韓国の裁判所が先日、日本政府に元慰安婦への賠償を命じる判決を出して、いま日本が激怒し、韓国政府は困惑している真っ最中。
すべての国の主権は平等・対等で、ある国の裁判所が他国を裁くことはできない。
たとえ相手が日本であっても、この「主権免除」の国際原則を無視していけないはずなのに、韓国の裁判所はありえない判決を日本へ言い渡す。
どれぐらいの「ありえなさ」かというと、「常識的、国際法的にありえない」と日本の外務省幹部の想像をこえ、韓国政府内からも「この判決は理解しがたい」という声が上がったほどだ。
これによって、韓国国内にある日本の財産を差し押さえることが理論上は可能になった。
もし本当にそんな事態になったら、日本の報復と韓国政府の報復返しは避けられないから、両国関係は「破滅」するかもしれない。
でも、ハンギョレ新聞のキル・ユンヒョン記者に言わせると「それはない」。(2021-01-20)
「慰安婦」判決で韓日関係が破局?大げさに騒ぐのはやめよう
なんでこう言えるのかというと、原告の元慰安婦の人たちは、日本政府からお金を受け取るためにこの訴訟を始めたわけではないから、とキル記者は言う。
日本が”事実”さえ認めれば、それで問題はキレイに解決する。(らしい)
日本政府が8日の判決の趣旨を受け入れ、慰安婦制度が「日本が組織的かつ計画的に運営した国家犯罪」であるという事実を認めれば、その時点で全ての対立は解消され得ます。(中略)被害女性たちが願うのは金ではなく、歴史的な正義だからです。
日本政府がこの”真実”を受け入れて、心からの謝罪をすれば、元慰安婦が願う「歴史的な正義」が手に入る。
もともとお金の問題ではないから、日本がそれさえすれば、原告側が日本政府の財産を差し押さえて売却することもなく、慰安婦問題はすべて終わるという。
まぁそんなわけがない。
1965年の日韓請求権協定と2015年の慰安婦合意で、韓国は「最終的な解決」を2度も確認したのに、今回それをひっくり返し、さらに日本の主権を否定するよう判決を出した。
国家間の約束と国際法を破ったのはこれで一体何度目か。
「最終的な解決」のラウンド3は必要なのか。
日本の信頼を裏切ったあとの「全ての対立は解消され得ます」という言葉には虚無しか感じられぬ。
キル記者は今後の日本政府の動きについて、「最終的かつ不可逆的に解決された」とこれまで日本が主張してきたことから、慰安婦問題の解決のために「国際司法裁判所に持ち込むという無茶はしないでしょう」とみる。
つまりこれをやられると、韓国には打撃になるということだ。ということは「やれ」と?
でも実際には韓国政府が同意しないと裁判は始まらないけれど、日本がその意思を示す価値はある。
韓国の裁判所が「主権免除」を否定したことを少しでも世界が知ることになったら、韓国政府の”困惑”はまた深まる。
韓国メディアの記者が「韓日関係が破局?大げさに騒ぐのはやめよう」と言えば、西日本新聞の小出浩樹記者は「日韓関係を悪化させて何が面白い」と書く。(2021/1/16)
文在寅(ムンジェイン)政権は三権分立にのっとり、司法判断を尊重するという。ならば聞く。徴用工訴訟で判決を遅らせたとして、韓国前最高裁長官の逮捕を許したのは誰か。
これ以上、日韓関係を悪化させて何が面白い。
ブレーキなき文政権
イグザクトリー。
韓国政府の言う「三権分立」「司法判断を尊重する」は問題解決のために動き出さないための、ただのやらない言い訳でしかない。
国内の反日世論を扇動し、これに迎合する文政権によって韓日関係は悪化する一方だから、「ブレーキなき」の指摘にはぐうの音も出ない。
でもここでは小出記者が感じた違和感に注目したい。
私が特に「おや」と思ったのは、判決文に「事実認定」と呼ばれる最も基礎的な部分が見当たらないことだ。
原告12人のハルモニ(おばあさん)がいつ、どこで、誰に、どのように慰安婦にされたのか。日本政府からどんな損害を被ったのか-である。
慰安婦問題について韓国の裁判官はこう述べた。
「この事件の行為は合法的と見なしがたく、計画的、組織的に行われた反人道的行為で、国際強行規範を違反した」
「原告は想像しがたい深刻な精神的、肉体的苦痛に苦しんだとみられる」
でも、「いつ、どこで、誰に、どのように」という具体的なファクトが何もない。
答えは簡単明瞭。
「慰安婦は日本軍に強制連行された」「性奴隷にされた」といった韓国社会で真実とされている説には、それを裏付ける根拠がまったくない。
もし細かい事実認定をしたら、日本から矛盾を突っ込まれるのは必至だ。
だから具体的な事実は無視して「反人道的行為」を認定し、「国際強行規範を違反した」と日本に違法判決を出すしかなかった。
判決が先にあって、あとから理由を考え出したらしい。
そんなでたらめなことをするから、「正直、困惑している」と文大統領が弱音を吐いて、韓日関係はカオス状態におちいった。
「(日本が)事実を認めれば、その時点で全ての対立は解消され得ます」というけれど、その事実とやらは結局、一体何のことなのか。
根拠も裏付けもなく、ただ日本の名誉を傷つけるものを「事実」と認めるわけにはいかない。
お金のためではありません。
歴史的な正義だからです。
「国家犯罪」をふくめて、日本がこの判決を否定したのはまさにこの理由からだ。
お金だけが原因なら、この問題はもうとっくの昔に解決している。
大げさに騒ぐ必要はないけれど、真実は受け入れないといけない。
こちらの記事もどうぞ。
>韓国政府が同意しないと国際司法裁判所には持ち込めないから無理だろう。
ちょっと誤解があるようですが。以下、Wikipediaから引用:
>被告国が裁判の開始に同意して初めて管轄権が成立するのであり、単独提訴の段階では管轄権はない。したがって、単独提訴したとしても、被告国が同意しなければ裁判が行なわれることはないし、国際司法裁判所は一切の訴訟手続をしない。
つまり、単独で提訴で国際司法裁判所(ICJ)へ持ち込むことは可能なのです。ただし、提訴されたことに被告国である韓国が応訴を同意しないと、訴訟手続が開かれない。
提訴されて、それに応じないことが世界中に知られるだけでも、被告国にとってはかなりの痛手と思います。
日本は、単独提訴してもいいんじゃないですかね。
たしかに「持ち込む」の内容が不明瞭でした。
なので修正しておきました。
ご指摘ありがとうございます。