友人のアメリカ人女性は日本の学校で英語を教えていて、いまは母国に戻ってジョージア州に住んでいる。
今回は日本語ペラペラで、日本の事情にもくわしい彼女から聞いた話を紹介しよう。
Here we go!
ーーインド人に日本の印象をたずねると、よく「organized」という言葉を使ってホメます。なので、「サンキュー」と言ってから、辞書で「organized」の意味を調べると、「組織的」と書いてあります。
イマイチわからないのですが、あなたも日本でそんな印象を持ちましたか?
「organized」はごちゃごちゃしている状態の反対で、きちんとしているとか整然としているという意味。
私は浜松まつりでそれを感じた。
みんなお酒を飲んで酔っ払っていたのに、ちゃんと準備・活動・片付けをして、すべて計画通りにやるのは「organized」ね。
さすが日本人って思った!
ーーベトナム人がSNSで「日本でしか見られないもの」として、ママチャリを挙げていました。
これってどう思います?
それ違うでしょ。
ママチャリって、スポーツ用の自転車じゃなくて、買い物バッグを入れるかごが付いている自転車のことでしょ? それなら、ヨーロッパでも見たことある。
アメリカでは見たことないけど。
ーーアメリカにはママチャリがないの?
かごが無いと買い物で不便じゃない?
その発想がとても日本人的ね。
かご以前にアメリカは車&大量消費社会だから、自転車は必要ないのよ。
買い物には車で遠くの店までドライブして、たくさんの商品を買って帰るから、むしろ自転車は不便。
ニューヨークとかの大都会は知らないけど、少なくても、地方に住む私のような人間に生活で自転車なんてイラナイ。
ーーこの白い巨大な岩は愛知県にある「乳岩」です。
むかし、地元の人はこの白い岩を削ってお湯に入れて飲むと、子どもを授かると信じていたそうです。
アメリカではむかし、子どもがほしいときにはどんなことをしましたか?
その質問の答えは、信じる宗教のよって違う。
熱心なキリスト教の信者なら、自宅や教会へ行って神に祈っていた。キリスト教は一神教だから、信者にはその選択肢しかない。
アメリカ先住民は独特の信仰をもっているから、「聖なる岩を削って飲む」という迷信めいた話があるかもしれないわね。
ーーなるほど。
「乳岩」の信仰はキリスト教では異端で、先住民的な発想になると。
たぶんね。
先住民の文化ならありそうってこと。
ーー日本の会社で働いていた韓国人の知人は、日本人は周囲の人間に配慮して行動するけど、韓国人は自分の気持ちを優先する傾向があると言っていました。これは場面によって、短所にも長所にもなるそうです。
アメリカ人はどんな感じだと思いますか?
日本人に比べたら、全体的にアメリカ人も大ざっぱで細かいことは気にしない。
具体的には、今はちょっと思い浮かばないけど。
ーー以前、日本の学校で働いていたアメリカ人から、こんな話を聞きました。
彼が職員室で上司の日本人の先生に、借りていたお金をそのまま手渡したら、あとで同僚から、「お金は封筒に入れるのがマナー」と聞いて、「めんどくせえなあ」と思ったそうです。
これが「アメリカ人も大ざっぱで細かいことは気にしない」の例になると思いますか?
それは思う。
だって職場でしょ? それなら財布からお金を出して、上司にそのまま渡して「この前はありがとう」って笑顔で言えばいいじゃない。
ーーそれだと、どっちが上司かわかりませんね。
日本人は上下関係や「正しいやり方」を気にするけど、アメリカ人は合理的な考え方が好きなのよ。
それに、お金を入れた封筒は後で捨てるでしょ? それなら意味が無いし、ムダだと思う。
ーー文化には、無意味に見えるものも多いんですよ。
それにその「合理的思考」って、「めんどくさがり」や「ラクをしたい」という意味ですよね。
そうとも言うかなwww
でも、アメリカ人の中でも違いはあるのよ。
たとえば、民主党の影響の強い州では、法律を制定するのにいろいろなチェックをするから、慎重で動きが遅い。それに対して、共和党の影響が強い州では、承認や確認がゆるいから動きが早い。
だから、共和党の支持者は「民主党は時間がかかって効率が悪い」と批判する。
ーーザックリ分けると、アメリカの南部は保守的で、共和党を支持する州が多く、北部はリベラルだから民主党を支持する州が多い。
南北戦争以来の伝統ですね。(赤い州・青い州)
そう。
ちなみに、どちらでもない微妙な州は「紫色」になる。
ーー日本語で言う「玉虫色」ですね。
ーー最近、バイデン大統領が日本人を「xenophobic(ゼノフォビック;外国人嫌い)」と言って、日本で波紋を呼びました。
日本政府は奥義「遺憾の意」を表明して、国民の間では、「そんなことはない」と発言に反発する人もいれば、「本当じゃん。日本人は外国人に冷たい」と支持する人もいました。
日本に住んでいた経験から、あなたはどう思います?
「xenophobic」は言い過ぎ、そこまでではない。
その言葉は「外国人に冷たい」というレベルを超えて、人種差別主義者みたいなすごく悪いニュアンスがあるから。
でも、私も日本にいて、「外国人は歓迎されていない」という空気を感じたことはある。
アメリカは世界中から移民がやってきて成り立っている国だけど、島国の日本は昔から、外国人の流入が本当に少なかった。
一般の日本人は外国人に慣れていなくて、接触を避けようとする面があるから、外国人には冷たいとか排他的に見えると思う。
それは日本の文化が理由だから、外国人を憎悪するゼノフォビアとは違う。
バイデンは日本のことをよく知らなかっただろうし、何よりも彼はおじいちゃんで失言の多い人だから、許してあげて。
それに、バイデンは民主党の政治家だから。
保守的な共和党の政治家がアメリカへ密入国した外国人を「不法移民」と言ったら、民主党ではその表現を嫌って、「記録のない移民」とか「許可されていない移民」と呼ぶべきだと主張する議員がいた。
彼らはリベラルの立場で差別には特に敏感だから、外国人に「不法」というレッテルを貼られたくない。
共和党のボスのトランプは、移民を「獣」とか「麻薬の売人」とかめちゃくちゃ言うから、そんな態度への反発もあると思う。
ーーそんな人物が次の大統領になりそうな国から、「ゼノフォビック」と批判されても…。
アメリカには都合の良い二重基準がない?
二重基準というか、言っている人の価値観や考え方がそれぞれ違うから、そう見えるんでしょ。
いまネットで調べたら、共和党の言う不法移民を民主党では「隣人」や「新しく来た人」と呼ぶ人もいるらしい。
民主党はこんな感じに政治的な正確さを追求するから、いろいろなことに細かくなるのかもね。
個人的には、アメリカの法に違反して入国した人を「不法移民」と呼んでいいと思う。
民主党の支持者には、「xenophobic」と怒られるかもしれないけど。
ーーアメリカの中にもいろいろな価値観や考え方があるから、「アメリカ人=大ざっぱ」というステレオタイプの見方はダメですね。
それでいいんじゃない?
日本人に比べたら、基本的にその認識で合っていると思う。
具体的な場面になると、話が変わることもあるというだけで。
ーーなるほど、今日はありがとうございました。
いえいえ、またね。
> かご以前にアメリカは車&大量消費社会だから、自転車は必要ないのよ。
それは私もそう思います。(一部の健康志向・環境保護派の人々を除いて。)
それにもう一つ、アメリカの地方都市に住み始めてから感じたことですが、歩いたり、自転車に乗って移動するのは、色々な意味で「危険」があります。まず周囲を走行中の自動車が危険、次いで(時には)出くわす人間や野生動物も、日本に比べるとしばしば危険を感じます。
そうなんです。
これは別の記事で書こうと思うのですが、アメリカは自転車にやさしくない国じゃないようです。