きのうの記事で、スタバの店員さんがとっさの思い付きで、いきなサービスをしてミャンマーの人たちを感激させたことを紹介した。
その内容はここでは書かないから上の記事を読んでほしい、という強引な誘導をすると、即ページを閉じられそうだからここで少し書いておこう。
といっても、ミャンマー語で紙カップに「ありがとう」と書いただけのことだ。
でもその発想とスピード感はすごい。
こんなふうに、ここまでは誰でもやる、やって当たり前というレベルに、もう一工夫を加えることで人を感動させることができる。
今回もそんな日本人が見せた素晴らしい配慮の話。
困っている時に救いの手を差し伸べてくれる人こそ、本当の友人だ。
そんな考え方は西洋にもあって、「A friend in need is a friend indeed(まさかの時の友こそ真の友)という言葉もある。
中国語にも同じような言葉があって、そんな時は「雪中送炭」という。
雪の寒さに震えている人のために暖をとるための炭を送るという、道徳の教科書にのりそうな意味。
でもそれだけじゃないのが中国で、雪上加霜(せつじょうかそう)という言葉もあるのだ。
雪の上に霜(しも)を加えるということで、不幸なことや嫌なことが重ねて起きることの例え。
日本語でいえば「泣きっ面にハチ」だ。
いらない親切やありがた迷惑という意味で、雪上加霜を使うこともある。
いまの中国の最悪の災難と言えば、新型コロナウイルスで間違いない。
きょうの時点で中国での感染者は4万4653人、死亡した人は1113人という。
それで中国には世界中からマスクや手袋、防護服などが送られた。
そんな「雪中送炭」だけでもありがたいのに、日本から届けられた支援物資の段ボールには「山川異域 風月同天」(山川、域を異にすれども、風月、天を同じうす)というメッセージが添えられていた。
「住んでいる場所は違っても、風や月は同じでひとつの空の下でつながっている」といった意味だ。
これが中国のSNS上で爆発的にシェアされて、「中国の人の心を動かした」「私も泣きました」という声が上がっている。
中国外交部(外務省)の華報道官は記者会見で日本を名指して感謝の気持ちを伝えた。
人民網日本語版(2020年02月05日)
「中国側は日本の人々の心温かい行動に関心を寄せており、日本を含む各国の人々から寄せられた同情、理解、支持に心から感謝を表明し、心に深く刻む」と述べた。
新型肺炎 中国外交部が日本の支援に感謝
この記事を読むと「一部の国で極端に差別的な発言が上がっている」一方で、日本の厚生労働省は「悪いのはウイルスであって、断じて人ではない」と表明したことや、多くの日本人が中国大使館へ励ましのメッセージを送ったことが書いてある。
日本の報道では「山川異域 風月同天」という言葉だけが特別視されている気がするけど、実際はそれだけではない。
ドラッグストアでは「がんばれ中国」「がんばれ武漢」とエールをはり出すところもあるし、東京スカイツリーは中国や武漢を応援しようと特別に赤と青にライトアップされた。
いろんな日本人が中国に配慮して行動している。
日本全体が「雪中送炭」をしているのだ。
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韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
NETで調べてみました。
全文:山川異域、風月同天。寄諸仏子、共結来縁。(ただし句読点は現代になってからのもの)
読み:山川ハ異域ナレド、風月ハ同天ニアリ。諸(コレ)ヲ仏子二寄ス、共ニ来縁ヲ結バム。
意味:山川は異なる場所にあるけれども、風月は同じ天の元にある。これを御釈迦様の弟子へ届けます、共に将来の縁を結びましょう。
この漢詩は、天武天皇の孫であった長屋王が唐の僧に千枚の袈裟(けさ)を寄贈した際に、袈裟の襟の部分に刺繍してあったのだそうです。その1枚を入手した唐の鑑眞和尚が、これを読んで、6度にも渡る決死の船旅で日本へ渡来するきっかけになったのだとか。
マスク270万枚という支援物資に、1千枚の僧衣を寄贈したエピソードにちなんだ漢詩を添えるとは、選んだ人はなかなかの深い知識・センスの持ち主ですね。
鑑真の伝記は日本側の記録(唐大和上東征伝)に残っているだけなので、おそらく、中国の人は誰も知らないでしょう。ですが、たとえ中国語が分からなくても、漢字を使って意思や気持を伝達できるのは素晴らしいことだと思います。日本語の漢文読み、すごいね。
日本が支援物資を送ったのはかなり早かったと思います。
「先を越された」と韓国紙が書くぐらいですから。
そのスピードに加えて漢詩を添えるというセンスはすごいですね。
中国メディアがこの漢詩の解説をしていましたから、本国でももう分からない人が多いのでしょう。