ここ30年ぐらいで、いろいろな言葉が変わった。
「それは性に対する差別的な表現じゃないか?」
ということで、いろいろな言葉が言いかえられるようにった。
例えば、むかしは「スチュワーデス」と言っていたのが、今では「CA(キャビンアテンダント)」になっている。
他にもこんな言葉がある。
ポリスマンはポリスオフィサーになった。
キーマンはキーパーソンになった。
カメラマンはフォトグラファーになった。
「マン(男)」という言葉がマズいから、「パーソン(人)」になったらしい。
そういえば、日本のゲームボーイがアメリカでは「ゲームパーソン」になっていたような?
さらにはこんな言葉の変化もある。
看護婦は看護師へ。
助産婦は助産師へ。
保母さんは保育士へ。
クレヨンの肌色はペールオレンジへ。
痴呆症が認知症へ。
それまでふつうに使っていた言葉が「より適切な」言葉へと変わった。
これは「ポリティカル・コレクトネス」の考え方による。
このへんことはこの記事をごらんください↓
時代が変われば人びとの考え方も変わる。
人びとの認識が変われば、言葉も変化する。
ここ30年ぐらいの間、日本も世界も人びとの考え方は大きく変わっている。
30年前には聞いたことがなかったような言葉も、今では日本の社会に定着している。
それがLGBTという言葉。
LGBTとはこんな意味になる。
Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)
Gay(ゲイ:男性同性愛者)
Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)
Transgender(トランスジェンダー:生物学的な性別と違う性別で生きたい人)
この頭文字をつなげると、「LGBT」になる。
つまり、「性的少数者の総称(朝日新聞掲載「キーワード」の解説)」ということ。
人権や差別問題とつながる考え方だから、欧米では「LGBT」についての関心がとても高い。
ウィキペディアによると、日本では1990年代からLGBTという言葉が使われ始めたという。
で、今の日本はこんな感じ。
日本では、電通が15年に約7万人を対象に実施した調査で7・6%が当事者に該当すると回答。同年から東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを公的な「パートナー」と認める。同性パートナーでも慶弔休暇や介護の制度を使えるようにする企業もある。
(2016-11-07 朝日新聞 朝刊 生活1)
この動きも30年前は考えられなかった。
このLGBTの考え方から、最近とんねるず石橋貴明さんの「保毛尾田保毛男(ほもおだ ほもお)のキャラクターが大問題になる。
— 松岡宗嗣 (@ssimtok) 2017年9月28日
保毛尾田保毛男も30年前だったら、まったく問題にはならなかった。
「ホモ」という言葉も、テレビでバンバン言っていたし。
当時はそういう時代。
でも今はダメ。
「ホモ」という言葉は、男性同性愛者に対する蔑称であり差別にもなる。
LGBTの団体から抗議を受けたフジテレビの社長は公式に謝罪した。
ハフポストの記事( )から。
30年間で作り出してきた色々なキャラクターで展開をしたわけですが、もしその時代が違っていて、不快な面をお持ちになった方がいたことは、テレビ局としては大変遺憾なこと。謝罪をしないといけない」
世の中の動きに敏感なテレビ関係者でも、時代を読み違えてしまった。
これはカナダのトルドー首相。
今年おこなわれた、LGBTのパレードに参加しているようす。
カナダはとてもオープン。
でも、「日本もカナダのようになれ!」というわけではない。
日本の価値観を外国と同じにする必要はないから。
今年の春ごろ、アメリカ人の友だちが「Also this!!(これも見て!!)」という言葉といっしょに、イギリスのインデペンデント紙の記事を送ってきた。
2017年3月18日付のインデペンデント紙に、埼玉県の入間市でおこなわれた選挙結果がのっている。
入間市の選挙だったら、ふつうなら、日本の地方新聞で取り上げるようなネタ。
インデペンデント紙という世界的に有名な新聞が記事にして伝えることはない。
でも、このときはちがう。
日本が「世界初の国」になったから。
Japan becomes first country in the world to elect a transgender man to a public office
Tomoya Hosoda, 25, won 21 out of 22 seats to become a councillor for the city of Iruma, in the central region of Kanto.
入間市の選挙で、LGBTの人が議員に選ばれた。
ただ、トランスジェンダーを公表して議員になった人には、川上あやという人がすでにいる。
だからインデペンデンス紙の記事は、「トランスジェンダーの男性(transgender man )として」という意味。
日本の地方都市の選挙という小さなできごとでも、「LGBTの人が議員に選ばれた」となると、国際的なニュースになって配信される。
これが今の世界の空気なんですね。
「差別は絶対にいけない!」というのは当たり前。
心の中ではどう思っていても、最低限、言葉や行動に出してはダメですね。
性に対する認識は常にアップデートして”最新版”にしていないと、保毛尾田保毛男のような手痛い失敗をしてしまう。
今ではレズビアンを公表し、LGBTをテーマとして世界を一周している日本人もいる。
こんにちは。LトラベラーのRIEです。 世界一周しながら各国のLGBTQ事情・情報を収集、配信していく世界のLGBTQ企画。
ボクが知る限り、こんな旅行者も30年前にはいなかった。
ちなみにインデペンデンス紙といえば、日本人としてこれを忘れちゃいけない。
東日本大震災のときには、こんな紙面をつくってくれた。
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ワロス
ですよね。