掃除は誰がする? 日本人と韓国人の文化・考え方の違い 

 

1ヶ月ほど前、韓国に住んでいる日本人がSNSに「日韓の文化の違いにビックリした!」と投稿した。
その内容は、確かに日本人なら考えられないものだった。

日本ではアパートを退去する際には、「立つ鳥跡を濁さずと」の考え方で、部屋をキレイに掃除することが常識になっている。
「この壁の傷はあの時に~」と思い出にふけりながら掃除をして、スッキリした状態で次の入居者に引き渡すことがマナー。

でも、韓国では世界が逆転していた。
前の入居者は掃除をしないか、簡単にやって出ていくから、新しい入居者が部屋をキレイに掃除をしないといけない。
SNSに投稿した日本人は韓国でアパートを借り、新しい部屋に入って汚い部屋を見てショックを受けた。
新居に入って、まず掃除をしないといけないというのは、日本人の感覚では理解できない
でも、韓国人から話を聞いたりネットで調べたりすると、それは嫌がらせではなく、韓国では普通のこと、一つの文化だということを分かった。

料金を支払えば、業者に掃除を頼むことができる。
でも、日本人の基準からすると、そうした業者は手抜き仕事をすることが多いらしい。
ネットを見ると、韓国で掃除を依頼した日本人がブログで、「一体どこを掃除したのか?」と疑問に思うほど、ザツな掃除だったとあきれ顔で書いている。
その日本人が韓国人の友人に話を聞くと、そういう場合は自分が部屋にいて、掃除業者の仕事ぶりをしっかり監視するべきだったと言われた。

どうも韓国では、退去する際の現状回復の考え方が薄いらしい。
ちなみに、韓国では引っ越し業者が土足で部屋にに入って作業をして、彼らは掃除をしないから、床に足跡が残っていることがよくあるらしい。
それをキレイに拭くのも入居者の仕事になる。

 

では、新築がいいかというと、実際はそうでもないようだ。
先ほどの「文化の違いにビックリした!」という投稿には、韓国の新築マンションで生活を始めた日本人が「分かります」と共感し、こんなコメントを書いた。

自分が新築マンションの初めての住人になるーー。
そう思うと気分が上がったけど、玄関を開けたらコンクリートの粉塵(ふんじん)の臭いがして、「な、なんだこれは?」と驚いた。
中に入ると、フローリングの表面も粉塵だらけで、絶望的な気分になる。
業者が室内の工事を終えて、掃除をしないでそのまま帰ってしまった状況だ。

不動産屋に文句を言ったら、新築物件では入居者が掃除をするのが常識だと言い返される。
それまでの引っ越し作業で疲れていたのに、部屋の大掃除をしないといけなかったのは本当にきつかった。
「おそうじシート」を買ってきて、床や壁、棚などを拭いて拭いて、拭きまくる。
結果、木材の粉塵をたっぷり吸収し、茶色くなったシートの山ができた。
部屋の掃除を続けて、何とか生活できる状態にしてその日は終わった。
でも、臭いは数日間残ったし、部屋をキレイにするまでには2週間ほどかかった。

日本人の感覚から、新築マンションに入居すると、すぐに清潔な部屋で生活できると思っていたけど、韓国ではまったく違った。
でも、これは韓国人も同じだから、彼はこの国の文化だと理解した。

 

この話を知人の韓国人女性にしたところ、それはやっぱり韓国人の考え方や文化だと言う。
新しく入居する人がどれぐらい掃除をしないといけないかは、まえの住人の性格によるから、つまりは「ガチャ」。
彼女の友人はこのガチャに外れた。
部屋に入ったら、生ゴミの腐敗臭が漂ってきて吐きそうになったという。
新しく入居する際には掃除をすることが前提だから、友人たちと部屋へ行って、一緒に掃除をすることも多いらしい。
で、その後、ピザやチキンを注文して、みんなで引っ越しパーティーをするのも楽しい。

その韓国人は逆に、日本へ来て感動した。
彼女がワーキングホリデーで東京に住むことになり、アパートの部屋に入ったら、すべてがキレイに整っていたから、それだけで日本が好きになった。
彼女が思うに、この「部屋の掃除をするのは誰か?」には、日本人と韓国人の性格や考え方の違いがよく表れている。

日本人は他人の気持ちを考えて行動するから、とても丁寧で親切で、そのことに感動することが多かった。
対して、韓国人には自分のやりたいことをする傾向が強い。社会的にそんな自由が認められていて、まわりの人たちもあまり気にしないし寛容だ。
ネガティブな視点で言うと、日本人はどうでもいいような、小さなことにこだわる傾向があるから、それが彼女をイライラさせることもあった。
日本での生活を経験すると、韓国人については、いい加減でザツな面にウンザリすることがある。

そんな彼女は、掃除に関しては「韓国式」に賛成だ。
日本人は計画を立てて着実に実行することが得意だけど、韓国人はそれが苦手。
部屋を出る人には期限があるから、時間がない場合が多いけど、入居する人にはデッドラインがないから余裕がある。
だから、「部屋を退去する人は掃除をしないくていい」というスタイルの方が、韓国人の気質や考え方には合っている。

と彼女言うが、結局のところは自分優先で、めんどくさがりなだけだろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。