【慰安婦合意の舞台裏】日本が韓国に譲歩に譲歩を重ねた結果…

 

今月はじめ、2020年の2月以来となる日韓の外相会談がおこなわれた。
でも茂木外相と韓国のチョン・ウィヨン外相は、新型コロナのために握手することはできなかった。
と思いきや、コロナ後の常識となった「ひじタッチ」すらしないで、戦後最悪と言われるいまの日韓関係そのままのお寒い空気の中で果たし合い、おっと話し合いをしたそうだ。

で肝心の中身はというと、1年3ヶ月ぶりに会ったにもかかわらず、お互いかみ合わない主張をぶつけ20分で終了。

ハンギョレ新聞の記事(2021-05-06)

韓日、20分間の外相会談で慰安婦問題や福島原発汚染水めぐり“平行線”辿る

通訳の時間を考えたら、実質10分ぐらいか?
そんな短い時間で慰安婦問題と処理水について話しても、お互いすでに知ってる意見を確認して終わるしかない。
茂木外相はこれまで通り、慰安婦・元徴用工訴訟判決で韓国側が引き起こした国際法違反状態の是正を求めた。
この二つの問題はそれぞれ1965年の日韓請求権協定と、2015年の日韓合意で解決済みのはず。
それをひっくり返した韓国側に解決策の提示を要求するのは、これまで日本政府が主張してきたこととまったく変わっていない。

対してチョン外相は、日本の正しい歴史認識がなければ、過去の歴史問題は解決できないと強調。
これも、いままで韓国政府が言ってきたことと変化なし。
そして最後は「韓日関係を未来志向的に発展させていくことに同意した」と、果てしなく遠い未来を見つめて終わり。

両国の未来志向的な発展については日本も望むところ。
でも韓国政府は、そのために必要な問題解決の具体案をまったく提示しようとしない。
これがないと話し合いにならず、外相やトップ同士が会談しても20分か30分かしらんが、今回と同じように“平行線”をたどるだけで生産性と意味がない。

 

日韓関係がこれ以上なく悪化した重大な原因に慰安婦問題がある。
結論からいえば、日本と同じように韓国もこの合意を守っていれば、いまのように頭を悩ませる必要はなく、たどるべき平行線もなかった。
今回も「ひじタッチ」ぐらいはあったかもしれない。

その慰安婦問題について、韓国メディアの中央日報が明らかにした日韓合意の舞台裏が興味深い。
はじめ日本は慰安婦基金として5億円ほどを提示したのだが、韓国側は「中途半端な金額だ」と10億円にすべきだと主張を続けた。
その後の展開は中央日報日本語版の記事に書いてある。(2021.05.07)

谷内事務局長はやむを得ず受け入れた。安倍首相もこれを裁可した。韓国側の要求事項もほとんどすべて反映された。ところが文在寅(ムン・ジェイン)政権が就任直後、この合意を覆した。そして竹槍歌、土着倭寇を叫んだ。

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仕方なく2倍の増額を認め、韓国側の要求には譲歩に譲歩を重ねてなんとか合意にたどりつき、日本が10億円を渡したら、文政権はその合意を破ってしまった。
お金を受け取ったあとに約束を破るような行為を一度でもした相手とは、小学生の間でも一切の関係が終わるはず。
韓国政府の場合はそのあと反日(竹槍歌、土着倭寇)を叫んだのだ。

でも日本との関係改善が必要になると態度一変、ことし1月にはこんなことを言い出す。

突然、慰安婦合意を認めるという。また、被害者勝訴の慰安婦判決(1月)について「困惑している」(文大統領)という。本当に困惑しているのは韓国・日本の国民だ。

 

自分で覆した合意をいまになって認めると言う。
そして「困惑している」と言われてましてもねえ。
今日の自分が昨日の自分を否定するという、あまりにいい加減な韓国政府に朝鮮日報は「国際社会では、こんな韓国をどう見るだろうか。これも外交なのか。ひたすら恥ずかしい」となげく。

でも内容は違うとはいえ、日本だって恥ずかしいと思えば恥ずかしい。
慰安婦合意では韓国側の要求をほぼ丸のみにし、これ以上なく譲った挙句に約束を白紙にされて、いまでは「日本の正しい歴史認識がなければ、過去の歴史問題は解決できない」と言われる始末。大統領は最終的な解決を確認にした合意を「認める」と言ったにもかかわらず。
「まさかここまで合意を破るとは…」という言い訳ももはやむなしい。
韓国側の国際法違反を指摘するのは当然としても、この対韓外交の失敗については素直に反省して、正しい認識を持たないといけない。
でないと同じことの繰り返しで、両国の未来志向的な発展を永遠に追いかけるだけ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。