「世界各国を比べてみました」的なランキングで、日本が上位に入るのが治安の良さで、いつも残念な結果なのが英語力のなさ。学校の授業は改善されているのに、「日本が世界ランキングで上位に入った!」という吉報は聞こえてこない。
でも、言葉の壁とぶつかっているのは日本語を学ぶ外国人も同じだ。ことしの夏、日本に住むアメリカ人と話をしていると、それは日本人が英語で感じる困難と似ていた。
ということで、これからその内容を紹介しようと思う。
“ネタバレ”すると、外国人にとって日本語が難しいと感じるポイントは、次の文章を読めばわかる。
「はしばしははしのはしばしに、はしをおくようはしためにめいじた。」
*意味は記事の最後にあります。
ーーきょうも日本は、夕方まで生きているか分からないほど暑い。で、ふと思ったんだけど、「日焼け止めを塗る」の「塗る」って英語でどう言うの?
「wear」でもいいし、「put on」でもいい。お好きなほうを。
ーー 「ペイント」だとは思わなかったけど、それは予想外だったな。
学校の授業で「ウエア」は「(服を)着る」、「プットオン」は「(物を)置く」と覚えたから違和感しかない。「プットオン」と聞くと、日焼け止めをテーブルに置く感じがする。
化粧をする場合も、「ウエア」や「プットオン」を使える。
ーー辞書を見ると、「プットオン」の意味には、入れる、着る、(靴を)はく、(〜の)ふりをする、取る、上演する、気取る、太る…と山盛りある。
英語でむずかしいのはそういう動詞と前置詞の組み合わせで、意味が多すぎて困る。
「turn over」も、回転する、(胃が)むかつく、(事態が)大きく変わる、売り上げがある、(エンジンが)かかる、(仕事を)引き継ぐ、転職する…と意味がいろいろある。
日本ではサッカーの試合で、先発メンバーをガラリと入れ替えることを「ターンオーバー」と言うけど。
文の前後でどの意味か判断しないといけない。でも、それは深く考えないで、たくさん経験を積んだほうがいい。そうすれば、自然とわかってくる。
ーーブルース・リーの言う「考えるな、感じろ」みたいなものか。
それとは種類は違うけど、日本語には同音異義語がたくさんあるから、外国人にはどの意味か判断するのがむずかしい。
ーーたしかに。
「きこう」といっても、機構、機甲、気候、気功、奇行、起工、紀行、寄港、寄稿…とたくさんある。「しじょう」にも、史上、市場、紙上、試乗、私情なんかがあって、「かんしょう」には、鑑賞、干渉、緩衝、完勝、環礁、感傷、感賞がある。
日本人と話をしていると、たまにそういう言葉に引っかかって、「いまの“かんしょう”って何だ?」と意味を考えてしまうことがある。でも、相手はそれに気づかないで話をつづけるから、置いていかれて内容がわからなくなる。
ーーそういえば、前に日本語を学んでいるタイ人のテキストを見て、笑ったことがある。
「あのパン屋は朝7時に開店します」という質問で、答えの選択肢に開店と回転があった。7時になると店が回転するのはマンガの世界だけど、タイ人は真剣に悩んでいた。
でも、外国人と日本語で話をしているときに、同音異義語を気にしていなかったな。
同音異義語を意識して話をするのはむずしいだろう。
相手の外国人の日本語を聞けば、どのぐらいのレベルか分かるだろうから、「初心者だな」と思ったら話すスピードを調節したり、発音をハッキリさせるだけでいい。それでかなり聞きやすくなる。
ーーなるほど。英語の「動詞と前置詞の組み合わせ」も同じで、習うより慣れろと。
余談
外国人にとって同音異義語がどれだけややこしいのか? 次の文を読めば、たぶんその気持ちがわかる。
「はしばしははしのはしばしに、はしをおくようはしためにめいじた。はしためははしをはしり、はしばしのしじするようはしをおいた」
これが文の意味だ。
「羽柴氏は橋の端々に箸を置くよう端女に命じた。端女は橋を走り、羽柴氏の指示するよう箸を置いた」
一目でわかるのが漢字マジック。
独島の話だけ出ると困ります。
まだ知られていない問題が多く、両国民が(特に、韓国の方が)非常に執着しているからです。
ある韓国の知識人はこう言います。独島について、「日本には道徳的欠陥があり、韓国には法的欠陥がある」
独島は日韓両国が1965年に合意したことによって、賢く管理されなければならないでしょう。
日本人が英語を学び始める段階で引っ掛かるのが、「語順」の問題です。
英語の語順は、原則として、「主語+動詞」が中心的な骨組みであり、その他の要素は主語または動詞の後ろにくっついてくる修飾語に過ぎません。だから中学・高校の英語の先生も「正しい日本語に翻訳する」ことばかり教えていないで、「英語の語順の通りに翻訳する」ことを生徒に教えるべきだと思うのですが。どうせ日本語では語順なんてさほど意味はありません(と言うか語順は特に気を付けなくても意味が分かる)。
たとえば下のようにです。
・I love you. → 私は愛する、あなたを。
・I’m feeling so good! → 私感じてる、とってもいいわ!
・You are my sunshine. → あなたはそう、私の太陽だ。
日韓にはいろいろな問題がありますが、ギリシャとトルコ、インドとパキスタンなどに比べたら、まだ大したことはないなと思います。