英語には、「He has a skeleton in the closet」ということわざがある。
直訳すれば「クローゼットの中にある骸骨」となるこの言葉は、「オープンにできない秘密や恥」という意味になる。
クローゼットを開けて骸骨が出てきたら、世間が大騒ぎになるのは必至。だから、平穏無事の生活を望むのなら、あえてそんなことをしないほうがいい。
人間関係も同じだ。
以前アメリカ人と話をしていた時、まったく悪気はなく原爆投下について触れると、相手が明らかに不機嫌そうな顔になり、空気が瞬間冷凍したことがある。
そんな配慮は国家間の友好にも有効だ。相手国と良い関係を維持したいのなら、政治や歴史など敏感な問題に触れるのは最小限にしないといけない。
しかし残念ながら、韓国にはそう考えないで、喜んでクローゼットを開ける人がいる。
中央日報の記事(2024.11.29)
繰り返し抗議も…日本気象庁、また津波予報地域に「独島」含める
日本政府は竹島(韓国名:独島)について、歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土であり、韓国が竹島を占拠している状態は国際法上何ら根拠がない不法占拠であると主張している。
韓国は韓国で、独島は歴史的、法的にも韓国の領土であると訴えているから、日韓では数十年前からにらみ合いが続いてきた。
最近、石川県能登半島の近くでマグニチュード6.4の地震が発生し、輪島市などでは棚の食器が落下するほど揺れた。
「不幸は友だちを連れてくる」と言うが、地震は津波を引き起こすことがある。
そのため、気象庁が津波の予報地域を発表すると、その地図に竹島が表示されていたことから、韓国で「あたかも独島が日本の領土であるかのように表記した」と騒ぎ出す人が現れた。
それが韓国の造園学者の徐坰徳(ソ・ギョンドク)さん。竹島や旭日旗の話題になると、彼は「必ず」と言っていいほど口を挟む。それが利益になるから、その道のプロフェッショナルと言っていい。
ソさんは以前から、日本の気象庁が地図に竹島を表記していることに怒り、何度も嫌がらせ、おっと“抗議”をしてきた。今回も同じことが繰り返されたため、「誤った認識を抱かせかねない」と懸念し、また気象庁にスパム、おっと“抗議メール”を送ったという。
記事の中で、彼はこれからも「粘り強く抗議していく」と決意を語っている。
日本の反応を見ると、ネット界隈でソさんは有名人だから、今さらこの人のすることにマジレスをする人は少なく、「まーたハジマッタ」と冷ややかに見る人が多い。
・2つの島からなるのに「独島」はおかしいい
・園芸専門家に抗議されちゃった
・日本の気象衛星と日本のスパコンによる天気予報のデータ貰うの一切やめてから言え
・気象庁に限らず日本のデータを流用して、独島が竹島になってる!って定期的にやってる
・抗議メール送ったって言えばチヤホヤしてくれる
めっちゃ楽な仕事だよなw
ソさんの抗議活動を報じる韓国メディアの記事では、先ほどの「粘り強く抗議していく」を結びの言葉にしていることがよくある。
日本のアニメでは、主役が「俺たちの闘いはこれからだ!」と宣言すれば、それで連載終了なのに、この人物にはそんな常識が通じない。
日本にはこんな人物がいない。
韓国の気象庁(またはそれに相当する国の機関)でも同じように、提供する地図には独島を自国の領土として表記されているはずだ。しかし、日本ではそれに怒るネット民はいても、大学教授のレベルで抗議活動をしている人なんて聞いたことがない。
骸骨があると知っててクローゼットを開ける、そんな愉快犯のような人物が日本にはいない。韓国の気象庁を問題視し、それを非難する声を大拡散する全国紙も存在しない。
日本側は、韓国のそういう小さな動きがあっても見て見ぬふりをする。そもそも日本国民は韓国民ほど竹島問題に関心がないから、記事にするほどの価値がないかもしれない。
日韓には歴史や領土問題などさまざまな地雷があるから、友好を優先するのなら、小さいことには「見て見ぬふりをする」という態度は不可欠だ。
しかし、ソさんのような「いちょうかみ」(何にでも口をはさむ人)には「見て見ぬふり」ができず、むしろ「義を見てせざるは勇なきなり」と感じるらしい。
間違った状況に声を上げないのは、勇気がないということになる。気象庁の地図に抗議をすることは、彼の中では「正義や真実を守ること」につながる。
韓国は現実的に竹島を占領しているのだから、この問題で騒がないほうが都合が良いはずで、韓国政府にはそれを望んでいる気配がある。
しかし、韓国では、スルーすれば終わることをあえて取り上げ、問題化する“問題児”がいて、その「反日パフォーマンス」は広範囲にウケるから、トラブルメーカーはいなくならない。
今回の記事については、別の背景があるかもしれない。
実は韓国民は自国よりも、日本の気象庁の発表の方が信頼性が高いと信じていて、その地図をよく見ているから、こんな記事が作られたという可能性はある。
コメントを残す