SNSを見ていると、東京の居酒屋をおとずれて「この発想はなかった!」と衝撃を受けるアメリカ人がいた。
その居酒屋の中には生けすがあって、客が魚釣りを楽しむことができ、獲物をその場で刺身にして出してくれる。
こんなエンタメ体験と本場の和食を同時に味わえる店は、世界でも日本以外にはない気がする。
外国人旅行者が興奮するのも納得だ。
アメリカ人つながりで、今回は日本に住んでいたアメリカ人女性から聞いた話を書いていこう。
彼女は以前から日本に興味があって、来日してから高校で英語を教えると同時に日本語のスキルを磨いていた。
数年前に帰国して、今は日本での日々をなつかしく思っている。
ーーお久しぶりです。
そだね〜、まえに話した時から、けっこう時間がたったね〜。
ーーさて日本では、自殺や殺人事件があったアパートやマンションの部屋を「事故物件」と言うんですよ。
いきなりすごい話題をふってくるね。
ーー今は夏ですから。
電気代ゼロで、心の底から涼しくなる冷房が完備されていると思えば、今の季節には最適の部屋かもしれないけど、普通はそんな縁起の悪い部屋には誰も住みたがりません。
それで、部屋を管理する側がお坊さんや神職を呼んで、除霊をしてもらうことがあるんですよ。
アメリカでもこんなことをしますか?
まずは、「日本語のマンションは英語とは意味が違うゾ」とツッコミをしといて、アメリカでもアパートで自殺や殺人事件が起こるけど、そんな儀式は聞いたことない。
ほとんどのアメリカ人はその部屋にはもう死者の魂は存在しないと考えて、「そんなことをしても効果がない」って思うんじゃないかな。
ーーたしかに霊がいないところで除霊をするっていうのは、プロレス会場でアイドルの出待ちをすることなみに無意味な行動ですね。
ねえ、ほかの例えはなかった?
ーー日本人は「そこに霊がとどまっている」と考えるから恐怖を感じるけど、その発想は何に由来しているんだろ?
仏教か神道か、それとも何かほかの信仰か?
悪霊がアパートの部屋じゃなくて、人間に取りつくという考え方なら、キリスト教のカトリックにはある。それで欧米では昔から、聖職者が悪魔を追い出すための儀式「エクソシズム」がおこなわれてきた。
でも、私は身近でそんな話を聞いたことがないし、今ではすごく少ないと思う。
ーー「悪霊ばらい」なら日本でも昔からあります。
いまネットで調べたら、家の中に潜む鬼を追い出す「豆まき」も、広い意味で「悪霊ばらい」になるらしいですよ。
それ、日本でやったことある! すごく楽しかった。
ところで、なんで「マメ」なの?
ーー「魔を滅する」って意味らしいですよ。
豆まきならいいんですけど、「あなたには悪霊が取りついています! すぐに祓わないといけない」と脅して金をぼったくる霊感商法が問題になることがあります。
これこそ、霊のいないところで除霊をするようなものです。
ーー日本では新しい家を建てるときに「地鎮祭」という儀式をして、土地の神さまに工事の安全やそこに住む家族の保護を祈ります。
アメリカでこんな儀式を聞いたことがあります?
それは神道の祭りよね。
アメリカにはいろいろな信仰をもっている人がいるから、なかにはそんな儀式をする人がいるかもしれない。
でも、普通はアメリカ人が新しい家に住むときに気にすることは、太陽と向かい合う南向きがいいとか、近くにスーパーがあるといった生活の便利さだけだと思う。
ーーまぁアメリカでは、「土地の神様」って考え方が無いんだろうな、という予感はありました。
そう言えば、日本の高校で英語を教えていたアメリカ人が面白いことを言ってたんですよ。
野球部の練習が終わると生徒たちが一列に並んで、グラウンドに「ありがとうございましたっ」とお辞儀をしたのを見て、彼は「あれは土地に神が宿っているという神道の考え方がベースになっているんだ。練習をさせてもらったことを感謝しているんだろうな」と思ったそうです。
その話はとっても日本的で、アメリカ人には分かりにくい。
キリスト教の考え方では、神は偉大な創造主で、土地(地球)も神がつくったものの一つでしかない。感覚としては地球も彼がつくった作品で、陶器と同じようなもの。
練習が終わった後、生徒がコーチにお礼を言うことはアメリカでもよくある。
でも、普通のアメリカ人が、さっきのグラウンドに「ありがとうございました!」と言って頭を下げる光景を見たら、「土地は何も感じないし、まったく無意味では?」って不思議に思う気がする。
ーー誰もいないグランドに挨拶をする人がいたら、「あいつ何かヤバい!」となってエクソシズムが必要と思われるかも。
かもね〜、しらないけど。
【今日の気温は100度】アメリカ人が日本で困る“単位の違い”
アメリカって、意外と「お化け屋敷」みたいな話が多いんじゃないですか?
たとえば、ディズニーランドの「ホーンテッド・マンション」なんて、確か「ホーンテッド」というホラー映画が元になってたんじゃなかったでしたっけ?
あと、「ポルターガイスト」なんてのも、「家に取りついたお化けの仕業」という話もあったかと。ナイアガラ瀑布の近くにある「蝋人形の館」も、人形が動きはしないが、なんか不気味で気持ち悪かったです。
ああそう言えば、マイケル・ジャクソンの「スリラー」は、墓の中から死霊が生き返って来てダンスをするんですよね。ああいうのアメリカ人は「格好いい」って思うだけなのかな?