織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の3人の性格の違いを「ホトトギス」を使って表す言葉がある。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」は信長の短気さや残酷さ、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」は秀吉の人使いのうまさ、「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」は家康の忍耐強さを表している。
ほかにも、天下統一における3人の役割の違いを示す表現として、「餅」を使ったこんな狂歌もある。
「織田がつき 羽柴がこねし 天下餅 座して喰らふは 徳の川」
信長が強力な武力でもって諸国を平定し、次の秀吉が統一を達成したが、最後は家康が日本の支配者となった。そんな流れを、信長が餅をついて秀吉がそれをこね、できた餅を家康が座って食べるということに例えた。
導入が長くなってソーリー、これを日韓関係に当てはめて考えると、今は餅がほぼ完成した段階になる。
2015年の12月末、日韓の最大の外交課題だった慰安婦問題について、両政府が解決に合意した。当時の朴(パク)大統領と話をした後、当時の安倍首相は記者団に力強くこう語った。
「私たちの子や孫、その先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない。今回、その決意を実行に移すための合意でした。この問題を次の世代に決して引き継がせてはならない。」
日本はこれからも、歴代の内閣が表明してきた「反省とお詫びの気持ち」を受け継ぐが、もう韓国に謝罪することはない。
そんな安倍氏の決意に多くの日本国民が同意し、日韓関係はリセットされて新しい時代が始まった。とはいえ、韓国では「まだ謝罪が足りない」と考え、この発言や日本のムードに抵抗を感じる人が多くいたのは事実。
それから約10年後、岸田首相が韓国を訪問し、尹(ユン)大統領を会談した。
岸田首相は尹大統領に、日本は歴代内閣の歴史認識を引き継いでいることを話し、統治時代には、「多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに胸が痛む思い」だと述べる。
結局、「心からのお詫びを申し上げる」といった直接的な表現はなかったし、「胸が痛む思い」というのは個人的な立場で述べたもので、日本を代表して謝罪することはなかった。
尹大統領も日本の責任については触れず、岸田首相の言葉を受け入れた。
2人とも未来志向の日韓関係を目指しているから、そのための基本的な認識は一致している。
しかし、韓国にはそんな大統領を支持する人もいれば、「抵抗勢力」もある。
尹大統領とは考え方の違うリベラル派のハンギョレ新聞は、そんな2人の態度が不満だったようでこんな記事を掲載した。(2024-09-09)
韓国訪問で「日本はこれ以上謝らない」再確認した岸田首相…それに同調した尹政権
記事によると、今回の会談で明らかになったことは、日本が「これ以上歴史問題について謝罪しない」という立場を示し、尹大統領がそれに同調したこと。
日韓外交にくわしいソウル大学のナム教授はこう分析する。
「岸田首相は韓日の歴史の問題について『日本は完全に終止符を打った』ことを再確認し、韓国政府はそれに同調した」
尹大統領は以前にも、「日本はすでに数十回にわたり、歴史問題で反省とおわびを表明した」と強調し、もう謝罪を求める必要ないと訴えていた。だから、野党からは「親日(売国)政権」と非難されているのだが。
尹大統領の気持ちが揺るがないように、岸田首相が訪韓し、未来志向の日韓関係を再確認した形になる。
2015年に外務大臣として慰安婦合意を結んだのは岸田氏だから、「関係を過去には戻らせない」という思いは強いはずだ。
実際、過去にこだわって、「謝れ!」「だが断る!」という応酬がつづく関係はもう終わりにしないといけない。
日韓関係を「天下餅」になぞらえて言えば、安倍首相と朴大統領がついて、岸田首相と尹大統領がこね、これから両国民がそれを味わうことになる。
日本国民は未来志向的な日韓関係を支持しているけれど、韓国側はそうでもない。
日本に過去の反省や謝罪を求めない尹政権に対して、野党やその支持者は大きな不満や怒りを抱えているため、間違いなく前途は多難だ。
しかし、日韓関係はこのまま前(未来)に進めていかないといけない。
尹大統領に求められるのは「殺してしまえ ホトトギス」という短気さや、「鳴くまで待とう」というのんきさではなく、「鳴かせてみせよう」という“人たらし”の能力だ。日本と友好関係を築くことのメリットを国民に示し、支持を集めることができたら「勝ち」になる。
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
在日コリアン野球選手の張本勲(韓国語の発音:チャン·フン)選手が23年5月に朝鮮日報に次のようなことを言いました。「いつまで日本に『謝れ』『金を出せ』を繰り返さなければならないのか。 恥ずかしい」 彼のこの言葉は韓国内で大きな反響を呼びました。右派の韓国人は「ジャンフン氏の言うことが正しい」と同調しましたが、多くの左派の韓国人はジャンフン氏を「売国奴」と非難しました。このように相変わらず韓国で日本は「葛藤の国」です。
私ははっきり言いますが、これ以上韓日の歴史問題で日本が謝罪したり、韓国が謝罪を求めるようなことがあってはならないと思います。それはすでに終了した歴史に過ぎません。
日本の首相や高級官僚が日本統治時代について韓国人に謝るのは韓日親善友好のためにいいことだと思いますが、韓国で強要することでは決してありません。今の日本人たちは過去の朝鮮統治時代に生まれた人たちでもなく、そのこととは全く無関係な後の世代たちです。彼らが韓国に謝罪することは論理的にも正しくありません。
しかし依然として現在の韓国では反日感情が跳ね上がっています。
今国会では旭日旗を掲げ韓国に入港する自衛隊艦に関すること、日本統治時代の朝鮮人の国籍問題、佐渡鉱山問題などをもって左派政党が次々と政府を攻撃し、国民に反日感情を誘発しています。韓日関係の先行きは依然として暗いです。
歴史問題について話し合って「最終的な解決」を確認した後に、今度は「真の解決のために心からの謝罪」を要求されたら、キリがありません。
韓国の野党はこれを政治的に利用しています。これが政治カードとして有効なうちは、手放さないでしょう。
でも、次に誰が日本の首相になっても、現在の「謝らない」路線はつづくと思います。