「日本へ行ったら、大地震が起きて死んじゃうかも!」
なんて想像をして恐怖を感じるメキシコ人の話を前回書いた。
その可能性はゼロではないがほぼゼロだし、そこまで気にしたらキリがない。
必要のないことを考えて、自分が生み出した恐怖によって自分の行動が制限されることは本当にバカげている。
古代中国の杞(き)という国には、天が落ちてきたり地面が崩れたりしないか不安になり、心配のあまり食事や睡眠ができなくなった人がいた。
そんな話から、無用な心配を意味する「杞憂(きゆう)」という言葉ができた。
*「杞人憂天(きじんゆうてん)」ともいう。
太陽や星が落ちてくることも心配していた杞の人たちにある賢人(?)が、「あれは輝いているだけだ。大丈夫じゃ」と言って聞かせて安心させたという。
現代なら小学校の理科の知識があれば解決できること。
でも隣国では科学よりも国民感情を優先して恐怖をあおり、それを真に受けた人たちが日本に憎悪や敵意を向けるという悲しい状況が発生している。
日本政府が福島原発の処理水を海に放出すると発表すると、韓国の政治家やメディアが騒ぎ出して世論が沸騰。
この処理水には確かに人体に有害な放射性物質が含まれている。が最も重要なことはその量だ。
地球上に住んでいる人類は空気や大地などから毎日のように放射線を浴びていて、これを完全に避けて生活することは不可能。
体に影響がないことはないけど、これは地球人の日常だから不安に思う必要はない。
もし福島原発の処理水を1年ですべて海に流すとしたら、その場合の線量は約0.052~0.62マイクロシーベルトで、大気に放出したら約1.3マイクロシーベルトになる。
その”危険度”はこの程度のもの。
日本経済新聞の記事(2019年11月18日)
自然界からの被曝線量2100マイクロシーベルトに比べると1000分の1未満だという。
福島第1の処理水 放出の放射線影響「十分小さい」 経産省試算
日本人も外国人もこれぐらい被ばくしていても、気づかないから何も感じないだけ。
日本は処理水を数十年かけて海に流す予定だから、自然界から浴びる放射線量に比べたら比較にならないほど”安全”だ。
だから国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は日本を支持して、アメリカの国務長官は「放出決定に対する努力の透明性に感謝する」と言った。
科学に基づけばこうなるし、それより反日感情を優先するとこうなる。
中央日報日本語版の記事(2021.04.10)
日本、結局は海に汚染水放流へ…恐怖広がる韓国
日本が処理水を海に放出した場合、「食物連鎖を破壊し、魚類を通じて各種がんを誘発するおそれがある」と書いてあるだけで、具体的にどれほど危険なのかはまったくふれていない。
「~のおそれがある」は読者を誘導したいときによく使う表現だ。
語尾にそれを付けるだけでいいいのなら、「日本へ行ったら大地震が起きて死ぬおそれがある」という言い方でもOKだ。
自然界からの被ばく線量に比べれば4000分の1未満なのだから、こんなことを不安に思ったらもう地球に住むことはできなくなる。
なのに韓国で恐怖が広がる理由は、科学を無視してメディアが国民の恐怖心を広げるからだ。
メディアだけでなく、反日感情に迎合する政治家の責任も大きい。
例えば韓国の与党「共に民主党」のチェ・ジェソン議員はこう強調する。
「日本の放射能の危険が度を越している。福島農水産物を東京オリンピック参加選手団のメニューに上げるだけでは飽き足らず、高水準放射性汚染水を太平洋に放出するという主張まで提起されている」
日本については「深刻な犯罪行為」と強く非難する一方、いま韓国の月城原発が処理水を放出している事実はスルー。
韓国はいいけど日本はダメだ!というのは科学ではなく感情だ。
東京スポーツの記事(5/4)によると、学者もトンデモ発言をおこなっている。
【東京五輪】韓国で暴論「日本列島で食べ物を安心して食べられる場所ない」
食品栄養学科の教授がメディアでこう発言した。
「日本は先月、福島原発の放射性〝汚染水〟の放流を決定した。さらに懸念されるのは、日本の飲食業界では福島の農産物を使用している点だ。すでに日本は列島のほとんどが食べ物を安心して食べることができる場所ではないのに、これを改善しようとする動きがほとんどない」
そんな日本は存在しない。少なくともリアル世界では。
教授は日本政府を批判し、韓国政府にはこんな要求をする。
「東京五輪の選手村で福島産農産物を使用するという発表がされて議論を呼んでおり、日本の誤った決定を撤回するように、他国と緊密に協力するよう最善を尽くしてほしい。今回の事態の最大の被害者は、将来の私たちの子供たちだ」
では実際にどのぐらいの被害があるのかというと、それについてはまったく言わない。
何ミリシーベルト被ばくするのか、そしてその根拠は?
こういう重要なことは隠して、「誤った決定を撤回するよう」訴える教授がいるらしい。
政治家・メディア・学者までも科学を無視して反日感情に基づいて、連日のように発言するのだから、韓国社会で反発や恐怖が広がるのは当たり前。
他国との協力を呼びかけても、IAEAが日本支持を表明しているのだから、韓国に協力するという国はいまのところ、あえていえば中国しか聞いたことがない。
「地震が怖いから日本へ行くのは不安」と言うメキシコ人ならいい。
でも、メディア・政治家・学者が「恐怖広がる韓国」「深刻な犯罪行為」「日本列島で食べ物を安心して食べられる場所ない」と言いだす国はまったく笑えない。
一体どうやったら「杞憂」だとわかるのか。
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> 政治家・メディア・学者までも科学を無視して反日感情に基づいて、連日のように発言するのだから、韓国社会で反発や恐怖が広がるのは当たり前。
> 一体どうやったら「杞憂」だとわかるのか。
こちらから何か行動してわからせる方法は、ありません。
目を覚ますには、自分たち自身で、自分たちの考え方に気づくしかないでしょう。
まだまだ100年はかかるでしょうね。戦後数十年間で、むしろ悪化していますから。