家電で日本が韓国に完敗… しかし、“負けない部分”はある 

 

韓国メディアの「韓経ビジネス」が、日本に挑発的な記事を掲載してくれやがりました。(2024年9月15日)

삼성전자·LG전자에 완전 밀렸다…’가전 왕국’ 일본의 추락
(サムスン電子・LG電子に完敗…’家電王国’日本の没落)

ことしドイツで開催された世界的なエレクトロニクスショー『IFA 2024』で、かつて「家電王国」として君臨していた日本メーカーの姿はなく、“玉座”に座っていたのは、韓国企業のサムスン電子やLG電子だった。
といっても、日本企業は参加していなかったのではなく、よく探すと、ソニーやシャープ、東芝などの小さな展示ブースがあったらしい。
ソニーはサムスン電子と展示ブースの広さで競い合っていたのに、それはもう完全に過去の話になった。
ただ、中国企業も猛追しているから、韓国は日本企業を反面教師にして気を引き締めている。

 

韓国メディアの記事だと、実際以上の「日本下げ」が行なわれることが多いが、家電に関してては日本企業の“完敗”や“没落”と言われても、反論することはむずかしい。
その事実は多くの日本人も受け入れていて、グーグルに「日本 家電メーカー」と入力すると関連ワードに「終わり」や「衰退」といったネガティブな言葉が出てくる。
客観的なデータにも日韓の「栄枯衰退」が表れている。
2002年の「世界の電機メーカーの売上ランキング」を見ると、日本企業は1位のソニー、2位の松下電器(パナソニック)、6位の東芝 9位の日立、10位の三洋電機と半分を占めていた。韓国企業は3位のサムスン電子と5位のLG電子のみ。
それが2021年になると、サムスン電子とLGエレクトロニクスがそれぞれ1位と4位に上昇し、生き残った日本企業は6位のパナソニックのみ。

その入れ替わりの時期に、タイでこんなことがあった。
ゲストハウスに宿泊した際、フロントでパスポートを見せると、スタッフが「君は日本人か。オレは日本が大好きなんだ。サムスンの製品を愛用しているよ!」と満面の笑顔で言われ、何か面倒くさくなって、思わず「ありがとう」と言ってしまった。
今はもう、こんなカン違いする外国人はきっといない。
以前、SNSで、フィリップス(Philips)をドイツメーカーと誤解していた日本人を見たけれど。

 

タイの高速道路で見た巨大な看板。前はソニーだった気がする。

 

お盆休みが終わったあと、SNSを見ていると、東南アジアの数カ国を旅行した日本人が、泊まったホテルの部屋では韓国メーカーの製品ばかり置いてあって、数十年前と違って、日本製品は日系のホテルでしか見なかったと嘆いていた。
また、ヨーロッパの国を訪れたある日本人は、市内中心部の目立つところに、中国と韓国の企業が張り合うように大きなビルを建てていて、日本企業の存在感はなかったという。

それでも、日本企業が持つ技術力はとても高く、韓国では勝てない部分も多い。
たとえば、半導体製造に欠かせない素材であるシリコンウエハーは、日本企業2社で世界シェアの約6割を占めているのだ。
製品に「SAMSUNG」と書いてあっても、中を開けると、重要部品は日本製だったということもある。

韓国メディアに敬意を表して、日本メディアの記事で韓国に挑発的なものを紹介しよう。

ダイアモンド・オンラインの記事(2019.9.2)

韓国サムスン総帥が輸出規制強化で泣きついた日本財界の重鎮【スクープ】

2019年に日本が対韓輸出の管理強化を発表すると、サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の巨大企業に激震が走った。
というのは、これによって、半導体やディスプレーの製造に欠かせない3つの重要部材の輸出が困難になり、最悪の場合、半導体工場が操業停止になることが予想されたから。
メーカーにとって、商品を製造できないというのは、息の根を止められるのと同じだ。
この大ピンチにサムスングループ総帥・李在鎔(イ・ジェヨン)氏はすぐに動き、部品を供給している日本企業の経営者にメールを送り、「私どもは皆さんを必要としている。ぜひついてきてほしい」と訴えた。
それだけでなく、イ氏は韓国大統領主催の財閥トップ懇談会をキャンセルし、この問題に対応するために日本を訪問し、関係する企業の幹部と会って話し合いを行った。

 

今の時代、すべての部品を同じ国の企業で生産している大手家電メーカーなんて無いのでは?
サムスン電子がもうかれば、利益をあげる日本企業もあるから、「家電王国」としての日本が没落したことは否定できないとしても、日本勢が「サムスン電子・LG電子に完敗」というのはちょっと違う。
「オレは日本が大好きだ。サムスンの製品を使っている!」というタイ人の言葉は完全な間違いでもなかった。

 

 

日本への世界の評価や印象・中南米編「科学と伝統と平和の国」

日本・韓国・中国、アメリカ人から見るとこんな国

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浜松の日系人に聞く、ブラジルで日本人が信頼される理由

 

5 件のコメント

  • 私は韓国の産業発展を目撃してきた者として、韓国の家電製品が日本を市場シェアでリードしているという事実自体が信じられません。それほど、私が育った時代には日本製品と韓国製品は比較にならないほど日本の優位でした。そういう点で、家電では韓国が日本を抜いたということ自体が驚きです。日本はその間どうして発展がなかったんですか?

    三星の創業者、李秉喆(イ·ビョンチョル)会長は、韓国が早いうちに日本に追いつくためには応用分野が強くなければならないと考えました。日本が長い間発展させてきた産業発展のルートをそのまま踏襲すれば、韓国の発展はあまりにも長くかかると判断したのです。それで基礎的な技術はすでに発展した国(主に日本)で導入して、それらを組み立てて一つの完成品を作って販売する戦略を使いました。その結果、外的に大きく成長し、ついに完成品生産では日本を追い抜くことができました。韓国の他の産業もこれと似ています。
    その結果、基礎科学分野で韓国は不十分です。
    まだ科学分野でノーベル賞を一つも受けていないことがそれを証明しています。韓国の”빨리빨리(パルリパルリ-早く早く)”文化が作った結果ですね。
    現代の産業は細分化されており、自国に有利な技術中心に編成されています。私の乗用車は日本製のNISSAN(日産)ですが、製造工場はアメリカで、タイヤはタイ製の製品を使っていました。 内部部品の中には韓国から輸入したものもあります。サムスンのスマートフォンがアップルと世界一をめぐって競争していますが、主要な半導体素子は日本製を使用しています。
    その点、日本の家電メーカーの意気込みを期待しています。私が子供の頃、日本の「ナショナル」や「ソニー」、「東芝」のような業者は、韓国では到底ついていけない「天上のメーカー」でしたから。

  • 韓国企業の成長スピードはすごいです。
    日本の家電メーカーが失敗した理由はいくつかあります。その1つは、日本人だけに受ける機能を製品につけて、外国人には人気が出なかったことです。
    韓国企業はマーケティングがうまいと思います。
    ですが、日本企業には高い技術力があるので、いつか復活することを願っています。

  • 一般消費者向けの製品は、どうしてもコスパ優先になりますからね。
    人件費の他にも労働者の権利、工場に求められる安全や環境基準の高さと輸送コストを考えれば、どうしても現地生産になると思います。

    あと日本のパナソニック(ナショナルブランドを統合)、ソニー、日立などかつての有名家電メーカーは企業間取引メインとなり、あまり一般消費者の目に触れない所で活躍中です。
    日本の有名家電メーカーの中で明白に落ちぶれたのは、シャープくらいでしょう。

    ちなみに日本の輸出管理厳格化は米の輸出管理法改正、輸出管理改革法成立を受けてのもの。
    再輸出規制の項目を読めば、日本政府の領分を超えているんですよね。戦略物資はそれほど取り扱いに要注意で、見直しと厳格化をしなければ日本が米国よりセカンダリー・ボイコットをされかねません。

  • 同意します。
    韓国の現代·起亜自動車が実際の性能面では日本製自動車(例えば、トヨタ、日産など)より低水準ですが、内部インテリアが美麗で、電子的便宜機能では日本製よりはるかに多くの機能が装着されています。日本製自動車を購入した韓国の消費者は、内部機能が韓国製自動車よりはるかに少ないことに驚きます。韓国は基本性能では競争が難しいから多様なアクセサリー装着で勝負をするのです。そして、それは消費者に非常に訴求力があります。

  • > 日本製自動車を購入した韓国の消費者は、内部機能が韓国製自動車よりはるかに少ないことに驚きます。韓国は基本性能では競争が難しいから多様なアクセサリー装着で勝負をするのです。そして、それは消費者に非常に訴求力があります。

    それがまさに、日本の家電製品が韓国あるいは中国に負けた原因です。そんな訴求力が有効な時代は、市場の成熟過程に伴いすぐに終わりが来て、長続きしません。
    日本の家電製品が韓国や中国の「安物」に追い越される過程を、私はつぶさに見てきました。日本の家電メーカーが欧米の家電製品に対抗しつつあった60・70年代には、日本の家電製品は「安くて高性能・高耐久性」を売り物としていました。
    それが円高基調に伴って安価に生産できなくなってきたので、家電メーカーは製品価格を下げるのでなく、「多機能化」による高付加価値(という名目)で高価格製品を市場へ押し付けようとしてきました。そんな日本家電メーカーの姿勢に、「目の肥えた」日本人は飽きたのです。TVやビデオのリモコンボタンが多すぎる。扇風機なんてON/OFFと強/中/弱の切替えで充分。
    それに代わって、「安物」ばかり供給していると思われていた韓国・中国メーカーは、元は日本メーカーから導入した「製品価格は安く押さえて質実剛健」という戦略を推し進め、その方向で発展させた結果が、現在の日本を含めた世界の市場には受け入れられているのです。私の自宅の電化製品も今では半分以上、韓国・中国製です。だって、安くてそれなりに役に立つのですから。家電にそれ以上何を要求しますか?

    結局、標準レベル以上の基本機能を維持しつつ、製品価格をなるべく上げずに、他社・他国に真似ができない固有の優れた機能・性能を有している製品だけが世界市場で生き残ることができるのです。単に「技術力が高い」だけでは勝てません。市場動向を読み取る経営力が必要です。あれほど自動車の性能評価に厳しい米国市場で日本車が大きなシェアを未だに占めている理由がまさにそれです。(でもまあ、やり過ぎると米国民の反発を招きますけど。)
    トヨタのハイブリッド・エンジン車とか、USSを(米国投資家に頼まれて)買収しようとしている日本製鉄なんかを見ていると、そのような感じを今でも強く受けます。
    付随的なアクセサリー機能をいくら増やしたところで、日本や米国のような成熟した市場で自動車のシェアを高めることはできないと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。