日本人女性と化粧 リトアニア人が旅行で感じた違和感 

 

もし、突然どこかの国に連れて行かれても、そこにいる女性が頭にヒジャブをかぶっているのを見れば、イスラム圏の国だとわかる。イスラム教徒の女性には、外出するときにヒジャブをかぶるというルールがあるから。
ヒジャブはアラビア語で「覆うもの」という意味で、クルアーン(英語読みでコーラン)には、髪を隠すことは神の意思と記されているから、こんな決まりができた。

校則でポニテ禁止! はイスラム教のヒジャブと同じ理由?

さて、あるヨーロッパ人は日本に来て、この国の女性にも“外出時のルール”があると気づいたらしい。

 

 

最近、新婚旅行で日本に来たリトアニア人のカップルと会って話をした。夫は日本に住んでいたことのある30代の男性で、妻は日本に初めて来た20代の女性。
リトアニアは伝統的に、キリスト教(カトリック)の影響を強く受けてきた。
そんな彼らが日本で感じたことは?

 

ーーこれまで東京、大阪、京都、静岡を旅行していて、何か気づいたことはある?

妻「ヨーロッパの女性と違って、日本の女性はみんな化粧をしていることが印象的だった。ヨーロッパでそれは個人の自由で、化粧をする女性もしない女性もいる。でも、日本の街で見かける女性は、子どもとおばあさん以外は化粧をしているから、「なんでだろう?」とちょっと不思議に感じた。」

ーー日本とヨーロッパでは、その辺の考え方はかなり違うと思う。
前にネットで、こんな質問をする男性がいた。付き合ってすぐの彼女が何回目かのデートで、まったく化粧をしないでやって来た。それで、彼は自分が軽く見られていると感じて、「これって失礼だと思いませんか?」と質問すると、ネット上で賛否に分かれて議論になった。

夫「いやいや、そう思う男の方が失礼だろ。」
妻「素顔に不満を感じるというのは、“失礼”というレベルじゃないでしょ。私には差別的に感じる。日本人の女性は外出する時は、いつも化粧をするの?」

ーーそれは個人の自由で一概に言えないけど、近くのコンビニに買い物をするぐらいなら、すっぴんで、街中へショッピングに出かけるときは化粧をするんじゃないかな。

夫婦「うん、よくわからない。」

ーー男性でも、家から数分のコンビニへ買い物に行くときには、「他人にどう見られるか」を意識して、部屋着からスーツに着替える人もいた。それは日本のサッカー界で「キング」と呼ばれるサッカー選手で、超例外というかオンリーワンの存在だろうけど。
話を戻すと、日本の女性はヨーロッパの女性に比べて、“見られる”ことを強く意識している。だから、外で偶然知り合いに会ってすっぴんを見られると、特にそれが男性だとあわてることが多い。ヨーロッパの女性にはない現象だと思う。

妻「ヨーロッパは広いし、国や民族によって価値観や考え方は違う。でも、『知り合いに素顔を見られると恥ずかしい』という話は聞いたことがないし、私にはその感覚はわからないw」

ーー日本の社会には「男は敷居を跨(また)げば七人の敵あり」と言って、家の外にはさまざまな敵がいるから、油断してはいけないという考え方があった。内容は違うけど、家を出るときには「何が起こるかわからない」と身構える女性は多い気がする。

 

ーー日本に10年以上住んでいるアメリカ人は、ふつうは「no makeup」や「bare-faced」で通じるけど、“すっぴん”にぴったり合う英単語は知らないと言っていた。

妻「わたしの場合、化粧をするのはパーティーに行くときぐらいで、仕事や街へ買い物に出かけるときはしない。最近、彼と結婚式を挙げたときに、久しぶりに化粧をした。」
夫「ヨーロッパ人はそんな感じで、男性もそんなことを気にしない。アジアとは価値観が違うんだよ。韓流ドラマを見ていると、韓国の女性も化粧が濃い。」

ーー日本も韓国も長い間、儒教の影響を受けてきて、ヨーロッパに比べたら「男尊女卑」の傾向が強いことはまず間違いない。その考え方から、女性は「男性から良く思われたい、美しいと思ってもらいたい」という意識があるかもしれない。
(ムスリムの女性がヒジャブをかぶる理由はこの反対で、知らない男性から魅力的に見えないようにするため。)
でも、今の日本では多くの女性が楽しんでメイクをしている。

妻「日本と韓国の女性は意識が高いから、化粧が発達している。ヨーロッパでは、J-beautyやK-beautyの人気が高い。日本ではコスメがすごく安く買えるから、この旅行ではお土産にそれをたくさん買うつもり。」

 

本日のまとめ

アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは『菊と刀』で、日本の社会には世間の目を意識して行動する「恥の文化」があり、西洋のキリスト教社会には神という絶対的な善悪の基準をベースにする「罪の文化」があると指摘した。
日本人は伝統的に、恥をかかないように他人の目を気にして行動してきたが、西洋では神に対する罪を犯さないことが行動基準になってきた。
化粧の違いについても、そんな文化的な要因があると思われる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。