一週間ほど前に、日本酒や焼酎などの「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。めでたし!
日本の酒づくりが世界に認められたのと同時に、中国の正月である春節も、「家族の価値や社会の結束を高め、中国の人々にアイデンティティーの感覚を与える」と評価され、無形文化遺産に登録されることとなった。
これを受けて、中国のネットではこんなコメントを書き込む人がいた。
「韓国に奪われなくて良かった」
日本にとって春節は江戸時代まで祝っていた旧正月にあたり、現在では、日本の正月の約1カ月後にその日が来る。
日本は明治時代に西洋暦を採用した際、正月などの伝統行事の日にちもそれに“引っ越し”をしたため、中国正月である春節は今ではただの平日になっている。しかし、東アジアでそんな国は日本だけである。韓国やベトナムも正月は旧暦で祝っているため、正月は春節と重なってしまう。
海外では、一般的に旧正月を英語で「Chinese New Year」と呼ぶため、韓国人やベトナム人の中にはこの言い方を嫌う人もいる。韓国・ベトナム人に新年のお祝いのメッセージをするなら、これでは失礼を超えて挑発行為になってしまうから、「コリアン(ベトナミーズ)・ニューイヤー」か「ニューイヤー」とだけ言ったほうが良い。
韓国は中国と陸続きで、簡単に海を越えてやって来ることができるため、古代から中国の影響を強く受けてきた。2005年にユネスコの無形文化遺産に登録された「韓国の江陵端午祭(カンヌンタノチュッチェ)」もその一つ。
旧暦の5月5日に行われ、韓国を代表するこの祭りは韓国語で「タノ」と呼ばれている。実はこの言葉は中国語の「端午」に由来していて、韓国がユネスコ無形文化遺産にこの祭りを推した(申請した)際には、「端午節は中国が起源で周辺国に広がったものだ!」と中国側が反発した。
それに対し、韓国側も中国のものとは内容が違うと反発し、2005年に江陵端午祭が無形文化遺産に登録された。ちなみに、2009年にはこれとは別で、中国の端午の節句が登録されている。
中国人にはこんな苦い記憶があるから、今回の春節が登録されることについて「韓国に奪われなくて良かった」という安堵(あんど)の声が出てきたのだ。
ただ、韓国の端午祭の中身を見てみると、中国の端午節とはかなり異なる。
本家・中国ではボートレースをやったり、ちまきを食べたりすることが端午節を象徴するイベントとなっているが、韓国の端午祭ではそれがない。ブランコに乗って遊んだり相撲をしたり、神に秋の豊作を願う儀式をしたりしている。
個人的には中国とは別で、韓国の江陵端午祭がユネスコ無形文化遺産に登録されても問題ないと思う。が、日本には関係ないから、わりとどうでもいい。
それに、中国側の「伝統文化を韓国に盗まれる」という意識はとても強いから、第三者がこの問題に触れない方がいい。
中国正月については、きょねんイギリスでこんな騒ぎがあった。
中央日報の記事(2023.01.23)
「中国の伝統を盗んだ」…大英博物館の「韓国旧正月」表現に中国が怒り
中国正月は春節と呼ばれ、韓国正月は「ソルラル」という。
大英博物館がソルラルを取り上げ、韓国の伝統音楽や踊りを紹介するイベントを開いた際、「Korean Lunar New Year」という表現を使った。
すると、これを知った中国人から、
「恥を知れ」
「韓国が中国の文化を盗むのを名高い博物館が助けている」
「今後『メリー・コリア・クリスマス』になるだろう」
「中国から伝わってきた伝統なのに盗むな」
といった批判が殺到したため、大英博物館側はその表現を削除した。
韓国正月を紹介するイベントだから、「Chinese New Year」は無理かもしれないが、旧暦(太陰暦)の正月として「Lunar New Year」と表記していれば、ここまで大きな騒ぎになることはなかった。
今回、ユネスコの無形遺産に登録された春節は「スプリング・フェスティバル」で、それ以外の韓国やベトナムの正月は「ルナー・ニュー・イヤー」と分ければいいと思うのだけど、きっとそう簡単にはいかない。
最近の中国では愛国・民族主義が高まっているため、「チャイニーズ」の言葉にこだわって、それを外しただけでも、「恥を知れ」と怒り出す中国人がきっといる。
祝う時期が異なる日本は、この騒動に巻き込まれなくて本当に良かった。
韓国が無形文化遺産の登録に、いま盛んに行われている「ローソクデモ」を推すのなら、まったく摩擦は起こらないのだけど。
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
コメント
コメント一覧 (4件)
太陰暦を使う国同士で新年を祝うイベントを一緒にするのは悪くありません。
そこに必ずオリジナルの国の名前を付けたいならその国だけ付ければいいし、それぞれの国に合った名前を書けばいいのです。韓国では”中国の新年”を祝いたいという気持ちは全くありません。ただ”新年”を祝うイベントで十分です。
北韓の高官からはこんな言葉があるということです。
「日本は100年の敵、中国は1000年の敵」
現在、世界で最も近い友好国である北韓と中国ですが、中国が過去にしたことを忘れていないということです。
今、韓国では再び「ろうそく」が登場しました。このろうそくは、左翼化、共産主義化を意味します。韓国が中国、ロシアと同じグループに入るようになれば、日本は寂しいでしょう。
ろうそくの火をあまり軽く思わないでください。
「端午の節句」は日本でも祝います。これを無形遺産に登録しようとしたら、中国はきっと怒るでしょうね。日本語では「旧正月」でいいのですが、英語でよくもめます。日本は時期がズレていて、その意味ではラッキーでした。
>韓国が中国、ロシアと同じグループに入るようになれば、日本は寂しいでしょう。
日本やアメリカにとって最悪の事態でしょうね。
>韓国が中国、ロシアと同じグループに入るようになれば、日本は寂しいでしょう。
別に寂しくはないが、近隣の仮想敵国が増えることになるので、防衛力をより高めて警戒度を上げるより他になく、その分防衛予算も増えることになって厄介・迷惑ですね。
多くの日本人は、韓国が外交的に離れた時に「寂しい」と思うほど、韓国に親近感を持っていないと思いますよ。大統領が交代する度に、対日外交方針がころころ変わるようではね。
> 北韓の高官からはこんな言葉があるということです。
> 「日本は100年の敵、中国は1000年の敵」
翻訳掲示板を見ていると、この言葉は韓国人から日本へ向けて時々発せられているようですが。韓国人が考えたフレーズではないのですか?
現在のような形で北韓(北朝鮮)が成立したのは、スターリンと毛沢東の後押しを受けて金日成が韓国側へ攻め込んだ「朝鮮戦争」があってこそです。それなのに、「中国が過去にしたことを忘れない、中国は1000年の敵」と北朝鮮が言うのは奇妙な感じもするのですが。