日本ならアニメの世界 オオトカゲと共存するタイ人の日常生活

 

日本にいる最強・最恐の動物といえばやっぱりクマでしょ。
総務省(北海道管区行政評価局)の調査によると、北海道では市町村の9割超で人里にヒグマが出没している。
ここ数年、ヒグマが市街地に現れて騒ぎになることも多い。
それはとてもくまった問題だが、ヒグマと人間が完全に分かれて生活することは不可能で、あるていどの”共存”が常識になっているという。

さて話は変わって、「微笑みの国」と呼ばれるタイでの共存について。
この南国にいる人たちはとても大らかで、小さいことや細かいことは「マイペンライ(問題ない・大したことじゃない)」と言って基本的には笑い飛ばしてしまう。
タイを旅行中、乗っていたタクシーが赤信号を突っ切ったから「マジか!」とおどろくボクに、ドライバーは「マイペンライ」と言って笑顔を見せやがった。
また現地在住の日本人からは、街中で車をぶつけられたとき、相手が「マイペンライ(気にするな)」と言うのを聞いて信じられない思いをしたという話を聞いた。

 

そんなタイの首都バンコクの中心部にはルンピニー公園という、水と緑にあふれたデカい公園があって、市民の憩いの場や観光地になっている。
ちなみにルンピニーとはシャカが生まれた場所のことで、タイにおける仏教の影響の強さがよくわかる。

 

 

そんなルンピニー公園を散歩していたとき、湖面にボクより大きな巨大な生物が2~3匹浮かんでいるのを発見。
その正体はミズオオトカゲだった。
タイでは全長1.5~2mほどのオオトカゲが広く生息していて、都会のど真ん中の公園(日本でいうなら日比谷公園か)にもフツーにすんでいるのだ。

 

 

そういう予備知識がなくて、いきなりこんな恐竜みたいな生き物が数メートル先にいたから、ボクの脳と体がフリーズして状況判断にしばし時間がかかった。
とりあえず襲いかかってくる気配はないし、攻撃力の高そうな外見をしているだけで、こちらの身の危険はなさそうだ。
現地の人はこのオオトカゲをチラリとも見ないでジョギングして通りすぎるから、タイ人にとってこれは、ハトやスズメのような日常風景のひとつとしてカウントされているらしい。

 

あとでタイ人の日本語ガイドに話をきくと、「ああ、オオトカゲですか?湖とか川とか、水のあるところならよくいますよー。でも向こうが人間を恐れて近づきませんから、大丈夫ですよ~」とのこと。
いまは知らないけど10年ほど前にこの話を聞いたときは、このトカゲは保護動物の対象で殺してはいけなかった。これはタイ人の仏教精神のあらわれだという。

ということで、かなり自由な生存権を認められた野良オオトカゲは、魚や虫、さらには犬の死骸も食べるし、家で飼ってるニワトリをエサにすることもあるらしい。
マレーシアにもこれが生息していて、現地の人から「街の生ゴミを食べてくれるから、やつらはとても役立つよ」という高評価を聞いた。

もちろん怖がるタイ人もいるけど、基本的には“愛されキャラ”。
田舎にあるガイドの家ではオオトカゲが侵入してくることがあっても、親は客人のように考えて、トカゲが自発的に出ていくまでそのまま好きにさせていた。
ネットで見たら、ムカデやネズミなどの害虫や害チュウを駆除してくれるというから、この親は不意に来訪したオオトカゲにそれを期待したのかも。
とりあえず、ルンピニー公園で誰も動じなかった理由がよくわかった。

ガイドいわく、初めてこれを見た日本人は例がなくビックリする。(あたりまえ)
でもしだいに、『with オオトカゲ』のタイの日常生活に慣れていき、ゴルフ場の池にいたオオトカゲをクラブを持って追いかける日本人もいたという。
ヒグマは無理でも、これなら町中で共存できるギリのレベル。

 

*現在20代のタイ人女性にきいたら、このオオトカゲを嫌うタイ人は多いというから、ボクが話を聞いたときとは時代がかわったかも。
またオオトカゲはเหี้ย(ヒーア) と呼ばれていて、人に対してヒーア!と言ったら『この野郎!』みたいな罵倒のことばになるらしい。

 

首都バンコク
こんなところでタイ人はオオトカゲさんと共存している。

 

日本では車がコンビニやドラッグストアに飛び込んでくる現象を、ネットで「ダイナミック入店」と表現することがある。
アニメ『ガールズ&パンツァー』では戦車がダイナミックに入店した。
ネットではネタの扱いだが、関係者にとっては笑い事では済まされない。

さて最近、こんなダイナミック入店がタイで話題になっているようだ。

 

 

これを見た日本人の反応は?

・デカすぎ
こんなのが普通に町中に現れるタイやばい
・こんなの家に居たらパニックどころじゃない
・日本なら野良猫が入ってきたみたいなニュースやろ
・あー。これは店長だね(´・ω・`)
・温めますか?

このあとオオトカゲはスタッフが美味しくいただきました。ではなくて、駆け付けた警官と専門家が店の外に出した。
日本ならアニメ世界の光景を、笑って見ているのがまじタイ人。
さすがマイペンライの国だ。

 

 

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2 件のコメント

  • これとよく似たインドネシアのコモドオオトカゲ(コモドドラゴンとも言う)は、現地の人たちも怖がるオオトカゲなんですが、その理由は、牙に毒を持っていて獲物に噛み付いて殺すことができて、獲物が死ぬのをゆっくり待って食べるからだそうです。
    タイのミズオオトカゲには毒はないんですかね?
    だけど、そんなタイ人がインドネシアへ行ってコモドオオトカゲに出くわしたら、きっと油断しているだろうから、簡単に食われてしまうんじゃないかな?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。