「すべてのブロガーを私たちのビジネスから、しめ出します」
これは最近、有名ユーチューバー(たぶんブロガーでもある)とホテルとのやり取りのなかで出てきた言葉だ。
フォロワー数が9万人以上のイギリス人のユーチューバーがホテルにこんな依頼をした。
「自分のSNSでホテルの宣伝をするから、宿泊費を無料にしてほしい」
これにホテル側が激怒。
オーナーはこのユーチューバーのメールをホテルのFacebookページに公開してしまう。
さらにこう書く。
「もしあなたを無料で泊めてしまったら、誰が人件費を払うのでしょう?」
もちろんユーチューバーの申し出は却下。
その後、ユーチューバーは自身のユーチューブ動画でこう話す。
「私は怒ってるし、悲しい。動揺しているし、不安になったし、気まずかったし、バカにされてると感じた」
この翌日、ホテルオーナーはFacebookページでこう書いた。
「全てのブロガーを私たちのビジネスから締め出します」
くわしいことは、huffingtonpostの記事(
ユーチューバー「PRするからタダで泊めて」⇒ホテルのオーナー激怒「今後、ブロガーは一切お断り」
ホテル側をここまで怒らせたのは、ユーチューバーがこんなことを言ったからかもしれない。
「私がホテルのオーナーに申し出たことは、ブロガーだったら普通のこと」
「(タダで泊めてもらうだけでなく、むしろ)報酬をもらうのが普通だ」
このニュースに対してネットでは、ユーチューバーを支持する人もいたけれど、ほとんどの人はホテル側に立ってユーチューバーを非難している。
・厚かましいな
・こんなの許可していたら
ユーチューバーばっかり来て
まともな客が寄り付かなくなるだけだから
・早い段階で対応したのはまとも
・SNSのせいで厚かましいやつが増えたよなぁ
・「私がホテルのオーナーに申し出たことは、ブロガーだったら普通のこと」って、素人が上から目線の押し売り
・何様のつもりだ糞ブロガー
・自意識過剰なバカはどこにでもいるんだよなぁ
さて、あなたはどう思いますか?
今回は「かん違いブロガー・ユーチューバーにはならない方法」について考えていこうと思います。
ボクはこのユーチューバーの発想は、基本的には間違っていないと思う。
ユーチューバー側は提案するだけで、決定権はホテル側が持っている。
ホテル側が宣伝効果と宿泊費を考えたうえで、どっちが自分たちにプラスになるかを判断したらいい。
海外旅行ブログを見ると、「企業に賛同してもらって、ブログで宣伝する代わりにバックパックを無料でもらった」といったことはよくある。
一般的にも、テレビや雑誌なんかで宣伝する代わりに、無料で泊めてもらったり食べさせてもらったりすることはよくある。
依頼する側と決定権を持つ側がウィンウィンなら、それでいい。
ちょうど今、奄美大島にあるリゾートホテルが「フォロ割」という割引キャンペーンをしている。
ホームページから。
インスタグラムやツイッターなどSNSの合計フォロワー数と「いいね」の数だけ、宿泊費が割引きされるというサービス。
「×1円」で計算されるから、10000人のフォロワーがいて2000の「いいね」があったら、宿泊費が12000円安くなる。
無料で泊まることも可能らしい。
ちなみにこのときは、ネットでこんな反応があった。
・渡辺直美とか泊まり放題だな
・相互フォローで増やしまくって放置してる俺の出番だな
影響力も何もないけどフォロワーだけは多いぜ
ふぁぼすらされないからなwww
・俺は12円ぐらい値引きになるのか
・まじかよ、8円安くなるじゃん
・捨て垢で自演フォロワー水増しする作業がはじまるよ
影響力のあるブロガーやユーチューバーが「宣伝するから無料にしてほしい」と申し出て、ホテル側に決めてもらう。
その人の影響力の大きさやホテルのランク、依頼の仕方やその内容によって変わってくるけど、この考え方自体は基本的に間違ってはいない。
「間違っていない」と思うからこそ、実際にそれをするときは、慎重に考えて下から下からの態度が大事になってくる。
ブロガーでもユーチューバーでもない人から見たら、この考え方の印象は悪い。
「お金を払って泊まる」という常識が王道なのはたしかだ。
「自分のしていることは間違っていない」とか「他の人もやっている。ふつうのことだ」と思っていると、それが当然になって、歯止めがかからなくなってしまう。
何事にも、越えてはいけない一線がある。
それに気づかないでいると、ある時、「何様のつもりだ」「SNSのせいで厚かましいやつが増えたよなぁ」とたたかれる。
「宣伝するから無料にしてくれないだろうか?」と申し出てみることはいいと思う。
でもそれを、「何様のつもりだ」とする見方に共感できる部分もある。
SNSでのトラブルを避けるなら、「いつでも謙虚でいる」とか「感謝の気持ちを忘れない」とかいう精神論よりも、「越えてはいけない線はどこか?」を把握するための客観性や冷静さの方が役立つ。
”かん違いブロガーやユーチューバー”にならない方法としては、「自分と反対の考え方や価値観に耳を傾ける」というやり方がある。
ブロガーなら、ブロガーが大嫌いな人の意見が有効だ。
「何様のつもりだ糞ブロガー 」「自意識過剰なバカはどこにでもいるんだよなぁ」といった言葉にムカついたら、その視点から自分を把握するといい。
大嫌いな人がいたら、その人の視点から自分をとらえることもいい。
自分と反対側の立場に立って、そこから自分の行動を見ると、「越えてはいけない一線」が見えてくる。
逆に、まわりに気の合う仲間しかいないと最悪だ。
こちらの記事もいかがですか?
日本のサービスの歴史①越後屋(三井高利)が切売りを始めた男気
コメントを残す