースにネット民の反応は?
・今の日本人には高くて買えません
・盆栽ってタイパ悪くない?
YouTubeを倍速で見るような今の若者に受け入れられるとは思えない
・近所の盆栽屋さんはいっぱいカメラつけてる
・女子高生が盆栽やる漫画ってある?
・針金で捻じ曲げて自分好みに仕立て上げる虐待みたいなもんだぞ
盆栽の愛好家は世界中にいるから、英語版ウィキペディアには「BONSAI」の項目が作られている。
そこを見ると、多くの日本文化の特徴、特に禅宗の影響とわび・さびの表現が日本の盆栽の伝統に影響を与えてきたと説明されている。
Many Japanese cultural characteristics, in particular the influence of Zen Buddhism and the expression of Wabi-sabi, inform the bonsai tradition in Japan.
日本の盆栽が「BONSAI」として、世界中の外国人に愛されるようになり、現地で独自のアレンジが加えられることもある。しかし、そのほとんどは日本の伝統的なルールや思想に忠実であるという。
日本の盆栽は千年以上の時間をかけ、貴族から庶民まで自然を愛する日本人の美的感覚によって形成されたのだ。
【日本の特徴】世界で唯一、「国=文明」が成立する“ぼっち国”
【外国人とNINJA】リトアニア人が想像する忍者はこんな人たち
これは昔とある外国人から聞いた話なんですが、彼が最初に日本で松の盆栽を見た時には「フェイクの鉢植えか?」と思ったそうですよ。何しろ街中の大衆食堂の店頭にどの店も例外なく、精巧な食品サンプルが飾ってあるくらいですから。あのような造花があっても不思議じゃないと。
盆栽が本物の生きている植物であると知った時には非常に驚いたそうです。
なるほど!
日本字の手仕事は精巧なので、そう誤解する外国人がいても不思議ではないです。